夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

【閑話休題】脱マンネリ、音楽のプレイリストの現実的更新法

随分と長い間、iTunesのプレイリストがほとんど同じままになっている。200~300曲ほどプレイリストに入れ、BGMとして聞いている。少なくとも何日間かは同じ曲がかかることがないのは良いが、熱い音楽ファンというわけでもないので新しい曲がほとんど追加され…

「トップガン・マーベリック」:前作の様式を踏襲しつつアップデート 新たなストーリーを組み込み スケールアップした完成度の高い作品

「トップガン・マーヴェリック」(2022年)を公開初日、初回のIMAX版上映で見てきました。 この投稿をInstagramで見る トップガン(@topgunmovie_jp)がシェアした投稿 目次 劇場解禁 何十回と見た前作 前作を凌ぐ水準 関連作品 関連記事 劇場解禁 昔で言…

【閑話休題】記憶に残る映画のカメラワーク三選

CGやアクションカメラの進化によって、これまで撮影が困難だった映像や斬新な映像などこれまで見たこともない映像を見ることができるようになりました。そうしたカメラワークによる効果は驚くばかりですが、一方で記憶に残る映画のカメラワークは意外に地味…

【緩和休題】ガチガチのデスクトップ派が MacBook Pro を購入した理由

ガチガチのデスクトップ派です。パソコンを使い始めて以来、ずっとデスクトップ機にこだわり続けています。 画面が大きく 、キーの感触も良いなど、楽に使えるのでノートを使う気には全くなれません。モバイル環境はiPhoneがあれば十分です。 それが、たまた…

【閑話休題】海外に比べ感染者が少ないのに医療崩壊に戦々恐々とする理由

日本は医療大国だと思っていましたが、コロナ禍に晒されとことにより様々な問題が浮き上がってきました。気づいたことは以前に dayslikemosaic.hateblo.jp dayslikemosaic.hateblo.jp にまとめましたが、これらに大なり小なり関連する問題として、四ヶ月ほど…

【閑話休題】20年前のフィルム・スキャナーを再生、撮影したフィルムに再び光をあててみる

20年ほど前、カメラのデジタル化を尻目に主にスライド(ポジフィルム)で写真を撮っていた。フィルムをスキャンしてデジタル化する周辺機器(フィルムスキャナー)があり、これを利用して自分でプリントしたり、パソコンの壁紙を作ったりしていたが、なにせ…

「フリーソロ」:千メートルに及ぶ絶壁エル・キャピタンを史上初の安全装備なしで登攀した登山家を追った、完成度の高いドキュメンタリー

「フリーソロ」(原題:Free Solo)は、2018年公開のアメリカのドキュメンタリー映画です。エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ/ジミー・チン共同監督で、ロック・クライマー、アレックス・オノルドによる2017年6月のエル・キャピタンへのフリーソロ・クライ…

【閑話休題】「映画は観るより撮るほうが良い」というわけではありませんが・・・

Vlog を始めてみました。 【料理】ミートソースとケイジャン・スパイスで本格風味のジャンバラヤを作る(YouTube) とか、 【カメラ】レンズ・グリップの修理〜中国製部品に敗北(YouTube) とか、撮っています。ご興味がありましたら、チャンネル登録してみ…

「初恋のきた道」:中国の大地の圧倒的な厳しさ、美しさの中で、生涯をかけた初恋の成就を通して自然と人間の愛の営みを描いた感動的名作

「初恋のきた道」(原題:我的父親母親、英題:Road Home)は、1999年公開の中国のドラマ映画です。パオ・シー(鮑十)の同名小説を原作に、チャン・イーモウ(張芸謀)監督、パオ・シー(鮑十)脚本、チャン・ツィイー(章子怡)ら出演で、厳しくも美しい中…

【閑話休題】アマゾンで部材を調達してプチDIY〜費用も手間もかけずにDIY気分

大きな家具を作ったり、PCを自作するとなると費用も手間もかかりますが、アマゾンで部材を調達してちょっとした修理や改造を行う分には、さして費用も手間をかけずにDIY気分を味わうことができます。最近のそんなプチDIYをいくつか紹介します。 目次 包丁研…

【閑話休題】大丈夫?新型コロナウイルス対策に見る日本の危機管理

緊急事態宣言が功を奏し、感染封じ込めのフェーズに入りかけているようです。まだまだ戦いは続きますが、忘れないうちに新型コロナウイルス対策の危機管理について感じたことをまとめておきます。 目次 不思議な対策方針 他国並みに検査ができない異常事態 …

