「アウト・オブ・サイト」：銀行強盗と女性連邦保安官のスタイリッシュなロマンス＆クライム・アクション

「アウト・オブ・サイト」（原題：Out of Sight ）は、1998年公開のアメリカのクライム・アクション＆ロマンティック・コメディ映画です。エルモア・レナードの同名小説のを映画化した作品で、プロの銀行強盗と女性連邦保安官のロマンスをスタイリッシュに描いています。「ER緊急救命室」でテレビ・ドラマのスターとなっていたジョージ・クルーニーが、スティーブン・ソダーバーグ監督とのコラボによって映画の大スターとなる道を方向付けた作品でもあります。

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スタッフ・キャスト
あらすじ
レビュー・解説
動画クリップ（YouTube）
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スタッフ・キャスト

監督：スティーブン・ソダーバーグ
脚本：スコット・フランク
原作：エルモア・レナード
出演：ジョージ・クルーニー（ジャック・フォーリー）
　　　ジェニファー・ロペス（カレン・シスコ）
　　　ドン・チードル（モーリス・「スヌーピー」・ミラー）
　　　ヴィング・レイムス（バディ・ブラッグ）
　　　デニス・ファリーナ（マーシャル・シスコ）
　　　アルバート・ブルックス（リチャード・リプリー）
　　　キャサリン・キーナー（アデル・デリーシ）
　　　スティーヴ・ザーン（グレン・マイケルズ）
　　　ほか

あらすじ

銃を持たずに銀行を襲うプロの銀行強盗ジャック・フォーリー（ジョージ・クルーニー）は、逃走用の車の故障で運悪くフロリダの刑務所に収監されます。ジャックは相棒のバディ（ヴィンク・レイムス）と脱獄し、刑務所内で知り合った株屋のリプリー（アルバート・ブルクッス）が自宅に隠し持つダイヤモンドの原石を盗んで足を洗うと計画をします。ところが脱獄しようとしたところを、召喚のため刑務所に立ち寄った連邦保安官のカレン・シスコ（ジェニファー・ロペス）に見つかってしまいます。ジャックはカレンにショットガンを向けられますが、バディが背後からカレンに忍び寄り、その存在に気付いたカレンが気を取られる一瞬の隙に、ジャックはカレンを取り押さえ、ショットガンを取り上げます。バディはカレンを担ぎ上げ、カレンがショットガンを取り出す際に開けっ放しにしたままのカレンの車のトランクに入れます。カレンが抵抗できないようにジャックもトランクに身を投じます。バディはカレンの車でジャックとカレンをトランクに入れたまま逃走するはめになってしまい、トランクで二人きりになったジャックとカレンは、会話するうち互いを意識し始め、好意を抱き始めます。カレンはハイウェイで二番目の逃走車を準備していたグレン（スティーヴ・ゼーン）の車に乗せられ、ジャックたちはまんまと逃走に成功、デトロイトへと向かいます。ジャックを追ってきたカレンは、ホテルのバーでジャックと再会し、互いの立場の違いに戸惑いつつも互いに恋に落ちたことを認め、ベッドへ。ジャックは元刑務所仲間のスヌーピー・ミラー（ドン・チードル）とともにリプリーの屋敷へ盗みに入りますが、スヌーピーの仲間たちのせいで大騒動になり、そこにカレンが現れます・・・。

レビュー・解説

女優、歌手、実業家と幅広く活躍するジェニファー・ロペスですが、女優として見た場合、生来の固さのようなものが見え隠れしてあまり、好きになれませんでした。でも、この「アウト・オブ・サイト」だけは別です。彼女の持つ固さが女性連邦保安官という役柄に自然にフィットして全く気にならず、女性らしさ、セクシーさが際立っています。彼女が出演した作品の中でもベストのひとつではないかと思います。

一方、テレビ・ドラマ・シリーズ「ER緊急救命室」でブレイクししたジョージ・クルーニーは映画にも進出し、ハリウッドの大スターを目指して急上昇の時期です。スティーブン・ソダーバーグ監督はこの二人をロマンティックに、スタイリッシュに、そしてセクシーに描いており、これまでのクライム・アクション映画にはない、おしゃれな味を出しています。

トランクのシーンは、閉空間で男女の親密さが増すというスティーブン・ソダーバーグ監督こだわりのシーンで、ジェニファー・ロペスのオーディションにもこのシーンが使われました。オーディションはジョージ・クルーニーの自宅のソファの上で行われましたが、ジェニファー・ロペスは「ソファのオーディションでソファを掃除するブラシ役を務めたの」とジョークを飛ばしています。映画ではこのシーンを45テイクも撮りましたが、スクリーンテストで長過ぎるとすべてボツになり、取り直しとなりました。

女性連邦保安官役には当初、サンドラ・ブロックが考えられており、ジョージ・クルーニーとの相性も良かったのですが、スティーブン・ソダーバーグ監督が「他の映画では良いが、この映画は違う」と納得せず、ジェニファー・ロペスの起用となりました。私は、ジェニファー・ロペスより、サンドラ・ブロックの方が好きなのですが、この映画に関して言えばジェニファー・ロペスのソリッド感、スタイリッシュ感がベスト・マッチだと思います。サンドラ・ブロックがやればもっと庶民的な感じになったと思います。キャサリン・キーナーも当初、カレン役だったのですが、きっと飛んだ感じのカレンになったでしょう、ちょと見てみたい気もします。

