「バルフィ!人生に唄えば」は2012年公開のインドのロマンティック&ヒューマン・コメディ・ドラマ映画です。アヌラーグ・バス監督・脚本、ランビール・カプール、プリヤンカー・チョープラー、イリヤーナー・デクルーズラの出演で、生まれつき耳が聞こえず話すことができない青年との出会いをきっかけに、生きる喜びを取り戻していく人々の姿を描いています。インド映画ならではの歌や踊りはもちろん、「雨に唄えば」、「きみに読む物語」、「アメリ」といった数々の作品へのオマージュを全編に盛り込まれており、本国インドで数々の映画賞を受賞、アカデミー賞外国語映画賞インド代表に選ばれた作品です。
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目次
スタッフ・キャスト
監督:アヌラーグ・バス
脚本:アヌラーグ・バス
原作:アヌラーグ・バス
出演:ランビール・カプール(バルフィ)
プリヤンカー・チョープラー(ジルミル)
イリヤーナー・デクルーズ(シュルティ)
ほか
あらすじ
生まれつき、耳が聞こえず、話せないバルフィ(ランビール・カプール)は、眼差しと身振り手振りで豊かな感情を伝えることができ、街中の人気者でした。そんな彼に、2人の女性が密かに想いを寄せます。1人は、資産家の男性と結婚したものの、愛情の欠けた関係に悩むシュルティ(イリヤーナー・デクルーズ)で、バルフィと運命的に出会い恋に落ちます。しかし、シュルティは安定した未来も捨てきれず、夫とバルフィの間で気持ちが揺れ動きます。もう1人はバルフィの幼馴染で、家族からの愛情を受けずに育った自閉症のジルミル(プリヤンカー・チョープラー)で、ある日偶然の再会を果たした彼女は、いつも優しくそばにいてくれるバルフィに心を開いていきます・・・。
レビュー・解説
生まれつき耳が聞こえず話すことができない青年と二人の女性の40越しの愛の物語を、時にコミカルに、時にドラマティックに描いたこのラブストーリーは、美しいカラフルな映像と相まって、純粋な愛の理想を描くファンタジーとも言える仕上がりになっており、インド映画の新たな可能性を感じさせる作品です。
本作では、現代と1970年代を巧みに行き来しながら3人の男女が恋をし、別れ、支えあう姿が描かれていますが、恐らくピュアでロマンティックな愛を描くには、こうした時代設定が重要だったのではないかと思われます。アヌラーグ・バス監督は、時代設定について次の様に語っています。
僕にとっての1970年代というのは、僕の両親が恋愛をしていた時代だ。だからロマンスのことを考えると、どうしても必然的にこの年代を想像してしまうんだ。だから登場人物たちにも僕の両親と同じように、ロマンチックな恋愛をして欲しかった。
時にコミカルに、時にドラマティックに、カラフルな映像で楽しませながら、純粋な愛を描く本作は、ファンタジーとも言えるほどで、笑いながらも強く心を揺さぶられるものがあります。
僕にとって映画を作る上で心がけているのは「物語が観る人のどんな感情を揺さぶるのか」ということだね。怒りとは、歓びとは、哀しみとは…ということを常に考えている。正直、インドで映画を撮るということは、困難だし、生きにくさを感じることもあるけど、「映画を撮る」という行為を通して、人生を楽しんでいければいいなと思っているし、これからもスタイルを模索したいと思う。(アヌラーグ・バス監督)
生まれつき、耳が聞こえず、話せないバルフィを演じるランビール・カプールは、表情やしぐさ、行動でその気持ちを表しますが、そのユーモアたっぷりのパフォーマンスは、チャールズ・チャップリンやバスター・キートンばりで目を見張ります。また、バルフィを愛するふたりの女性がとても美しく、セレブ美女シュルティを演ずるヤーナー・デクルーズは、本作でボリウッドデビューを果たすと批評家から絶賛され、フィルムフェア賞にて最優秀新人女優賞、最優秀助演女優賞など、数多くの賞を受賞しました。自閉症の少女、ジルミルを演じるプリヤンカー・チョープラーは、映画では、12、3歳の少女に見えますが、実は1982年生まれで、2000年のミス・ワールドに輝いたインドの女優です。ミス・ワールドといった雰囲気を全く感じさせず、自閉症の少女になりきった彼女のパフォーマンスは必見です。
ランビール・カプール(バルフィ)
プリヤンカー・チョープラー(ジルミル)
イリヤーナー・デクルーズ(シュルティ)
色彩豊かな映像
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