「恋する惑星」:国際都市香港を象徴する卓越した映像と音楽、熟考された登場人物と自然な演技のスタイリッシュなロマンティックコメディ

「恋する惑星」(原題:重慶森林、英題:Chungking Express)は、1994年公開の香港のサスペンス/ファンタジー&ロマンティック・コメディ映画です。ウォン・カーウァイ監督、トニー・レオン、フェイ・ウォン、金城武ら出演で、香港の九龍、尖沙咀にある雑居…

【閑話休題】米アカデミー賞のもやもや〜外国映画に逃れるリベラルと多極時代のアメリカ映画らしさ

目次 物議を醸したアカデミー作品賞 アジア系はアカデミー賞を受賞しにくい 大統領選以降の作品賞の傾向 多極時代のアメリカ映画らしさ VFX技術に裏打ちされたアメコミ映画 多様性とインクルシーブな世界を描く映画 アメリカ人のルーツとアイデンティを描く…

【閑話休題】新型コロナウイルス対策に関する奇妙な誤解

目次 新型コロナウイルス対策に関する奇妙な誤解 新型コロナウイルス検査の限界 積極的な検査が医療崩壊を招くのか? 医療崩壊を回避する為には? 日本が考えなければならないこと 関連作品 関連記事 新型コロナウイルス対策に関する奇妙な誤解 「希望者は誰…

「わたしを離さないで」:ノーベル賞作家カズオ・イシグロの示唆に富むSFを原作に、イギリスの若手オスカー級俳優が揃い踏みの文芸映画

「わたしを離さないで」(原題:Never Let Me Go)は、2010年公開のイギリスのSFファンタジー&ヒューマン・ドラマ映画です。2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロが2005年に発表した同名小説を原作に、マーク・ロマネク監督、アレックス・ガー…

「ハートビート」:世界級のダンサーをキャスト、音楽、バレエ、ヒップホップ・ダンスをマッシュアップした、誰にでも楽しめるドラマ映画

「ハートビート」は、2016年公開のアメリカ・ルーマニア合作のダンス&ドラマ映画です。マイケル・ダミアン監督、マイケル&ジャニーン・ダミアン共同脚本、キーナン・カンパ、ニコラス・ガリッツィンら出演で、プロのバレエダンサーを目指しニューヨークに…

「アトミック・ブロンド」:冷戦終結の混乱の中で闘う女性スパイをスタイリッシュに描いた、シャーリーズ・セロンのノワール調アクション

「アトミック・ブロンド」(原題:Atomic Blonde)は、2017年公開のアメリカのノワール調スパイ・アクション映画です。アンソニー・ジョンストンとサム・ハートが2012年に発表したグラフィック・ノベル「The Coldest City」を原作に、デヴィッド・リーチ監督…

「ブロードウェイ♪ブロードウェイ~コーラスラインにかける夢~」:プロダンサーのオーディションを追う魅力と示唆に富むドキュメンタリー

「ブロードウェイ♪ブロードウェイ〜コーラスラインにかける夢〜」(原題:Every Little Step)は、2008年公開のアメリカのドキュメンタリー映画です。ジェイムズ・D・スターン、アダム・デル・デオの共同監督で、名作ブロードウェイ・ミュージカル「コーラス…

【閑話休題】比較的地味なアフガン紛争(2001年〜)が映画の題材となる理由

本記事は、拙稿 「ローン・サバイバー」:米海軍特殊部隊史上最悪の悲劇と言われたレッド・ウィング作戦を描いたリアルでスリリングな実録戦争アクション - 夢は洋画をかけ廻る の「アフガニスタン紛争(2001年〜)と関連映画」の項を加筆編集したものです(…

「ローン・サバイバー」:米海軍特殊部隊史上最悪の悲劇と言われたレッド・ウィング作戦を描いたリアルでスリリングな実録戦争アクション

「ローン・サバイバー」(原題:Lone Survivor)は、2013年公開のアメリカの戦争アクション&ドラマ映画です。アメリカの精鋭特殊部隊ネイビー・シールズ創設以来最大の悲劇と言われるレッド・ウィング作戦に参加した、元隊員のマーカス・ラトレルの手記「ア…

【閑話休題】#MeToo運動のインパクトとビジネスマンがとるべき規範

レイプ被害に関して刑事不起訴となった伊藤詩織さんが、民事訴訟を通して自らの体験・経緯を明らかにし、広く社会での議論を喚起、性犯罪を取り巻く法的・社会的状況の改善を促すだろうと高く評価されています。日本では低調とされていた#MeToo運動ですが、…

