夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「レディ・バード」:故郷から巣立ちを目指す女子高生を母との対立を軸にコミカルに生き生きと描く、グレタ・ガーウィグの監督デビュー作

「レディ・バード」(原題:Lady Bird)は、2017年公開のアメリカのコメディ&ドラマ映画です。グレタ・ガーウィグ監督・脚本、シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメら出演で、カリフォルニアの片田舎のカ…

「グローリー/明日への行進」:非暴力を貫くキング牧師の政治信条、人間的側面と、周囲の人々、道半ばで倒れた人々を描いた感動的な作品

「グローリー/明日への行進」(原題: Selma)は、2014年公開のアメリカの歴史ドラマ映画です。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアらによって先導された1965年のアラバマ州セルマの大行進を題材に、ポール・ウェブによる脚本をエイヴァ・デュヴァーネイ…

「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」:妻子ある男性と結婚するも不満を抱き、元妻へ返そうと企てる型破りなロマンティック・コメディ

「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」(原題:Maggie's Plan)は、2015年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。レベッカ・ミラー監督、グレタ・ガーウィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーアら出演で、恋愛感情を維持できない女性が人…

「君の名前で僕を呼んで」:美しいイタリアの田舎で家族とともに過ごす17歳の少年の夏休み、年上の青年へのほろ苦い初恋を爽やかに描く

「君の名前で僕を呼んで」(原題:Call Me By Your Name)は2017年公開のイタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作の恋愛ドラマ映画です。アンドレ・アシマンが2007年に上梓した同名小説を原作に、ジェームズ・アイヴォリーが脚色を手がけ、ルカ・グァダ…

「運命を分けたザイル」:厳美のアンデス山中で相方にザイルを切られ墜落するも、奇跡的に生還する登山家の凄絶なサバイバルと感情の交錯

「運命を分けたザイル」(原題:Touching the Void)は、2003年公開のイギリスのドキュメンタリー&実録ドラマ映画です。ジョー ・シンプソンの自伝「死のクレバス―アンデス氷壁の遭難」を原作に、ケヴィン・マクドナルド監督、ジョー・シンプソン本人、サイ…

「夏時間の庭」:時代、社会、芸術への洞察を背景に、パリ郊外の自然のに囲まれた家に集う家族を印象派の絵画のように美しく描いたドラマ

「夏時間の庭」(原題:L'Heure d'été)は、2008年公開のフランスのヒューマン・ドラマ映画です。パリ、オルセー美術館の20周年を記念して制作された作品で、オリヴィエ・アサイヤス監督・脚本、ジュリエット・ビノシュら出演で、パリ郊外の古めかしい邸宅を…

「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」:封建時代の日本を舞台に神話的規模感の叙事詩をストップモーション・アニメで描いた冒険ファンタジー

「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」(原題:Kubo and the Two Strings)は、2016年公開のアメリカの3Dストップモーション・アニメーションによる冒険ファンタジー&アクション映画です。トラヴィス・ナイト監督、アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マ…

「BPM ビート・パー・ミニット」:自らの活動家経験を基に、死の恐怖と戦い懸命に生きるエイズの若者達をリアルに描いた感動的なドラマ

「BPM ビート・パー・ミニット」(原題:120 battements par minute)は、2017年公開のフランスのドラマ映画です。エイズ活動家団体「ACT UP」におけるロバン・カンピヨ監督とフィリッペ・マンジョの経験を基に、ロバン・カンピヨ監督/フィリッペ・マンジョ…

「犬ヶ島」: 近未来の日本を舞台に独特の構図、細部の拘りなどウェス・アンダーソン監督の世界観を濃縮したストップモーション・アニメ

「犬ヶ島」(原題:Isle of Dogs )は、2018年公開のアメリカ・ドイツ合作のストップモーション・アニメーション映画です。ウェス・アンダーソン監督、コーユー・ランキン、リーヴ・シュレイバー、ブライアン・クランストンら出演で、近未来の日本を舞台に犬…

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」:身体の不自由な女性画家とその夫の辺地での生活を通して幸せの意味を問う伝記ドラマ

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(原題: Maudie)は、2016年公開のアイルランド・カナダ合作の伝記ドラマ映画です。田舎の風景、動物、草花をモチーフに、明るい色彩とシンプルなタッチで温かく幸福感のある絵を描き、カナダで最も有名な画…

