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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」:巧みな脚本、演出なるも、主演女優が性差別的と発言、物議を醸したコメディ映画

アメリカ映画

「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(原題:Knocked Up)は、2007年公開のアメリカのコメディ映画です。ジャド・アパトー脚本・監督、セス・ローゲンキャサリン・ハイグルらの出演で、モテ度ゼロの冴えないオタク男が、奇跡的に美女のナンパに成功した上に妊娠させてしまったことから起きる大騒動を描いています。アメリカでは初登場2位を記録、興行収入も1億4000万ドルを超えるヒットとなるだけではなく、作品の評価も高く、放送映画批評家協会賞コメディ映画賞や全米脚本家組合賞オリジナル脚本賞などにノミネートされた作品です。

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:ジャド・アパトー
脚本:ジャド・アパトー
出演:セス・ローゲン(ベン・ストーン)
   キャサリン・ハイグル(アリソン・スコット)
   ポール・ラッド(ピート)
   レスリー・マン(デビー)
   ジェイソン・シーゲル(ジェイソン)
   ジェイ・バルチェル(ジェイ)
   ジョナ・ヒル(ジョナ)
   マーティン・スター(マーティン)
   モード・アパトー(セイディ)
   アイリス・アパトー(シャーロット)
   ジョアンナ・カーンズ(スコット夫人)
   ビル・ヘイダー(ブレント)
   ハロルド・ライミス(ハリス・ストーン)
   アラン・テュディック(ジャック)
   ケン・チョン(クニ)
   アダム・スコット
   ほか

あらすじ

高校時代の交通事故の賠償金で食いつないでいるベン(セス・ローゲン)は、オタク仲間たちと共同生活をおくりながら、「女優がオッパイを見せる映画」の検索サイトを立ち上げようとしています。しかし、自由気ままな生活が長かった為か、困難に突き当たると仲間とマリファナやゲーム、バカ話に現実逃避してしまう筋金入りの無責任男です。ある夜、バーで出会った新人TVキャスター・アリソン(キャサリン・ハイグル)と意気投合、酔った勢いでコンドームも着けずにベッドインします。その8週間後、彼女から妊娠を告げられ慌てふためいたベンは、支えになると口約束、精一杯の誠意でアリソンを安心させます。アリソンも感激の涙を流し、彼を人生のパートナーとして迎え入れます。最初のうちは、育児書を漁り、産婦人科をめぐり歩いて主治医を探し、ベビー用の買い物をするなど、ふたりで行動することが楽しかったのですが、実は無職で、経済力も責任感も、品もないベンを深く知れば知るほど、アリソンの不安は増していきます。しかも姉夫婦と同居している彼女は、ケンカの耐えない夫婦生活を目の当たりにしており、自分の将来にも楽観的になれません。そしてついに、買った育児書に目を通していないベンに対して、アリソンの怒りが爆発、二人はケンカ別れします・・・。

レビュー・解説 

酔った勢いでお互い素性も良く知らないまま一夜を共にした男女に子供が出来てしまったというのっぴきならない状況を、巧みな脚本と演出でリアルで思わず苦笑いしてしまうようなコメディに仕立て上げています。

 

主演のセス・ローゲンを始め、ジョナ・ヒルビル・ヘイダーケン・チョン、クリスティン・ウィーグ、シャーリーン・イー、スティーブ・カレル(カメオ)ら、有名なコメディアンが多数、出演しています。後に、「ハング・オーバー」シリーズで世界的に有名になったケン・チョンは、本作が映画デビュー作で、本業の医者役で出演しています。ポール・ラッドジェイソン・シーゲルなど、コメディを得意とする俳優も多数出演、嬉々として演じているように見受けられます。

 

ジャド・アパトーは、アメリカの映画監督、プロデューサー、脚本家で、本作が「40歳の童貞男」に次いで監督第二作になります。17歳からスタンダップ・コメディアンを始め、大学時代はアダム・サンドラーとルームメイトでした。コメディアンとしては芽が出ませんでしたが、脚本家に転じて成功を収めました。スタンダップ・コメディアンを目指しただけあって、きわどいネタが少なくありませんが、脚本には切れがあります。

 

デビー役のレスリー・マンジャド・アパトーの妻ですが、

  • 産気づいたアリソンの為に、ベンが片っ端から知り合いの医者に電話をかけ、都合が悪いと知るとののしる
  • けんか腰の医者を、ベンが外に連れ出してなだめる
  • 医者に行く途中、アリソンと喧嘩して車から降ろされ、辿りついた診療所でアリソンと大げんかする
  • 産気づいたアリソンが病院に行く前に風呂に入り、落ち着こうとする

といった下りは、彼らの実際の経験を元にしています。また、姉夫婦の娘、セイディ、シャーロットは、ジャド・アパトーレスリー・マンの実の娘が演じており、リアリティを出す為に、セリフはすべて即興です。

 