「ファースト・マン」:娘の喪失に苦しみながらも人類で初めて月面に立った実在の宇宙飛行士をパーソナルな視点から描いた劇的な伝記映画

「ファースト・マン」(原題: First Man)は、2018年公開のアメリカの伝記ドラマ映画です。ジェームズ・R・ハンセンによるニール・アームストロングの伝記「ファーストマン:ニール・アームストロングの人生」を原作に、デイミアン・チャゼル監督、ジョシュ…

「ホイットニー〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜」:圧倒的な歌唱力で頂点を極めるも無念の死を遂げた大歌手に迫る充実のドキュメンタリー

「ホイットニー 〜オールウェイズ・ラヴ・ユー〜」(原題:Whitney)は、2018年公開のイギリス・アメリカ合作のドキュメンタリー映画です。圧倒的な歌唱力で音楽シーンをリードし、スーパーボールでアメリカ国歌斉唱の歴史を変え、映画「ボディガード」の主…

「ブラック・クランズマン」:70年代を舞台に現代に通じる人種差別をテンポ良く描き出した、上質かつ強烈な実話的クライム・サスペンス

「ブラック・クランズマン」(原題:BlacKkKlansman)は、2018年公開のアメリカの伝記&クライム・サスペンス映画です。ロン・ストールワースの回顧録「ブラック・クランズマン」を原作に、スパイク・リー監督、デンゼル・ワシントンの長男ジョン・デヴィッ…

「迫り来る嵐」:劇的な経済成長を遂げた中国の変遷を背景に、高い映像クォリティで描かれた、中国では珍しい社会派クライム・サスペンス

「迫り来る嵐」(原題:暴雪将至、英題:The Looming Storm)は、2017年公開の中国の社会派クライム・サスペンス映画です。本作で長編デビューを果たしたドン・ユエ監督・脚本、ドアン・イーホン(段奕宏)、ジャン・イーイェン(江一燕)ら出演で、1990年代…

「ジュリアン」:DVの本質である怒りの暴走をスリリングに描き、配偶者のみならず子供にも与える心の傷を強く訴えるサスペンス&ドラマ

「ジュリアン」(原題:Jusqu'à la garde)は、2017年公開のフランスのサスペンス&ドラマ映画です。 グザヴィエ・ルグラン監督、トマ・ジオリア、ドゥニ・メノーシェら出演で、11歳の息子の親権を妻と争う夫が、息子と面会する度に妻の電話番号や住所を聞き…

「ある女流作家の罪と罰」:著名人の手紙を捏造した実在の作家をメリッサ・マッカーシーが好演、巧みに共感を誘う伝記ドラマ&コメディ

「ある女流作家の罪と罰」(原題:Can You Ever Forgive Me?)は、2018年公開のアメリカの伝記ドラマ&コメディ映画です。伝記作家のリー・イスラエルが2008年に発表した自伝「Can You Ever Forgive Me? 」を原作に、マリエル・ヘラーが監督、メリッサ・マッ…

「バーニング 劇場版」:村上春樹の短編を日常の不条理で多層化し、さらに差別への怒りで駆り立てた、見ごたえのあるミステリー&ドラマ

「バーニング 劇場版」(原題:버닝)は、2018年公開の韓国のミステリー&ドラマ映画です。村上春樹の短編小説「納屋を焼く」を原作に、ユ・アイン、スティーヴン・ユァン、チョン・ジョンソら出演で、幼なじみとの再会を機に奇妙な出来事に巻き込まれていく…

「バジュランギおじさんと、小さな迷子」:政治色の濃い宗教・印パ対立を背景に、人間愛を描く巧みな脚本で大ヒットしたインド産コメディ

「バジュランギおじさんと、小さな迷子」(原題:Bajrangi Bhaijaan)は、2015年に公開されたインドのドラマ映画です。カビール・カーン監督、K.V.ヴィジャエーンドラ・プラサード脚本、サルマン・カーン、ハルシャーリー・マルホートラ、ナワーズッディーン…

「アベンジャーズ/エンドゲーム」:強敵に行き詰まるヒーロー集団とオールスターの大団円、マーベルの叙事詩的英雄談シリーズの集大成

「アベンジャーズ/エンドゲーム」(原題:Avengers: Endgame)は、2019年公開のアメリカのスーパーヒーロー映画です。アメリカン・コミックのマーベル・コミック「アベンジャーズ」の実写映画化作品で、「アベンジャーズ」(2012年)、「アベンジャーズ/エイ…