夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」:無邪気な子供達を色彩豊かに描きつつ米国の社会問題を映す、美しく、楽しく、少し切ないドラマ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」(原題:The Florida Project)は、2017年公開のアメリカのドラマ映画です。ショーン・ベイカー監督、ブルックリン・プリンスら出演で、ディズニー・ワールドに隣接する安モーテルで暮らす人々と子供たちを、真夏のフロリダの陽射しに映える鮮やかな映像で描いています。第90回アカデミー賞で、助演男優賞ウィレム・デフォー)にノミネートされた作品です。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ショーン・ベイカー
脚本:ショーン・ベイカー/クリス・バーゴッチ
出演:ブルックリン・プリンス(ムーニー、主人公)
   ウィレム・デフォー(ボビー・ヒックス、マジック・キャッスルの管理人)
   ブリア・ヴィネイト(ヘイリー、ムーニーの母親)
   ヴァレリア・コット(ジャンシー、ムーニーの友人)
   クリストファー・リヴェラ(スクーティ、ムーニーの友人)
   メラ・マーダー(アシュリー、スクーティの母親)
   ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ジョン・ヒックス、ボビーの息子)
   ジョシー・オリーヴォ(ステイシー、ジャンシーの祖母)
   メイコン・ブレア(ジョン)
   ほか

あらすじ

フロリダ州、ディズニー・ワールドに隣接するキシミー。6歳のムーニー(ブルックリン・プリンス)はシングル・マザーのヘイリー(ブリア・ヴィネイト)とモーテル「マジック・キャッスル」で暮らしています。ある日、隣のモーテルに新しい家族がやって来たと聞いたムーニーは、仲良しのスクーティ(クリストファー・リヴェラ)らと隣のモーテルに向かい、おばあさんの車にいたずらをして大目玉をくらいます。

おばあさんにはムーニーと同年代の女の子ジャンシー(ヴァレリア・コット)とその妹の二人の孫がいて、彼女は若くしてこの子達を生んだ娘の代わりに二人の孫の面倒を見ていました。ムーニーたちはジャンシーを仲間に加え、モーテルやギフトショップが並ぶハイウェイ沿いを探検します。モーテルに戻った子供たちは電源室に忍び込み、モーテルの電源を落とします。モーテルの管理人ボビー(ウィレム・デフォー)はムーニーたちを叱りますが、子どもたちには悪びれる様子もありません。

ムーニーの母親、ヘイリーは失業中で、観光客に香水などを売って生活費を稼いでいます。二人は日々の食事に、ダイナーで働くスクーティの母アシュリー(メラ・マーダー)からワッフルを分けてもらったり、教会のフード・ドライブで食料をもらったりして暮らしています。管理人のボビーは彼女らの境遇に同情的ですが、ヘイリーの粗暴な言動や、ムーニーたちの悪戯に手を焼いています。

ある日、ムーニー、スクーティ、ジャンシーは、空き家が並ぶ地域へ冒険に出かけます。荒れた廃屋で暖炉を見つけたムーニーは、ライターを持っていたスクーティに火を点けてほしいと頼みます。親には内緒と約束して、三人は別れます。モーテルに戻ると、何も知らないヘイリーは火事に大はしゃぎですが、スクーティの様子がおかしいことに気づいたアシュリーは真相を知ります。児童家庭局の介入を恐れたアシュリーは、スクーティにムーニーと遊ぶことを禁じます。アシュリー親子の態度が変わったこと不審に思ったヘイリーはアシュリーを問い詰めますが、アシュリーは答えません。

モーテルに継続的に利用することが許されない為、ヘイリーとムーニーは月に一度、向かいのモーテルに宿泊しますが、10ドルの値上げを言い渡されてトラブルとなります。行き場がなくなった二人を、ジャンシーのおばあさんが受け入れてくれます。アシュリーから絶交され、日々の食事にも困るようになったヘイリーは、ムーニーをバスルームで遊ばせ、その間にモーテルの部屋で売春を始めます。気付いたボビーに忠告され、困り果てたヘイリーは、アシュリーに謝罪します。しかし、二人は口論になり、ヘイリーはスクーティの目の前でアシュリーを殴ってしまいます。やがて、ヘイリーに目をつけた児童家庭局がやって来ます・・・。

レビュー・解説

ディズニー・ワールドに隣接するキシミーのモーテルで暮らす人々と子供たちを描く本作は、屈託のない子供たちを色彩豊かな映像で描きながら、現代のアメリカが抱える社会問題を浮き彫りにする、美しく、楽しく、ちょっと切ないドラマ映画です。

