夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「マルコヴィッチの穴」:マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ!

マルコヴィッチの穴」は1999年に公開されたアメリカのSFコメディです。出演はジョン・キューザックキャメロン・ディアスジョン・マルコヴィッチキャサリン・キーナー他。チャーリー・シーンブラッド・ピットカメオ出演しています。あるオフィス・ビルに隠された穴から、マルコヴィッチの意識の中に潜り込み、その行動を操ることができるという設定ですが、いわゆるSFX的な作りには金をかけておらず、異常に天井が低いオフィスや、マルコヴィッチの潜在意識の中などを胡散臭い(?)世界を実写で実現しています。

 

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ジョン・キューザックは売れない人形使いキャメロン・ディアスはその妻という役回りですが、特に妻はキャメロン・ディアスであることに気がつかないくらい地味で、これだけでも一見の価値ありです。キャサリン・キーナーは、この夫婦に惚れられる色っぽい女性を見事に演じています。マルコヴィッチは、マルコヴィッチ自身の役で出演しています。

 

何と言っても圧巻は、マルコヴィッチの潜在意識の中でキャメロン・ディアスキャサリン・キーナーが追いかけっこするシーンでしょう。

  • お漏らしをして他の生徒たちに囃し立てられるなど幼少時代のマルコヴィッチ
  • 彼女に「気色悪い」と言われているマルコヴィッチ
  • 密かに女性の下着に頬擦りしているマルコヴィッチ

などが次々と現れてくる中で追いかけっこを演じるのですが、目はどうしてもマルコヴィッチにいってしまいます。

 

マルコヴィッチがマルコヴィッチ自身に入り込み、世界がマルコヴィッチだらけになるシーンもなかなかです。

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このシーンで「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ・・・」という台詞が繰り返されますが、これが後に本人出演の iPhone のCMのモチーフとなりました。

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マルコヴィッチをモデルに著名な写真家の代表作を撮影した「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ」という写真展も開催されています。

Sandro Miller: Malkovich, Malkovich, Malkovich: Homage to photographic masters | Catherine Edelman Gallery

 

実はこの映画のマルコヴィッチの役を、トム・クルーズにして脚本を書き直さないかという話もあったそうです。が、少なくとも「クルーズ、クルーズ、クルーズ」より、「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ、マルコヴィッチ」の方が、語呂にインパクトがありますね(笑)

 

悪役であろうが、コミカルな役であろうが、マルコヴィッチの演技は常に確実です。非常にまじめな方ではないかと思いますが、一方で性格俳優としてのキャラクターに一種の「キモさ」があり、それが受けている部分もありそうです。「マルコヴィッチの穴」はずっと気になっていた作品ですが、マルコヴィッチは悪役や脇役での出演作も多い事から、「RED」、「REDリターンズボン」でのコミカルな演技に強烈な印象を受けるまで、彼のイメージをよく掴みきれていませんでした。やはり、彼の真骨頂は性格俳優としての役作りではないかと思います。

 

ジョン・マルコヴィッチの出演作

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