ジョージ・クルーニー(1961年5月6日 - )は、アメリカの俳優、映画監督、プロデューサー、脚本家です。俳優として4回、監督として1回、脚本家として2回、製作として1回アカデミー賞にノミネートされ、アカデミー助演男優賞、アカデミー作品賞を受賞しています。
厳格なローマ・カトリックに育てられたクルーニーは、中学時代にベル麻痺(神経の麻痺によって障害がある側の顔面の筋肉がコントロールができなくる病態で、原因が特定できないもの)を患っています。
それは私の人生の中で最悪の時間だった。残酷な子供たちがどれだけ残酷か知っているだろう。私は嘲られ、なじられたが、この経験は私をより強くした。(ジョージ・クルーニー)
クルーニーは1978年にテレビドラマのエキストラ出演で俳優デビューしますが、なかなか芽が出ませんでした。32歳の時、テレビドラマ「ER緊急救命室」のオーディションを受けますが、これで芽が出なければ故郷のケンタッキーへ戻ろうと決めており、ズボンのポケットにはケンタッキー行きの長距離バスのチケットを忍ばせていたといいます。背水の陣で臨んだクルーニーはオーディションに合格、1994年から1999年までメイン・キャラクターとしてシリーズにレギュラー出演します。このドラマは初期シーズンの90年代後半、アメリカの木曜のプライムタイムにおいて、ほぼ毎週視聴率トップを独占し、NBCの黄金時代を築く一角となりました。特に、クルーニーが出演していたシーズン1-5は、シーズン毎の視聴率が常にトップ若しくは2位という超人気番組で、日本にもこの人気が波及、NHKが深夜放送で高視聴率をマークしたり、各テレビ局でも海外の医療ドラマを放送したり「救命病棟24時」のようにERに触発されたドラマが多く制作されています。クルーニーが演じたのは二枚目だが優しくて、ちょっとグズなとこもある、とても人間的な小児科医でした。この役は、その後の俳優としての方向性を作ったと言っても良いのではないかと思います。クルーニーはこの番組での演技により、主演男優としてエミー賞に二度、ゴールデングローブ賞に三度、ノミネートされます。
「ER緊急救命室」で大ブレイクしたクルーニーは、この頃から映画出演も本格化し、彼にとっての初めてのメジャーなハリウッド作品「フロム・ダスク・ティル・ドーン」(1996年)、そして「素晴らしき日」(1996年)、「ピースメーカー」(1997年)と成功が続き、「アウト・オブ・サイト」(1998年)出演を契機に、スティーブン・ソダーバーグ監督とコラボレーションするようになります。2001年には、同監督の「オーシャンズ11」に出演し商業的に大きな成功を収めました。これは、2013年に「ゼロ・グラヴィティ」が公開されるまで、彼が出演した映画で最大の興行収入を上げた作品となりました。翌2002年には「コンフェッション」で監督デビューを果たし、以後、「グッドナイト&グッドラック」(2005年)、「かけひきは、恋のはじまり」(2008年)、「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜」(2011年)を手がけます。「シリアナ」(2007年)でアカデミー助演男優賞を受賞し、「フィクサー」(2007年)、「マイレージ、マイライフ」(2009年)、「ファミリー・ツリー」(2011年)では同主演男優賞にノミネートされています。また、「アルゴ」(2012年)ではプロデューサーとしてアカデミー作品賞を受賞しています。
ジョージ・クルーニーの主な受賞・ノミネート歴
作品名 | 公開年 | アカデミー賞 | その他 |
オー・ブラザー! | 2001年 | ゴールデングローブ 主演男優賞受賞 |
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シリアナ | 2005年 | 助演男優賞受賞 | |
グッドナイト&グッドラック | 2005年 | ヴェネツィア国際映画祭 脚本賞受賞 |
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フィクサー | 2007年 |
主演男優賞ノミネート |
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マイレージ、マイライフ | 2009年 |
主演男優賞ノミネート |
その他 |
スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜 |
2011年 | 脚色賞ノミネート | その他 |
ファミリー・ツリー | 2011年 |
主演男優賞ノミネート |
その他 |
アルゴ | 2012年 | 作品賞受賞 | その他 |
クルーニーは2008年より国連ピース・メッセンジャーを務めるなど、人道的活動に熱心なことで知られており、ダルフール紛争解決に注力したり、2010年のハイチ地震、2004年のスマトラ沖地震、アメリカ同時多発テロ事件の被害者への寄付金を募ったりしています。さらに「Sand and Sorrow」(2007年)などのドキュメンタリーも製作しています。また、外交問題・世界情勢を分析・研究する非営利の会員制組織で、アメリカの対外政策決定に対して著しい影響力を持つと言われている「外交問題評議会」の会員でもあります。
一方、彼はイタズラ好きで、撮影中に常に俳優仲間にイタズラを仕掛けるというお茶目な一面もあります。特にやられているだけではなく、やり返すブラッド・ピットとマット・デイモンは好ターゲットで、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの結婚式の際は、新郎、新婦の双方から、イタズラをしないようにと念押しの電話があったとか。そんなクルーニーですが、親友ブラッド・ピットの離婚劇に大きなショックを受けているそうです。ピット夫妻のイタズラだったら、みんなハッピーなのですが・・・。
「ピープル」誌による「最もセクシーな男性」に1997年、2006年と二度選ばれ、「タイム」による「世界で最も影響のある100人」に2007年、2008年、2009年と三度、選ばれるなど、知的で人間味が感じられる二枚目俳優ですが、本人によると、
30代は誰かを殴って、爆発を背に立ち去るような役どころばかりだった。でも今では、しこたま殴られて、倒れて泣くような立場になっている。(ジョージ・クルーニー)
とのこと。確かに、
- 「フィクサー」(2007年)
エリートコースを外れ、起業に失敗して負債を抱えるもみ消し屋 - 「マイレージ、マイライフ」(2009年)
自分が解雇されてしまう、従業員への解雇宣告代理人 - 「スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜」(2011年)
女性スキャンダルをネタに、選挙参謀に揺すられる州知事 - 「ファミリー・ツリー」(2011年)
事故で意識不明になった妻が浮気をしていた事を知る、カメハメハ大王の末裔 - 「ゼロ・グラビティ」(2013年)
船外活動中に、宇宙の果てまで飛ばされてしまう宇宙飛行士 - 「ヘイルシーザー」(2016年)
撮影中にスタジオから誘拐され、洗脳されてしまう間抜けな二枚目俳優
と、踏んだり蹴ったりの役回りが多いようですが、そもそも人間味などというものは、そんな時に滲み出てくるもの。生涯独身宣言を撤回、2014年に結婚して幸せ一杯なクルーニーですが、映画の中では殴られ倒されて泣かされながら人間味を発揮して欲しいところです。
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