魔法のようにカラフルな街で遊び回る子供たち

ディズニーワールドに繋がるキシミーの国道192号線沿いには、観光客の向けのモーテルやギフトショップがたくさん並んでいます。世界最大のリゾートに隣接する土地柄だけに、モーテルもギフトショップも魔法のようにカラフルです。真夏のフロリダの陽射しが降り注ぐそんな街を、「ムーニー」、「スクーティ」と友達の名前を呼びながら走る子供の姿をカメラが追い、観客を無邪気な子供たちの世界に誘い込みます。ムーニーとスクーティが「なあにー」と答え、明るく歯切れの良いクール・アンド・ザ・ギャングの「セレブレーション」*3が流れるオープニング・クレジットに続きます。

 

魔法のようにカラフルな街を舞台に遊び回る子供たち​

フロリダならではのパレットをいかにとらえられるか。パナビジョン・レンズと35mmフィルムのおかげで、オーガニックなルックに仕上げることができました。僕にとってヴィジュアルはすごく重要な要素です。(ショーン・ベイカー監督)
https://theriver.jp/florida-project-interview/

 

ムーニーとヘイリーが暮らすモーテル「マジック・キャッスル」

 

ギフト・ショップ「オレンジ・ワールド」

 

魔法使いのギフト・ショップ

 

人魚のギフトショップ

 

アイスクリーム・ショップ「トゥイスティ・トリート」

 

診療所跡

 

カラフルな廃屋

 

倒れても育つ木

 

牧場は子供たちのサファリパーク

今も残るサブプライム住宅ローン危機の傷跡

この一帯のモーテルには、実は旅行者ではない、家族連れが住んでいます。これらのモーテルは、2007年末から2009年頃に起きたサブプライム住宅ローン危機などで家を失ったり、高騰する家賃を払えなくなった人たちの生活の場になっています。家を借りるには家具を買い揃え、保証金を支払う必要があり、またクレジットカードの支払いを延滞したり、利用額が少なかったりすると、しっかりした保証人がいない限り部屋を貸してもらえません。さらに、都市部を中心に家賃はとんでもなく上がっており、その日暮らしの人が都市部に職を求める為には、安いモーテルを利用する以外になく、彼らは「隠れホームレス」とも言われています。本作に登場するムーニー、ジャンシー、スクーティらは、そんな家庭の子供たちです。

 

2011年に共同脚本のクリス・バーゴッチからこうした状況を教えられたベイカー監督は、子どもにとって世界で最も幸せな場所である「ディズニーワールド」に隣接する地域で、このような貧困の現実があることにショックを受けました。この対比は悲しいアイロニーですが、逆にこの問題を観客によりインパクトを持って伝えることができるのではないかと彼は考えました。そんな経緯から、原題の「The Florida Project」には、

  • 子どもにとって世界で最も幸せな場所である「ディズニー・ワールド」の開発プロジェクト名
  • 隠れホームレスが住むフロリダのモーテルを低所得者向け公営住宅(プロジェクト)に喩えた風刺表現

という、対照的な二つの意味が込められています。

ロケーションに密着したリアリティ溢れる物語

本作に登場するシーンのほとんどは、ムーニーとヘイリーが暮らすモーテル「マジック・キャッスル」を中心に、キシミー地区の国道192号線沿い数キロで撮影されたものです。

 

ほとんどシーンをキシミー地区の国道192号線沿い数キロの範囲で撮影

後掲の「撮影地(グーグルマップ)」のリンクから、より映画の映像に近いロケーションをたどれます。

 

ロケーションを見ながら物語を作ったり、ユニークなキャラクターとロケーションとの組み合わせで物語を作ることを得意とするショーン・ベイカー監督は、この地を舞台にした作品を制作する為に三年に渡って調査を行いました。192号線沿いのすべてのモーテルにアプローチし、モーテルの支配人、現地のコミュニティ、NPOの人たちなどから話を聞きました。子供たちがモーテルのブレイカーを落とす悪戯やシングルマザー同士の諍いなど、本作のエピソードのほとんどが調査で聞いた話に基づいており、リアリティ溢れる物語になっています。

あの地域のモーテルに暮らしている人々の生活は、誇張するまでもなくドラマチックなんです。ですから今回は映画らしくするための誇張はほとんどしていません。そういうことは彼らに失礼だと思いました。(ショーン・ベイカー監督)
https://www.huffingtonpost.jp/hotaka-sugimoto/florida-20180508_a_23427977/

 