動画クリップ（YouTube）

トランクのシーン〜「アウト・オブ・サイト」

ジャック：怖くないのか？
カレン：怖いわ。
ジャック：嘘だろ。
カレン：叫んでも誰も来ないわ。じっとしてあなたのドジを待つ方が利口よ。
ジャック：前の女房みたいだ。
カレン：結婚を？
ジャック：一年と三日ほど。仲は悪くなかった。ただ、ピンとくるものが、ピピッとくるものが無かった。
カレン：ふうん。
ジャック：今でも話をする。
カレン：そう。
カレン：こんなこと続かないわ。
ジャック：撃たれて死ぬなら、塀の中より、外がいい。
カレン：ボニーとクライドみたいに？
ジャック：「俺たちに明日はない」みたいに？ジャック：撃ち殺される二人、ウォレン・ベイティと・・・
カレン：フェイ・ダナウェイ。
ジャック：フェイ・ダナウェイ、彼女のテレビ局の
カレン：「ネットワーク」の
ジャック：男が「もうお断りだ」って、
カレン：ピーター・フィンチ
ジャック：そう、ピーター・フィンチ。「頭に来た。もう、お断りだ。」クライドが撃たれるシーン。あれなら後悔しない。
ジャック：話が合うな。もし、違う場所で会っていたら・・・、例えばバーで会っていたら・・・。
カレン：何も。
ジャック：正体を知らずに。
カレン：あなた隠せるの？
ジャック：場所が違えば。
カレン：ありえないわ。
ジャック：フェイ・ダナウェイの「コンドル」は？
カレン：ロバート・レッドフォードとね。
ジャック：そう。
カレン：出会ってすぐ、あんな関係は嘘よ。恋のことよ。
ジャック：でも・・・。

もしも〜「アウト・オブ・サイト」

ジャック：おごるよ。
カレン：うれしいわ。座って。
ジャック：俺はゲリーだ。
カレン：私はセレステよ。飲み物はすぐには来ないわ。ここいて。
ジャック：彼らが？
カレン：もう大丈夫よ。どうぞ。
ジャック：バーボンを？
カレン：好きなの。
ジャック：それで君の仕事は？
カレン：営業よ。でも私が小娘だから、顧客が意地悪を。
ジャック：ぴったりだ。
カレン：営業が？
ジャック：小娘。
カレン：気になる？
ジャック：髪型も服も好きだ。
カレン：これは二番目の服。一番面は汚れて捨てたわ。臭かった。
ジャック：洗濯しても？
カレン：ダメ。お仕事は？
ジャック：もうよそう。
カレン：まだよ。もう少し。
ジャック：ゲリーとセレステじゃ、恋は始まらない。
カレン：こんな遊び初めて。
ジャック：遊びじゃない。
カレン：意味でもあるの？
ジャック：これは出会いだ。ちょうど道ばたですれ違って、お互いめと目をかわし、何かを感じる。だが、立ち止まる事なく、何もできずに終わる。それでは悔しい思いが残る。「もし、あの時、立ち止まっていれば」、「もし、あの時・・・」って。そう起こる事じゃない。
カレン：一度きり。
ジャック：そうだ。

ラブシーン〜「アウト・オブ・サイト」

カレン：いずれ、そのスーツ姿。
ジャック：話題を変えたな。
カレン：アデルが、あなた緊張するとおしゃべりになるって。
ジャック：彼女が。
カレン：今、私の足を触っているわ。
ジャック：優しくね。
カレン：あなたに取られた拳銃、父の贈り物なの。あの時、何故、私を？
ジャック：考えてなかった。素敵な君を道ばたに置いてはいけないと。
カレン：エレベーターで手を・・・
ジャック：振ったのを見た？
カレン：あの頃、ずっとあなたのことを思ってたわ。もし、お互いの仕事をしばらく「一時停止」できたらって。
ジャック：僕も同じだ。お互い「一時停止」して、一緒にいられればと・・・。
ジャック：君を見た。
カレン：いつ？
ジャック：アデルの家。
カレン：会いに？
ジャック：チノの警告に。
カレン：やはり。
ジャック：違う話を。
カレン：いいわ。じゃあバディの話も、グレンの話も聞かないわ。
ジャック：すべてお見通しか。
カレン：出ましょ。

カレン、ジャックを撃つ〜「アウト・オブ・サイト」

カレン：いるんでしょ？
ジャック：くそっ。
カレン：ケネスは？
ジャック：ここだ。死んだ。
カレン：ジャック、止めて。
ジャック：俺だと思うな。
カレン：撃てると思う？
ジャック：誰かが撃つ。
カレン：悪党気取り？銃を捨てて。
ジャック：もう、戻らない。
カレン：お願い、撃たせないで。銃を捨てて。
カレン：ジャック、銃を捨てて。
ジャック：「一時停止」は終わった。
カレン：負けたわ。
カレン：私には撃てないわ。
ジャック：ちゃんと撃たれた。
カレン：言わせないで。
カレン：残念だわ。こんな結末に。