夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「マッキー」:悪辣な金持ちの恋敵に殺された貧しい青年がハエに生まれ変わり復讐、恋人を守るインド映画ならではの爆笑SFファンタジー

「マッキー」(原題:Eega)は、2012年公開のインドのSFファンタジー&スーパーヒーロー・コメディ映画です。S・S・ラージャマウリ監督・脚本、スディープ、ナーニ、サマンサ・ルス・プラブら出演で、悪辣な金持ちの恋敵に殺された主人公がハエに転生し、復讐、恋人を恋敵から守ろうとする姿を描いています。テルグ語タミル語で製作され、2012年に最も高い興行成績を収めたテルグ語映画の一つとなりました。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:S.S.ラージャマウリ
脚本:S.S.ラージャマウリ
原案:K.V.ヴィジャエーンドラ・プラサード
   ジャナルダン・マハリシテルグ語
   クレイジー・モハン(タミル語
出演:スディープ(スディープ)
   ナーニ(ジャニ)
   サマンサ・ルス・プラブ(ビンドゥ)
   アディシャ(スディープのビジネスパートナー)
   タグボース・ラメシュ(チーフ)
   サンタナム(ポトゥ・ゴヴィダン)
   チャンドラ・セカール(タントラ)
   ノエル・ショーン(ナーニの友人)
   スリニヴァサ・レディ(スディープの秘書)
   シヴァンナラヤナ・ナリペディ(僧侶)
   デヴァダリシニ(ビンドゥの義姉)
   ハムサ・ナンディニ(カラ、カメオ出演
   クレイジー・モハン(医師、カメオ出演
   ほか

あらすじ

  • ある夜、眠りつけない少女が父におとぎ話をせがみ、父は「ジャニ」というハエの話を聞かせます。
  • 貧しい青年ジャニ(ナーニ)は、向かいのアパートに住むNGOで働く美女ビンドゥ(サマンサ・ルス・プラブ)に恋しています。ジャニは彼女の為に突拍子もない行動に出ては周囲の人間に呆れられていますが、ビンドゥは態度にこそ出さないものの彼に少なからぬ好意を抱いています。ビンドゥはNGOの資金を集める為に実業家のスディープ(スディープ)訪ね、彼女の美貌に惹かれたスディープは150万ルピーを寄付して彼女の気を引こうとします。しかし、彼女が貧乏人のジャニに恋していることを知ると、金と暴力で全てを手に入れてきたスディープはプライドを傷付けられ、彼を殺そうと計画します。ジャニはビンドゥに想いを告げた帰り道にスディープの部下に誘拐され、殺されてしまいます。その直後、事情を知らないビンドゥはジャニに電話をかけて想いを告げ、それを聞いたジャニは奇跡の力でハエに転生します。
  • ハエに生まれ変わったジャニは記憶を失ったまま彷徨いますが、ビンドゥに近寄るスディープを見た途端、人間だった時の記憶を取り戻します。スディープはビンドゥとともに出張、教育大臣に面会してNGOへの支援を取り付けようとします。それを知ったジャニはピンドゥを守る為に空港に向かうスディープの車を襲撃、横転した車のフロントガラスに「お前を殺す」とメッセージを残します。ジャニは自分の死を悲しむビンドゥに自分の正体を明かし、「自分を殺したのはスディープだ」と告げます。真相を知ったビンドゥは、ジャニと協力してスディープへの復讐を計画します。一方、呪術師から「ジャニがハエに転生して自分を狙っている」と告げられたスディープは再び彼を殺そうとします。ビンドゥがジャニと組んでいることを知り激怒したスディープは、ビジネスパートナーを殺して70億ルピーの保険金を手に入れ、ビンドゥを自宅に招き入れます。彼はビンドゥを人質に、ジャニは針で身体を刺され重傷を負いながら、身体に火をつけてスディープに襲いかかかります・・・。

レビュー・解説

金持ちの恋敵に殺された貧しい主人公がハエに生まれ変わって復讐、恋人を悪辣な恋敵から守るという、大人も子供も楽しめる、インド映画ならではのユニークなSFファンタジー&スーパーヒーロー・コメディです。

インドらしさが爆発するベッドタイム・コメディ

インドらしさが爆発するコメディ映画です。冒頭、寝る前にお話をねだる親子の会話がナレーションで入りますが、S.S.ラージャマウリ監督が父親から聞いた話を基に、1990年代から構想を練り上げ、お伽噺に仕立てたものです。

ずっと潜在意識の中にあったものです。父は有名な作家(K.V.ヴィジャエーンドラ・プラサード)ですが、彼は話の宝庫だったんです。彼は私に、悪者に殺されてハエに生まれ変わる少年の話をしてくれました。私は「マッキー」をお伽噺にしたかったのです。(S.S.ラージャマウリ監督)

 