また、本作の背景に、度々、ヘリコプターが発着し、屈託のない子供たちが繰り広げる物語に適度な緊張感を与えていますが、これらのヘリは撮影用のフライトではなく、ヘリ運営会社が観光客相手に行う実際の遊覧飛行です。撮影場所付近でのヘリの爆音は撮影に多大な影響を与えますが、飛行を差し止めるほどの予算を持たないベイカー監督にこれをコントロールする術はありません。しかし、この「災難」を逆手に取って、彼はヘリが現れるタイミングを見計らって撮影し、作品に効果的に生かしています。

こだわりのキャスティング

本作には、演技経験のない子役から、オスカー級のベテラン俳優まで、幅広い俳優がキャストされています。

  • ブルックリン・プリンス:子役、現地オーディションで採用、演技経験有り
  • ウィレム・デフォー:俳優、ベテラン、オスカー級
  • ブリア・ヴィネイト:デザイナー、インスタグラムで発掘、演技経験なし
  • ヴァレリア・コット:現地量販店で発掘、演技経験なし
  • クリストファー・リヴェラ:オーディションで採用、モーテル育ち、演技経験なし
  • メラ・マーダー:ダンサー、ニコパンダのPVで発掘、ほとんど演技経験なし
  • ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ:俳優、ミュージシャン
  • ジョシー・オリーヴォ:ラテン・ダンサー、女優

 

イカー監督は、「タンジェリン」(2015年)で演技経験のないキタナ・キキ・ロドリゲスとマイヤ・テイラーの魅力をフルに引き出していますが、本作でも多くのアマチュアを起用しています。極めつけは、ヘイリー役のブリア・ヴィネイトです。プロデューサーはブリットニー・スピアーズやマイリー・サイラスを考えていましたが、億万長者が演じたのではもっともらしさが出ないと感じたベイカー監督は、「肉体や反抗的な振る舞いが、ヘイリーにぴったり」と、たまたまインスタグラムで見かけたブリア・ヴィネイトにこだわりました。 

 

ブリア・ヴィネイト(インスタグラム)

 
 
 
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ブリアの投稿したいくつかの動画に笑わされました。彼女には僕がヘイリーに求めていたクオリティが備わっていました。反抗的で、どこか自虐的なところがあるんです。インスタグラムでは、ほとんどの女の子はシリアスに自分を見せようとするけれど、彼女は「見て、私は耳がでかいの。笑ってちょうだい」といった感じです。それに彼女はウィットに富んでいて、見た目もばっちりでした。タトゥもすべて彼女のものです。実生活の彼女とヘイリーには共通点があるとわかっていたから、役にも反映することができました。でも、もし過去の作品での前例がなければ、このような賭けはできなかったでしょうね。「タンジェリン」(2015年)のキキ・ロドリゲスやマイヤ・テイラー、「チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密」(2012年)のベセドカ・ジョンソン、「Prince of Broadway(原題)」(2008年)のプリンス・アドゥは演技初挑戦でしたが、評価されて賞まで取りました。それによって、本作でも「ハリウッドの大物女優ではなく彼女でどうかな?」と投資家に伝えることができました。(ショーン・ベイカー監督)
http://www.neol.jp/culture/68235/

  

イカー監督は、キャスティングに関して強いこだわりを持っています。

(適材を見つける秘訣は)時間をかけることかな。本作のようにキャラクターが引っ張っていく物語の場合は特にそうです。俳優たちがまさに体現しなければならないわけですから。何本か前の長編作から、絶対にキャストの中で脆いリンクは作りたくない、と意識するようになりました。1つ弱いと全部が駄目になってしまうから。そうなると、夜も眠れない。自己中心的な理由です(笑)。(ショーン・ベイカー監督)

http://www.moviecollection.jp/interview_new/detail.html?id=804

 

因みに、ヘイリーと諍いを起こすシングル・マザー、アシュリーを演じるメラ・マーダーも、ベイカー監督が発掘した女性ですが、彼女もなかなか個性的です。

 

メラ・マーダー(インスタグラム)

 
 
 
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本作の要であるムーニー、スクーティ、ジャンシーを演じる子供たちも、なかなか個性的です。子役の為のアクティング・コーチやキッド・ラングラー(撮影が円滑に進むように子どもの世話をする人)が付いていますが、それにしても見事なパフォーマンスを見せてくれます。

メインとなる3人の子どもたちは、初めからとても社交的で冒険好きで、大人に対して萎縮する素振りが全くありませんでした。一番最初に開催した地元のオーディションで、主役のブルックリン・プリンスと友人役のクリストファー・リヴェラをペアにしたんだけど、求めてもいないのに、クリストファーは準備体操として床で腕立て伏せを始めるし、ブルックリンはスクワットをし始めた(笑)。だから、オーディションをする前から二人の採用は決まっていたんです。
http://fashionpost.jp/portraits/133379

