夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」:テニス男女決戦の実話に基づき、人間模様を描きつつ女性差別を風刺するヒューマン・コメディ&ドラマ

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」(原題:Battle of the Sexes)は、2017年公開のアメリカのスポーツ系ヒューマン・コメディ&ドラマ映画です。全世界のテニスファンの注目を集めた1973年の男女決戦の実話に基づき、ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファ…

「アントマン&ワスプ」:パートナー新登場、縮小技術を駆使しコミカルにMCUをリフレッシュするシリーズ第二作のアクション・コメディ

「アントマン&ワスプ」(原題:Ant-Man and the Wasp)は、2018年公開のアメリカのスーパー・ヒーロー映画です。マーベル・スタジオが製作、ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズが配給する、マーベル・コミックのアメリカン・コミック…

【閑話休題】「湯を沸かすほどの熱い愛」を洋画の目(世界の目)で見てみる

先般、テレビ放映された際に録画しておいた、中野量太監督、宮沢りえ主演の「湯を沸かすほどの熱い愛」を観ました。とても良い作品ですが、洋画の目(世界の目)から見て気づいたことが何点かありましたので、まとめてみました。 「湯を沸かすほどの熱い愛」…

「クワイエット・プレイス」:ホラー初挑戦で記録的ヒット、見えぬ恐怖と静寂が館内を包む、エミリー・ブラント主演のサスペンス・ホラー

「クワイエット・プレイス」(原題:A Quiet Place)は、2018年公開のアメリカのサスペンス・ホラー映画です。ジョン・クラシンスキー監督、エミリー・ブラントら出演で、姿の見えない地球外生命から身を潜め、物音をたてずに密かに生きる家族に迫る恐怖を描…

「クレイジー・リッチ!」:恋人のシンガポールの実家で大富豪一族と悪戦苦闘する中国系アメリカ人女性を描いたロマンティック・コメディ

「クレイジー・リッチ!」(原題:Crazy Rich Asians、中題:摘金奇緣)は、2018年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。ケヴィン・クワンが2013年に発表した小説「クレイジー・リッチ・アジアンズ」を原作に、ジョン・M・チュウ監督、コンス…

「ファントム・スレッド」:引退するダニエル・デイ=ルイスの卓越した演技、美しい衣装、甘い音楽で紡がれたゴシック・ロマンス風ドラマ

「ファントム・スレッド」(原題:Phantom Thread)は、2017年公開のアメリカのドラマ映画です。ポール・トーマス・アンダーソン監督・脚本、ダニエル・デイ=ルイス、レスリー・マンヴィルら出演で、1950年代のイギリスを舞台に著名なオートクチュールの仕…

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」:国際的なカンニングをソダーバーグばりにスタイリッシュ、スリリングに描いた画期的なタイ映画

「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」(原題:ฉลาดเกมส์โกง (Chalard Games Goeng/Chalat Kem Kong)、英題:Bad Genius)は、2017年公開のタイのクライム・サスペンス&ドラマ映画です。ナタウット・プーンピリヤ監督、チュティモン・ジョンジャルーンス…

【閑話休題】最近、観た邦画と雑感

本ブログでは洋画のみを扱っていますが、筆者はほとんど邦画を観ることはありません。もともとは、といっても10年以上前ですが、洋画、邦画、半々くらいの比率で見ていました。しかし、邦画を観た後にがっかりすることが多く、自然に手が出なくなったという…

「スターリンの葬送狂騒曲」:旧ソ連の権力承継の狭間を描き、独裁や粛清が人間の普遍的欲望の反映であることを暗示する高度な政治悲喜劇

「スターリンの葬送狂騒曲」(原題:The Death of Stalin)は、2017年公開のイギリス・フランスの歴史ドラマ&コメディ映画です。フランスのグラフィック・ノベル「La mort de Staline」(スターリンの死)を原作に、アーマンド・イアヌッチ監督、スティーヴ…

「レディ・バード」:故郷から巣立ちを目指す女子高生を母との対立を軸にコミカルに生き生きと描く、グレタ・ガーウィグの監督デビュー作

「レディ・バード」(原題:Lady Bird)は、2017年公開のアメリカのコメディ&ドラマ映画です。グレタ・ガーウィグ監督・脚本、シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメら出演で、カリフォルニアの片田舎のカ…