「ボストン ストロング〜ダメな僕だから英雄になれた〜」:強いボストンの象徴となる爆破テロ被害者と家族をビビッドに描いた人間ドラマ

「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」(原題: Stronger)は、2017年公開のアメリカの伝記映画です。2013年4月15日に起きたボストン・マラソンの会場で爆破テロに遭い、両脚を切断する悲劇に見舞われたジェフ・ボーマンとブレット・ウィッ…

「ローガン・ラッキー」:オールスター・キャスト、捻られたスリリングな展開、コミカルで風刺がきいたソダーバーグ監督の劇場映画復帰作

「ローガン・ラッキー」(原題:Logan Lucky)は、2017年公開のアメリカのクライム・アクション&コメディ・ドラマ映画です。「サイド・エフェクト」(2013年)を最後に劇場映画から引退、テレビやネット配信の映画製作を手がけていたスティーブン・ソダーバ…

町山智浩著「『最前線の映画』を読む」:映画の周辺を彷徨う楽しみ

ぶらりと入った書店で購入しました。町山智浩氏による映画解説で、2014年から2017年に公開された話題作20篇について、一篇一章、全20篇20章で構成されています。一章あたり10ページ足らずで、移動の途中や寝る前など、ちょっとした空き時間に気軽に読むこと…

「ぼくの名前はズッキーニ」:滑稽なタイトル、大きな目のパペット、カラフルな映像で、孤児達を優しく描いたストップモーション・アニメ

「ぼくの名前はズッキーニ」(原題:Ma vie de Courgette、英題:My Life as a Zucchini)は、2016年公開のスイス・フランス合作のストップモーション・アニメーション映画です。2002年に発表されたジル・パリスの同名小説を原作に、クロード・バラス監督、…

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:無邪気な子供達を色彩豊かに描きつつ米国の社会問題を映す、美しく、楽しく、少し切ないドラマ

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」(原題:The Florida Project)は、2017年公開のアメリカのドラマ映画です。ショーン・ベイカー監督、ブルックリン・プリンスら出演で、ディズニー・ワールドに隣接する安モーテルで暮らす人々と子供たちを、真夏のフ…

「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」:伝統的構成に織り込まれた多層のテーマが感動を生む、歴代最高級ロマンティックコメディ

「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」(原題:The Big Sick)は、2017年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。コメディアンのクメイル・ナンジアニの経験を脚本に、ジャド・アパトー制作、マイケル・ショウォルター監督、クメイル・ナ…

「ブレードランナー 2049」:名作オリジナルと同じ題材・主題・形式ながら、圧倒的な映像美と視覚効果がより時代にマッチする画期的続編

「ブレードランナー 2049」(原題:Blade Runner 2049)は、2017年公開のアメリカのSFファンタジー&ドラマ映画です。フィリップ・K・ディックの小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を基にした1982年公開のカルト的名作映画「ブレードランナー」の続…

「エル・クラン」:軍事政権崩壊後のアルゼンチン、家族ぐるみの誘拐ビジネスの悲劇を描いた、実話に基づく犯罪サスペンス&ドラマ映画

「エル・クラン」 (原題:El Clan)は、2015年公開のアルゼンチンのクライム・サスペンス&ドラマ映画です。1980年代初頭に4人を誘拐、3人を殺害したプッチオ家の実話を題材に、パブロ・トラペロ監督・脚本、ギレルモ・フランチェラら出演で、近隣の人々か…

「RAW~少女のめざめ~」:少女に潜在する獣性の目覚めを多層構造の中で描き出した、ドラマ性が高く深みのある稀有なボディ・ホラー

「RAW~少女のめざめ~」(原題:Grave、英題:Raw)は、2016年公開のフランス・ベルギー合作のホラー&ドラマ映画です。ジュリア・デュクルノー監督・脚本、ギャランス・マリリエら出演で、獣医科大学に進学したベジタリアンの少女が肉を食べたことから、自…

「リメンバー・ミー」:メキシコの「死者の日」を題材に、伝統を汲みながら、家族、生と死をリッチに描いたディズニー王道のCGアニメ

「リメンバー・ミー」(原題:Coco)は、2017年公開のアメリカの冒険ファンタジーCGアニメ映画です。ピクサー・アニメーション・スタジオの19作目の長編作品で、メキシコの「死者の日」の祭りを題材に、骸骨となった死者達が陽気に暮らす、テーマパークの様…