 

ムーニーを演じたブルックリン・プリンスには、泣き出すシーンが一度だけありますが、撮影時、弱冠6歳の彼女は、思わずもらい泣きしてしまう程の圧巻のパフォーマンスを見せてくれます。撮影には1ヶ月の準備期間があり、ブルックリンはワークショップを通じてジャンシー役のヴァレリアと大親友になりました。このシーンは撮影が始まって10日ほどで撮られたのですが、ブルックリンはヴァレリアと別れなければいけなくなったらどうしようと思いながら演技したそうです。大人顔負けのメソッド演技です。

 

撮影時6歳ながら、大人顔負けの圧巻の演技を見せるブルックリン・プリンス

 

こうした子供たちや、演技経験の少ない人々に混じって、ウィレム・デフォーがいぶし銀のような演技を見せ、本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされています。ウィレムほどの大物を起用するのは、ベイカー監督にとって初めての経験でしたが、ウィレムがベイカー監督の前作の「タンジェリン」を気に入っていたことから、彼の出演がトントン拍子で決まりました。ここでも、「タンジェリン」の成功が物言ったようです。

ウィレムは驚くべき役者ですね。今現在も現役で活躍している俳優の中でも明らかに最高の俳優の一人だと思います。彼は何者にもなれるです。とても高いレベルで。観客は彼の顔は認識できても、数秒後には、彼がウィレム・デフォーだということを忘れてしまうほどに完全に役になりきるんです。この作品で彼は完璧なフロリダ・マンであるボビーになりました。実は彼が現地入りしたのは、前日ではないのです。彼はとても真面目な俳優で、とても早く現場入りし、何人かのモーテル支配人に実際に会って、彼らの特徴や考え方を学んでいました。

彼自身、モーテルの管理人と会って、僕が何を求めているのか正確に理解していました。劇中のボビーは渋々と物事を引き受ける、親のような存在で、内面的には本当に苦労している男なんです。日給のブルーカラーの労働者でありながらも、宿泊料を払えなければ一家を放り出さなければならないという重責を背負わされています。彼らがホームレスになるとわかった上で追い出さなければならないんです。だから、彼からは慈悲の心も感じられるし、助けたいのだけれど、同時に仕事として距離を置かなければならない辛さも感じられました。ウィレムはそれを素晴らしく表現してくれました。彼の内なる苦悩が感じられるんです。(ショーン・ベイカー監督)
https://cinema.ne.jp/recommend/floridaproject2018051117/
http://www.neol.jp/culture/68235/

  

ドラマティックでちょっぴり切ないエンディング

<ネタバレ>

ついに児童家庭局の手が入り、ヘイリーが買春容疑で取り調べられる間、ムーニーは第三者の家庭に預けられることになります。ヘイリーや友達との別れを察したムーニーは、スタッフを振り切り、ジャンシーの元へと走ります。泣きじゃくりながら別れを告げるムーニーにただならぬ気配を感じたジャンシーは、ムーニーの手をとって一目散に走り出します。カメラは手をつないで走る二人を追い、オーケストラ用にアレンジされたドラマティックな「セレブレーション」*4

が流れます。二人はディズニ・ワールドのマジック・キングダムを駆け抜け、カメラはシンデレラ城前の人混みに消える二人を見送ります。あたかも子供たちが、厳しい現実から世界で最も幸せな場所にワープするのを見送るかのようです。

 

この作品は35mmフィルムで撮影されていますが、ジャンシーがムーニーの手を取る瞬間からiPhoneで撮影された映像に切り替わります。これは、後にディズニーワールド内でゲリラ撮影する為でもありますが、映し出される世界も現実を描いたものからムーニーの想像を描いたものに同時に切り替わっています。つまり、モーテルに暮らすヘイリーとムーニーがどうなるかという現実を描く代わりに、大好きなジャンシーとともにディズニー・ワールドに駆け込むというムーニーの想像を描いているのです。明るく歯切れの良いクール・アンド・ザ・ギャングの「セレブレーション」に誘い込まれ、子供たちのひと夏の体験を楽しんだのも束の間、今度はオーケストライゼーションされた「セレブレーション」とともに、想像の中でディズニーワールドの人混みに消える子供たちを見送るエンディングは、ドラマティックでちょっぴり切ないです。

<ネタバレ終わり>

 

なんだかんだ言っても格差はなくならないだろうし、ヘイリーのような態度では堕ちて当然といった考え方もあると思いますが、

  • 割高なモーテルの宿泊費を稼ぐ為に犯罪に走るパターンを回避できないか?
  • 貧しくても、子供が親や友達と安心して暮らせる術はないのか?