「グローリー/明日への行進」:非暴力を貫くキング牧師の政治信条、人間的側面と、周囲の人々、道半ばで倒れた人々を描いた感動的な作品

「グローリー/明日への行進」(原題: Selma)は、2014年公開のアメリカの歴史ドラマ映画です。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアらによって先導された1965年のアラバマ州セルマの大行進を題材に、ポール・ウェブによる脚本をエイヴァ・デュヴァーネイ…

「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」:妻子ある男性と結婚するも不満を抱き、元妻へ返そうと企てる型破りなロマンティック・コメディ

「マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ」(原題:Maggie's Plan)は、2015年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。レベッカ・ミラー監督、グレタ・ガーウィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーアら出演で、恋愛感情を維持できない女性が人…

「君の名前で僕を呼んで」:美しいイタリアの田舎で家族とともに過ごす17歳の少年の夏休み、年上の青年へのほろ苦い初恋を爽やかに描く

「君の名前で僕を呼んで」(原題:Call Me By Your Name)は2017年公開のイタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作の恋愛ドラマ映画です。アンドレ・アシマンが2007年に上梓した同名小説を原作に、ジェームズ・アイヴォリーが脚色を手がけ、ルカ・グァダ…

「運命を分けたザイル」:厳美のアンデス山中で相方にザイルを切られ墜落するも、奇跡的に生還する登山家の凄絶なサバイバルと感情の交錯

「運命を分けたザイル」(原題:Touching the Void)は、2003年公開のイギリスのドキュメンタリー&実録ドラマ映画です。ジョー ・シンプソンの自伝「死のクレバス―アンデス氷壁の遭難」を原作に、ケヴィン・マクドナルド監督、ジョー・シンプソン本人、サイ…

「夏時間の庭」:時代、社会、芸術への洞察を背景に、パリ郊外の自然のに囲まれた家に集う家族を印象派の絵画のように美しく描いたドラマ

「夏時間の庭」(原題:L'Heure d'été)は、2008年公開のフランスのヒューマン・ドラマ映画です。パリ、オルセー美術館の20周年を記念して制作された作品で、オリヴィエ・アサイヤス監督・脚本、ジュリエット・ビノシュら出演で、パリ郊外の古めかしい邸宅を…

「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」:封建時代の日本を舞台に神話的規模感の叙事詩をストップモーション・アニメで描いた冒険ファンタジー

「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」(原題:Kubo and the Two Strings)は、2016年公開のアメリカの3Dストップモーション・アニメーションによる冒険ファンタジー&アクション映画です。トラヴィス・ナイト監督、アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マ…

「BPM ビート・パー・ミニット」:自らの活動家経験を基に、死の恐怖と戦い懸命に生きるエイズの若者達をリアルに描いた感動的なドラマ

「BPM ビート・パー・ミニット」(原題:120 battements par minute)は、2017年公開のフランスのドラマ映画です。エイズ活動家団体「ACT UP」におけるロバン・カンピヨ監督とフィリッペ・マンジョの経験を基に、ロバン・カンピヨ監督/フィリッペ・マンジョ…

「犬ヶ島」: 近未来の日本を舞台に独特の構図、細部の拘りなどウェス・アンダーソン監督の世界観を濃縮したストップモーション・アニメ

「犬ヶ島」(原題:Isle of Dogs )は、2018年公開のアメリカ・ドイツ合作のストップモーション・アニメーション映画です。ウェス・アンダーソン監督、コーユー・ランキン、リーヴ・シュレイバー、ブライアン・クランストンら出演で、近未来の日本を舞台に犬…

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」:身体の不自由な女性画家とその夫の辺地での生活を通して幸せの意味を問う伝記ドラマ

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(原題: Maudie)は、2016年公開のアイルランド・カナダ合作の伝記ドラマ映画です。田舎の風景、動物、草花をモチーフに、明るい色彩とシンプルなタッチで温かく幸福感のある絵を描き、カナダで最も有名な画…

「ボストン ストロング〜ダメな僕だから英雄になれた〜」:強いボストンの象徴となる爆破テロ被害者と家族をビビッドに描いた人間ドラマ

「ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜」(原題: Stronger)は、2017年公開のアメリカの伝記映画です。2013年4月15日に起きたボストン・マラソンの会場で爆破テロに遭い、両脚を切断する悲劇に見舞われたジェフ・ボーマンとブレット・ウィッ…