「婚約者の友人」:第一次大戦後の独・仏を舞台にフランソワ・オゾン監督の刺激的な物語りとパウラ・ベーアの演技が味わい深いドラマ映画

「婚約者の友人」(原題:Frantz)は2016年公開のフランス・ドイツ合作のドラマ映画です。エルンスト・ルビッチ監督の「私の殺した男」(1932年)を翻案、フランソワ・オゾン監督・脚本、パウラ・ベーア、ピエール・ニネら出演で、第一次世界大戦後のドイツ…

「ブレードランナー」:斬新な映像で環境破壊やクローニングを描き、サイバーパンク、SFノワールを先駆けた名作に甘い逃避行も悪くない

「ブレードランナー」(原題:Blade Runner)は、1982年公開のアメリカのSFノワール映画です。フィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を原作に、リドリー・スコット監督、ハリソン・フォードら出演で、近未来のLAを舞台に…

「シェイプ・オブ・ウォーター」:冷戦時代のアメリカを舞台に、アマゾンの異生物と女性のラブストーリーを描いた大人の為のファンタジー

「シェイプ・オブ・ウォーター」(原題:The Shape of Water)は、2017年公開のアメリカのSFファンタジー&ロマンティック・ダーク・コメディ映画です。ギレルモ・デル・トロ監督・共同脚本、サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキ…

「スリー・ビルボード」:個性的なキャラクターを強力な演技派俳優陣が演じ、昇華できない苦悩を独特のトーンで描いた、類を見ない悲喜劇

「スリー・ビルボード」(原題: Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)は、2017年公開のアメリカ・イギリス合作のクライム・サスペンス&ドラマ映画です。マーティン・マクドナー監督・脚本、フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・…

「ブラックパンサー」:普遍的テーマをアフリカ的に描いて興行記録を塗り替えた、アフリカ系映画人による画期的スーパーヒーロー娯楽大作

「ブラックパンサー」(原題:Black Panther)は、2018年公開のアメリカのスーパーヒーロー映画です。アメリカン・コミック「ブラックパンサー」の実写映画化作品で、マーベル・スタジオ制作、ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ配給…

「12モンキーズ」:独自で緻密な世界観、決定論とラブストーリー、交錯する現実と幻想、二大俳優の転機となった傑作SFファンタジー

「12モンキーズ」(原題:Twelve Monkeys)は、1995年公開のアメリカのSFファンタジー&ドラマ映画です。フランスの映像作家クリス・マルケル監督の名作短編「ラ・ジュテ」(La Jetée、1962年)に触発されたデイヴィッド&ジャネット・ピープルズ夫妻が脚本…

「ヴィンセントが教えてくれたこと」:メルフィ監督の経験をビル・マーレイらが熱演、新たな家族・隣人との関係を描いたコメディ&ドラマ

「ヴィンセントが教えてくれたこと」(原題:St. Vincent)は、2014年公開のアメリカのコメディ&ドラマ映画です。セオドア・メルフィ監督・脚本、ビル・マーレイ、メリッサ・マッカーシー、ジェイデン・リーバハー、ナオミ・ワッツ、クリス・オダウドら出演…

「バリー・シール/アメリカをはめた男」:CIA、麻薬王、ゲリラ、軍事政権の間で荒稼ぎ、実話に基づくアメリカン・クライム・アクション

「バリー・シール/アメリカをはめた男」(原題: American Made)は、2017年公開のアメリカの伝記映画です。ダグ・リーマン監督、トム・クルーズら出演で、大手航空会社のパイロットとして活躍した後、CIAの極秘任務にスカウトされたのを契機に、麻薬王、反政…

「ゲット・アウト」:センセーショナルな題材を、ヒネリを効かせながら示唆に富む展開で纏めた、密度の高いスリリングなホラー・コメディ

「ゲット・アウト」(原題:Get Out)は、2017年公開のアメリカの社会派スリラー&コメディ映画です。ジョーダン・ピール監督・脚本、ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズら出演で、白人の彼女の実家を訪れたアフリカ系アメリカ人の青年が体験する恐…

「猿の惑星:聖戦記」:名作SFをリブート、戦争と復讐に突き動かされる猿のリーダーの心情を精緻に表現し、種の歴史を描く聖書的叙事詩

「猿の惑星:聖戦記」(原題:War for the Planet of the Apes)は、2017年公開のアメリカのSF映画です。ピエール・ブールによる同名のSF小説を原作にした「猿の惑星」シリーズをリブートした新三部作の完結編で、高度な知能を得て反乱を起こした猿たちと人…