「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」:ザ・ビーチ・ボーイズの中心的存在だったブライアン・ウィルソンの波乱に満ちた人生を描く
「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」は2015年公開のアメリカの伝記映画です。サーフ・ロックという新たなジャンルを生み出し、いまなお絶大な人気を誇るカリフォルニアのロックバンド、ザ・ビーチ・ボーイズの中心的存在であるブライアン・ウィルソンが抱えていた悩みや名曲誕生の秘を、ビル・ポーラッド監督、ジョン・キューザック主演で描いたヒューマン・ドラマです。
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目次
スタッフ・キャスト
監督:ビル・ポーラッド
脚本:オーレン・ムヴァーマン /マイケル・A・ラーナー
出演:ジョン・キューザック(年齢を重ねたブライアン・ウィルソン)
ポール・ダノ(若い頃のブライアン・ウィルソン)
エリザベス・バンクス(メリンダ)
ポール・ジアマッティ(ユージーン・ランディ博士)
ジェイク・アベル(マイク・ラブ)
ディー・ウォーレス(ローズマリー)
ブレット・ダヴァーン(カール・ウィルソン)
エリン・ダーク(マリリン・ウィルソン)
ダイアナ・マリア・リーヴァ(グロリア)
ほか
あらすじ
1960年代のカリフォルニア。ザ・ビーチ・ボーイズの発表する曲はすべて大ヒットし、彼らは人気の頂点にいました。バンドの中心的存在であるブライアン・ウィルソン(ポール・ダノ)は、新たな音を求めてスタジオで曲作りに専念しますが、新作へのプレッシャーが重くのしかかり、次第に薬物に溺れ、深く長い孤独な日々へと入っていきます。それから20余年、ブライアン(ジョン・キューザック)に再び希望の光をもたらしたのは、美しく聡明な女性メリンダ(エリザベス・バンクス)との出会いでした。しかし、愛し合う二人の間にブライアンの公私を管理するランディ医師(ポール・ジアマッティ)が立ちはだかります・・・。
レビュー・解説
イギリスのビートルズの大活躍に対して、アメリカン・サウンドを一人で創って対抗したとも言えるブライアンウィルソンの波乱に満ちた人生を事実に忠実に描いた映画で、彼のファンのみならず、一般の映画ファンにも楽しめる作品です。
若い頃のブライアンを演じるポール・ダノ、年齢を重ねたブライアンを演じるジョン・キューザック、いずれも素晴しいです。本作出演の為に16キロ体重を増やしたというポール・ダノの若くて純粋なブライアンと、年齢を重ね、病にやつれたブライアンを演じるジョン・キューザックの対比が見事です。特に、年齢を重ねたブライアンには陰が感じられ、他の作品ではなかなか見る事ができないジョン・キューザックを見る事ができます。ブライアンの人生に大きな影響を与えたユージーン・ランディ博士を演じるポール・ジアマッティ、後にブライアンと結婚することになるメリンダを演じるエリザベス・バンクスの好演も見逃せません。
本作の見どころのひとつは、即興で演じられているスタジオのレコーディングのシーンです。このシーンは16ミリのハンディ・カメラを使ってリハーサルなしの生でドキュメンタリー風に録画されています。バンドで演奏した経験あるポール・ダノが、演奏の仕方を実際に演出しており、演奏者も実際のミュージシャンだった人たちです。 脚本にはほとんど書かれていませんが、ポール・ダノはオリジナルのセッション・テープに録音されているブライアン・ウィルソンの言葉を引用しています。
ビーチ・ボーイズについて
ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)は、1961年に結成されたアメリカのロックバンドで、米国西海岸の若者文化、特に青い海、ビキニの娘、サーフィン、自動車などをテーマにした軽快な楽曲で知られていいます。「サーフィンUSA」や「ココモ」など、ビーチボーイズのファンならずとも聞いた事がある人も多いのではないかと思います。ビーチ・ボーイズのメンバーはビートルズのメンバーよりも若く、デビューした年もビートルズよりも1年ほど早く、また自分たちで作曲、演奏、レコーディングし、成功した最初のロック・バンドだと言われています。映画にも描かれていますが、サーフィン時代のノリノリのビート・ミュージック、「ペット・サウンズ」以降の繊細なポエティック・ロックと、サウンドが大きく変化しています。
ブライアン・ウィルソンについて
ブライアン・ウィルソン(Brian Douglas)は、アメリカのミュージシャンで、ザ・ビーチ・ボーイズの元リーダーにしてボーカル、ベース担当です。卓越した作曲と編曲能力、さらには美しいファルセットまでも併せ持つ彼は、ビーチ・ボーイズのデビュー以来、数々の楽曲を次々と作曲し、当時は珍しかったセルフプロデュースの手法により世に送り出すことで、同バンドを名実ともに全米一のロックバンドの地位まで引き上げました。1966年には、傑作「ペット・サウンズ」を制作、同年のシングル「グッド・ヴァイブレーション」の大ヒットで、その天才的な音楽的才能を世に知らしめますが、同時にLSDなど薬物依存が増し、次第に精神に異常を来たします。やがて、自宅に引き篭って酒やドラッグ、過食におぼれ肥満化、自堕落な生活に浸り、バンドの活動にもあまり関わらなくなってしまうなど、彼の音楽キャリアは20年近く低迷の一途を辿ります。しかし関係者の尽力が実り、1988年、初のソロ・アルバム「ブライアン・ウィルソン」で完全復活、弟カール死後の1999年以降、分裂状態のビーチ・ボーイズと袂を頒ち、彼自身の名を冠したバンドを率いて精力的にライヴを行うなど、過去を取り戻すかのように積極的な音楽活動を展開しています。
ポール・ダノ(若い頃のブライアン・ウィルソン)
ジョン・キューザック(年齢を重ねたブライアン・ウィルソン)
エリザベス・バンクス(メリンダ)
ポール・ジアマッティ(ユージーン・ランディ博士)
スタジオ・レコーディングのシーン〜「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」
撮影地(グーグルマップ)
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関連作品
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「エイトメン・アウト」(1988年)
「マルコヴィッチの穴」(1999年)
「リトル・ミス・サンシャイン」(2006年)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007年)
「LOOPER/ルーパー」(2012年)
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