「ローガン・ラッキー」:オールスター・キャスト、捻られたスリリングな展開、コミカルで風刺がきいたソダーバーグ監督の劇場映画復帰作

「ローガン・ラッキー」(原題:Logan Lucky)は、2017年公開のアメリカのクライム・アクション&コメディ・ドラマ映画です。「サイド・エフェクト」(2013年)を最後に劇場映画から引退、テレビやネット配信の映画製作を手がけていたスティーブン・ソダーバ…

町山智浩著「『最前線の映画』を読む」:映画の周辺を彷徨う楽しみ

ぶらりと入った書店で購入しました。町山智浩氏による映画解説で、2014年から2017年に公開された話題作20篇について、一篇一章、全20篇20章で構成されています。一章あたり10ページ足らずで、移動の途中や寝る前など、ちょっとした空き時間に気軽に読むこと…

「ぼくの名前はズッキーニ」:滑稽なタイトル、大きな目のパペット、カラフルな映像で、孤児達を優しく描いたストップモーション・アニメ

「ぼくの名前はズッキーニ」(原題:Ma vie de Courgette、英題:My Life as a Zucchini)は、2016年公開のスイス・フランス合作のストップモーション・アニメーション映画です。2002年に発表されたジル・パリスの同名小説を原作に、クロード・バラス監督、…

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:無邪気な子供達を色彩豊かに描きつつ米国の社会問題を映す、美しく、楽しく、少し切ないドラマ

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」(原題:The Florida Project)は、2017年公開のアメリカのドラマ映画です。ショーン・ベイカー監督、ブルックリン・プリンスら出演で、ディズニー・ワールドに隣接する安モーテルで暮らす人々と子供たちを、真夏のフ…

「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」:伝統的構成に織り込まれた多層のテーマが感動を生む、歴代最高級ロマンティックコメディ

「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」(原題:The Big Sick)は、2017年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。コメディアンのクメイル・ナンジアニの経験を脚本に、ジャド・アパトー制作、マイケル・ショウォルター監督、クメイル・ナ…

「ブレードランナー 2049」:名作オリジナルと同じ題材・主題・形式ながら、圧倒的な映像美と視覚効果がより時代にマッチする画期的続編

「ブレードランナー 2049」(原題:Blade Runner 2049)は、2017年公開のアメリカのSFファンタジー&ドラマ映画です。フィリップ・K・ディックの小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を基にした1982年公開のカルト的名作映画「ブレードランナー」の続…

「エル・クラン」:軍事政権崩壊後のアルゼンチン、家族ぐるみの誘拐ビジネスの悲劇を描いた、実話に基づく犯罪サスペンス&ドラマ映画

「エル・クラン」 (原題:El Clan)は、2015年公開のアルゼンチンのクライム・サスペンス&ドラマ映画です。1980年代初頭に4人を誘拐、3人を殺害したプッチオ家の実話を題材に、パブロ・トラペロ監督・脚本、ギレルモ・フランチェラら出演で、近隣の人々か…

「RAW~少女のめざめ~」:少女に潜在する獣性の目覚めを多層構造の中で描き出した、ドラマ性が高く深みのある稀有なボディ・ホラー

「RAW~少女のめざめ~」(原題:Grave、英題:Raw)は、2016年公開のフランス・ベルギー合作のホラー&ドラマ映画です。ジュリア・デュクルノー監督・脚本、ギャランス・マリリエら出演で、獣医科大学に進学したベジタリアンの少女が肉を食べたことから、自…

「リメンバー・ミー」:メキシコの「死者の日」を題材に、伝統を汲みながら、家族、生と死をリッチに描いたディズニー王道のCGアニメ

「リメンバー・ミー」(原題:Coco)は、2017年公開のアメリカの冒険ファンタジーCGアニメ映画です。ピクサー・アニメーション・スタジオの19作目の長編作品で、メキシコの「死者の日」の祭りを題材に、骸骨となった死者達が陽気に暮らす、テーマパークの様…

「婚約者の友人」:第一次大戦後の独・仏を舞台にフランソワ・オゾン監督の刺激的な物語りとパウラ・ベーアの演技が味わい深いドラマ映画

「婚約者の友人」(原題:Frantz)は2016年公開のフランス・ドイツ合作のドラマ映画です。エルンスト・ルビッチ監督の「私の殺した男」(1932年)を翻案、フランソワ・オゾン監督・脚本、パウラ・ベーア、ピエール・ニネら出演で、第一次世界大戦後のドイツ…