類似の作品としては、

  • 主人公がハエになるという点で、転送の際に遺伝子レベルでハエと融合してしまうSFホラー映画「ザ・フライ」(1986年)
  • 死んだ主人公が恋人を守るという点で、幽霊となり昇天するまで恋人を守るファンタジー&ラブ・サスペンス映画「ゴースト/ニューヨークの幻」(1990年)

があります。しかし、むしろインド映画の「カランとアルジュン」(1994年)に触発されたという本作は、

  • 如何にもインドらしく輪廻転生して、悪辣な恋敵に復讐、恋人を守る点
  • 子供と一緒に観れる爆笑コメディである点

がそのユニークさを強く特徴づけています。前世の復讐の為にハエが強大な人間の恋敵に戦いを挑み、無力ながらもアイデアを凝らしてトレーニング、知恵を働かせて戦う壮絶バトルが見どころです。

ハエの視覚効果に苦労

ストーリー展開上、本作ではハエに感情移入してもらう必要がありますが、ハエは基本的に嫌われ者で、拡大された映像も決して気持の良いものではありません。ピクサーのルクソーJr.にインスピレーションを得たラージャマウリ監督は、ハエの顔の80%を占める目で豊かに感情表現できると考えていましたが、当初のVFXの出来は決して満足できるものではありませんでした。そこで彼は細部を調整しながらキャラクターを作ることにし、撮影チームは冷蔵庫に保管した気絶した瓶詰めのハエを撮影、ラージャマウリ監督はハエの顔にメイクを施し、スクリーンに魅力的に映るようにしました。ボディ・ランゲージも取り入れ、アニメーション・チームが2か月かけてハエの映像を製作、インドでは出来ない一部の特殊効果は、海外のスタッフを雇って製作しています。苦労の甲斐あって、マッキーのヴィジュアルは十分に親近感を覚えるものに仕上がっています。視覚効果だけで7,000万ルピーの費用をかけた本作は、CGIキャラクターを90分も登場させる初のインド映画となりました。

 

ピンドゥが作ったプロテクターを装着するマッキー

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本作を機にヒンディー映画に進出したラージャマウリ監督

インドには数多くの言語圏、文化圏があり、映画も

などがあります。それぞれの言語圏、文化圏の規模を各言語の話者数で見てみると、

といった規模になります。俗に言う「ボリウッド」は、インド映画の中でも、北インドヒンディー語映画を意味します。

 

S.S.ラージャマウリはテルグ語映画の監督で、これまでの彼の作品が他の監督によってヒンディ映画にリメイクされたことがありますが、言語のみならず、文化も違うので、最初から双方を意識して制作しなければ、違和感が出るとラージャマウリ監督は言います。2012年に最も高い興行成績を収めたテルグ語映画となった本作はヒンディ語に吹き替えられましたが、北インドでの興行成績はさして伸びませんでした。しかし、本作を機にヒンディ語映画界にその実力を認められたラージャマウリ監督は、次の作品から、ヒンディ語テルグ語での双方で、言語・文化によらない普遍的な映画を作ることを決意しました。そうして出来た作品が、最近、話題となっている「バーフバリ 伝説誕生」(2015年)、「バーフバリ 王の凱旋」(2017年)です。

 

スディープ(スディープ)

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スディープ(1973年〜)は、インドの俳優、テレビ・プレゼンター。カンナダ語映画を中心にヒンドゥー語映画、テルグ語映画、タミル語映画で活動。本作の悪役ぶりと、見えないハエを相手した演技が、国際的に高く評価された。ラージャマウリ監督の「バーフバリ 伝説誕生」にも出演している。

 

ナーニ(ジャニ)

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ナーニ(1984年〜)は、テルグ語映画で知られるインドの俳優、プロデューサー、メディア・パーソナリティ。

 

サマンサ・ルス・プラブ(ビンドゥ)

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サマンサ・ルス・プラブ(1987年〜)は、インドの女優、モデル。テルグ語映画とタミル語映画でキャリアを積み、南インド映画のトップ女優の地位を確保している。

 

動画クリップ(YouTube

 

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関連作品

S・S・ラージャマウリ監督・脚本作品のDVD(Amazon

  「バーフバリ 伝説誕生」(2015年)

「バーフバリ2 王の凱旋」(2017年)

 

おすすめインド映画のDVD(Amazon

  「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1995年)  

  「その名にちなんで」(2006年)

  「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」(2007年)

  「きっと、うまくいく」(2009年)

  「マイネーム・イズ・ハーン」(2010年)

  「マダム・イン・ニューヨーク」(2010年)

    「ロボット」(2010年)

  「神様がくれた娘」(2011年)

  「スタンリーのお弁当箱」(2011年)

  「女神は二度微笑む」(2012年 )

  「バルフィ!人生に唄えば」(2012年)

  「命ある限り」(2012年)

  「めぐり逢わせのお弁当」(2013年)

  「PK ピーケイ(2014年)

  「バーフバリ 伝説誕生」(2015年)

  「ダンガル きっと、つよくなる」(2016年)

「バーフバリ 王の凱旋」(2017年)

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マッキー (字幕版)

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マッキー (吹替版)

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