といったことを、考えさせられる作品です。日本ではモーテルで暮らす家族はあまりいないと思いますが、他方でネットカフェ難民が話題になるなど、社会の歪みと言う点では全く無関係な話ではないかもしれません。

 

ブルックリン・プリンス(右、ムーニー)

ブルックリン・プリンス(2010年〜)は、アメリカの子役女優。2歳の頃から、雑誌、食品、観光案内などの印刷・映像広告に露出、本作への出演で一躍知られるようになる。およそ6歳とは思えないようなパフォーマンスを見せている。

 

ウィレム・デフォー(左、ボビー・ヒックス、マジック・キャッスルの管理人)

ウィレム・デフォー(1955年〜)は、ウィスコンシン州出身のアメリカの俳優。ウィスコンシン大学でドラマを研究するも、途中退学し、前衛劇団に加わる。1981年から1982年にかけて映画デビュー、「プラトーン」(1986年)、「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」(2000年)、及び本作でアカデミー助演男優賞にノミネートされている。

 

ブリア・ヴィネイト(中央、ヘイリー、ムーニーの母親)

ブリア・ヴィネイト(1993年〜)は、リトアニア出身のアメリカの女優。リトアニアに生まれ、6〜7歳の時にニューヨーク市に移住。14歳でタトゥーを入れ、18歳で親から独立、マリファナをモチーフにしたビキニや帽子を売り始める。ショーン・ベイカー監督に発掘され、本作で一躍、世界に知られる。

 

ヴァレリア・コット(右、ジャンシー)

ヴァレリア・コット(2010年〜)は、オーランド出身のアメリカの子役女優。現地の量販店ターゲットだ母親と一緒にいるところを、ベイカー監督にスカウトされた。演技経験がなく、本作が映画初出演。

 

クリストファー・リヴェラ(右、スクーティ)

クリストファー・リヴェラは、アメリカの子役俳優。現地のオーディションで本作に起用された。彼自身、母親とともに現地のモーテルで暮らしていたが、本作の出演料で母親とともにモーテルを出て、アパート暮らしを始めることができた。また、本作への出演がきっかけで、彼はある大学から奨学金と大学入学までの継続的な支援を得た。

 

メラ・マーダー(アシュリー、スクーティの母親)

メラ・マーダー(1991年〜) は、ブルックリン出身のプエルトリコ系の女優、ダンサー。人気ユニットメジャー・レーザーのツァーに同行、ライブの人気を支え続ける。出演した短編映画「Gang」が、ショーン・ベイカー監督の目に止まり、本作に起用される。メラは短編映画出演を機に演技の勉強を始めたものの挫折したばかりであったが、妊娠中だった彼女は母子を描いた脚本に心を動かされ、出演を決めた。

 

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ジョン・ヒックス、ボビーの息子)

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(1989年〜)は、テキサス出身のアメリカの俳優、ミュージシャン。17歳の頃、「ノーカントリー」(2007年)で映画デビュー、「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)、「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年)、「神様なんかくそくらえ」(2014年)、「ゲット・アウト」(2017年)、「バリー・シール/アメリカをはめた男」(2017年)などに出演している。ちょっとアブナイ感じの役を演ずることが多い。映画の出演が増えた為、ミュージシャンとしての活動は休止している。

 

ジョシー・オリーヴォ(右、ステイシー、ジャンシーの祖母)

ジョシー・オリーヴォニューヨーク出身のラテン・ダンサー。1984年から、ブレイク・ダンスを題材にした映画、CM、テレビ番組に関わり、その後、ミュージック・ビデオ等に出演、最近はテレビ番組や短編映画に出演している。

動画クリップ

撮影地(グーグルマップ)

 

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関連作品

ショーン・ベイカー監督作品のDVD(Amazon

  「チワワは見ていた」(2012年)

  「タンジェリン」(2015年)

 

ウィレム・デフォー出演作品のDVD(Amazon

  「プラトーン」(1986年)

  「最後の誘惑」(1988年)

  「7月4日に生まれて」(1989年)

  「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)

  「白い刻印」(1997年)

  「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」(2000年)

  「スパイダーマン」(2002年)

  「アビエイター」(2004年)

  「インサイド・マン」(2006年)

  「パリ、ジュテーム」(2006年)

  「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」(2009年)

  「誰よりも狙われた男」(2014年)

  「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)

  「ジョン・ウィック」(2014年)

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