リアリティにこだわるジャド・アパトーは、出産シーンに実際の録画映像を使おうとしましたが、生まれる前の子供には映画撮影の為の就労許可が得られない為、泣く泣く諦めたと、まことしやかに言われています。一方で、ジャド・アパトーのこうした姿勢は、ちょっとした軋轢も生んだようです。当初、アリソン役はアン・ハサウェイでしたが、個人的な見解の相違により、役を降りました。後のインタビューで、彼女は出産シーンに実際の録画映像を使う事に反対だったと語っています。他に、ジュリエット・ルイスドリュー・バリモアキャメロン・ディアスユマ・サーマン、レネ・ツェルウェガー、クリスティーナ・アギレラらも検討されましたが、辞退、もしくは不採用となっています。

 

最終的にキャサリン・ハイグルが起用されましたが、この映画は彼女が出演した中で最も評価の高い映画となりました。しかしながら、彼女は「ヴァニティ・フェア」誌のインタビューで、物議をかもすことになります。

It was a little sexist. It paints the women as shrews, as humorless and uptight, and it paints the men as lovable, goofy, fun-loving guys. It exaggerated the characters, and I had a hard time with it, on some days. I’m playing such a bitch; why is she being such a killjoy? Why is this how you’re portraying women? Ninety-eight percent of the time it was an amazing experience, but it was hard for me to love the movie.

ちょっと性差別的な映画だったわ。女性を口やかましく、ユーモアも解さず、お堅いものとして描いているの。一方、男性を愛らしく、お馬鹿で、遊び好きに描いているわ。キャラクターが誇張されているの。私はそんな嫌な女を演じているの。なんで、彼女はそんなに興ざめなの?女性ってそうなの?私にとって撮影の98パーセントは素晴しい体験だったわ。でもこの映画は好きになれないの。

 

ちなみに、キャサリン・ハイグルの発言に対するジャン・アパトー監督の反応は、

 I think, for all of us, making this movie was like when you get drunk and spurt out your deepest feelings and then the next day you have drunk remorse about what you said. We all feel very proud and a little embarrassed about what we’ve revealed about ourselves. The movie is not meant to be romantic, it’s meant to be honest. Katie could not have been better, because she went there.

我々にとってこの映画は、酒を飲んで深い思いを吐き出すようなものだったと思う。だから、次の日にはそれに自責の念を感じてしまう。自分自身をさらけ だした事について、我々はとても誇らしく、ちょっとだけ当惑している。この映画はロマンティックじゃないんだ、正直なんだ。ケイティは正直に最高の演技をしてくれた。

 

男性がダメ男ばかりで、女性がしっかりもののと、身につまされる点が多々ありましたが、私自身は特に差別的とは思いませんでした。映画はコメディであり、女性のある面のカリカチュアを描いていますが、アリソンは決して嫌なタイプの女性ではなく、明るく前向きな好感が持てる女性です。脚本・監督が男性なので、男性視点になっている可能性はありますし、スタンダップ・コメディアン系のネタにはどぎついものもありますが、少なくても後になってとやかく言う話ではないでしょう。気に食わないなら、アン・ハサウェイの様に降りるべきですし、降りないのであるならばもう少し言いようがあると思います。

 

この発言で評判を落としてしまいましたが、キャサリン・ハイグルは、嫌いな女優ではありません。その後の「キス&キル」、「かぞくはじめました」、「ニューイヤーズ・イヴ」の彼女もなかなかいいと思います。肩に力が入ってしまう性格の為か、叩かれる事もあるようですが、女優としてはいいものを持っているので、評判を取り戻すよう、頑張って欲しいです。一方、ジャド・アパトーはその後、「ブライズ・メイズ」のプロデュースに関わり、「Trainwreck」(原題)を監督、いずれも女性が主役のコメディ映画で高い評価を得ています。

 

セス・ローゲン(ベン・ストーン、右)と
キャサリン・ハイグル(アリソン・スコット、左)

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ポール・ラッド(ピート、右)とレスリー・マン(デビー、左)

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同居のオタク仲間

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左から、マーティン・スター(マーティン)
セス・ローゲン(ベン・ストーン)
ジェイソン・シーゲル(ジェイソン)
ジョナ・ヒル(ジョナ)
ジェイ・バルチェル(ジェイ)

 

ケン・チョン(クニ、右)

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クリスティン・ウィーグ(ジル、中央)

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シャーリーン・イー(ジョディ、左)

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関連作品 

ジャド・アパトーセス・ローゲンのコラボ作品Amazon

  「40歳の童貞男」(2005年)

  「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年)

     「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(2007年)

  「素敵な人生の終り方」(2009年)

 

ジャド・アパトー監督作品のDVD(Amazon

  「40歳からの家族ケーカク」(2012年)

    「トレインレック」(2015年)・・・輸入盤、日本語なし

 

セス・ローゲン出演作品のDVD(Amazon

  「50/50 フィフティ・フィフティ」(2011年)

 

「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」(2013年)

  「22ジャンプストリート」(2014年)

     「スティーブ・ジョブズ」(2015年)

  「ソーセージ・パーティー」(2016年)

 

ジョナ・ヒル出演作品

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