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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「スタンリーのお弁当箱」:格差を超えて助け合うインドの少年達を、類い稀なる演出でヴィヴィッドに描く

インド映画

「スタンリーのお弁当箱」(原題:Stanley Ka Dabba)は、2011年のインドのコメディ映画です。アモール・グプテ監督、パルソー主演で、家庭の事情で学校に弁当を持ってくることができない少年と教師、クラスメート達の交流を描いています。

 

 「スタンリーのお弁当箱」(Amazon

 iTunesで観る*1

 

目次

スタッフ・キャスト

監督:アモール・グプテ
脚本:アモール・グプテ
出演:パルソー(スタンリー: 4年生、クラスの人気者)
   ディヴィヤ・ダッタ(ロージー: 英語教師、スタンリーの理解者)
   ラジェンドラナート・ズーチー(ズーチー : 新しく赴任して来た歴史教師)    ディヴィヤ・ジャグダレ(アイヤル:科学教師、熱心だが厳しい)
   ラフール・シン(校長)
   アモール・グプテ(ヴァルマー:意地悪で食い意地の張った中年の国語教師)    ほか

あらすじ

  • ムンバイカトリック系の学校に通う4年生のスタンリー(パルソー)は明るい性格で、いつも楽しい物語を創作してクラスメートを笑わるクラスの人気者です。ある朝、頬にあざを作って登校してきたスタンリーに、英語教師のロージー(ディヴィヤ・ダッタ)がその理由を尋ねると、街で喧嘩に巻き込まれたのだとクラス中を楽しませます。
  • スタンリーは、家庭の事情で弁当を持ってくることができないため、昼食の時間はクラスメートに隠れて水を飲み、空腹を紛らわせていました。昼食時間になるといつもいなくなるスタンリーを見かねたクラスメートたちは自分たちの弁当を少しずつスタンリーに分けてあげようとしますが、スタンリーを目の敵にしている中年の国語教師ヴァルマー(アモール・グプテ)に横取りされてしまいます。実はヴァルマーは自身も弁当を持って来ておらず、いつも同僚や生徒たちにたかっており、特に金持ちの息子であるアマン・メヘラの豪華な弁当を狙っていました。ヴァルマーは、企みを見透かした生徒たちに出し抜かれたことから激怒、スタンリーを「弁当を持って来ない生徒は学校に来る資格などない」と叱りつけ、ショックを受けたスタンリーは翌日から学校を休むようになります・・・。

レビュー・解説 

パルソーの演じるスタンリーの明るく健気な姿と、それを助けるクラスメイトたち、そして背景となるインドの子供達が置かれている状況が印象的な、生き生きとした子供達の描き方がすばらしいコメディ映画です。子供を中心に据えた映画ですが、描かれた子供達の明るく純粋な姿は、クオリティの高い演出と相まって、大人も十分に楽しめる映画です。

 

アモール・グプテ監督は以前より児童映画制作に従事しており、インドの政府系組織である「子ども映画協会」の会長を務めるなど、児童映画に造詣が深く、本作でも監督自身が演じる悪役に対して、明るく健気なスランリーとクラスメートたちが助け合う姿を見事に描いています。素晴しい出来なのですが、実はこの映画はユニークな方法で制作されています。

 

アモール・グプテ監督は、毎週土曜日に子供達を学校に集めて、映画を見たり、発声練習や演劇、短編映画を撮影したりするワークショップを開催しており、この映画のアイディアはそこから生まれました。「スタンリーのお弁当箱」の出演者は、映画の舞台となるカトリック系の学校ホーリー・ファミリー校で行われたワークショップに来た子供たちです。ワークショップは自発的にやって来た子どもたちのクラブ活動のようなもので、映画を撮るというプレッシャーがありません。授業は、先生の後に入ってくるカメラマンがキャノンの小さなカメラで撮っており、撮影用の照明も使っていません。

 

一応、「スタンリーと仲間たち」という脚本があり、ストーリーと俳優たちの動きも書かれているのですが、セリフは書かれていません。監督は撮影現場でそのシーンを説明し、俳優である彼らに自分のやり方で実演してもらい、彼らのリアクションがセリフになるという即興的な演出です。先生と子供たちのやりとりはアドリブで、同じシーンでもそのたびに子供たち、俳優たちから出てくるセリフが異なり、それぞれ6〜7エピソードある中から選んで、映画に採用しています。

 

悪役の教師役で出演もするアモール・グプテは、本作が監督デビュー作、主演のパルソーは監督の実の息子ですが、子供たちの生き生きとした出色の表情は、児童映画や子供達に深い造詣を持つアモール・グプテ監督の類い稀なる演出によるものです。なお、オープニングにちょっと長めのアニメーションが流れますが、これもなかなか良い出来で楽しめます。

 

ちなみに、インドの就労児童は1200万人、家事労働を含める5000万人以上と言われています。また、非就学児童は、2500万人とも6500万人とも言われ、家族の生活を支えるために子供たちが働かざるをえない厳しい状況が伺われます。こうした状況を短期的に解決するのは難しいかもしれませんが、この映画からは、少なくとも彼らを仲間はずれにするのではなく、ともに分け合っていくことの大切さが伝わって来ます。

 

パルソー(スタンリー)

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ディヴィヤ・ダッタ(ロージー)

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ディヴィヤ・ジャグダレ(アイヤル)

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アモール・グプテ(ヴァルマー)

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子供達の生き生きした表情が印象的

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「スタンリーのお弁当箱」や「めぐり逢わせのお弁当」に登場するのインド式弁当箱

 Seagull フードキャリア 3段式 12cm(Amazon

 

 「スタンリーのお弁当箱」(Amazon

撮影地(グーグルマップ)

ムンバイのホーリー・ファミリー・スクール

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スタンリーのお弁当箱(字幕版)

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