「インターステラー」:惑星間航行する宇宙飛行士を、CGと実写、科学とヒューマニズムが融合する独特の世界観で描いた壮大な叙事詩
「インターステラー」(原題: Interstellar)は、2014年公開のアメリカのSF映画です。理論物理学者キップ・ソーン博士の宇宙旅行に関するワームホール理論をベースに、新たな居住可能な惑星を探索する為に別の銀河系へと惑星間航行(インター・ステラー)する宇宙飛行士のチームと、重大な使命と引き換えに永遠の離別を迎えようとする一組の父娘を描いています。
目次
スタッフ・キャスト
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン/ジョナサン・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー(ジョセフ・クーパー、宇宙船クルー、元空軍飛行士)
マッケンジー・フォイ(マーフィー・クーパー、ジョセフの娘、幼少期)
ジェシカ・チャステイン(マーフィー・クーパー、ジョセフの娘、青年期)
アン・ハサウェイ(アメリア・ブランド、宇宙船クルー)
デヴィッド・ジャーシー(ニコライ・ロミリー、宇宙船クルー)
ウェス・ベントリー(ドイル、宇宙船クルー)
マット・デイモン(ヒュー・マン、宇宙船クルー)
マイケル・ケイン(ジョン・ブランド教授)
ほか
あらすじ
近未来の地球は、植物の枯死や異常気象により、人類滅亡の危機に直面していました。居住可能な新たな惑星を求めて宇宙に調査に向かうミッションに選ばれたのは、元テスト・パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)と(アン・ハサウェイ)ら数人のクルーでした。このミッションに参加すれば、シングル・ファーザーのクーパーは15歳の息子トムとまだ幼い娘に再会することはできません。クーパーは泣きじゃくるマーフ(マッケンジー・フォイ)に「必ず帰ってくる」と約束し、地球を後にします・・・。
レビュー・解説
マシュー・マコノヒーがカウボーイ・タイプの宇宙飛行士クーパーを演じています。元空軍のパイロットで、「ライト・スタッフ」に出てくるような宇宙飛行士です。それが、ピックアップ・トラックを乗り回し、砂埃の舞う広大な大地でトウモロコシを育てているという、SF映画らしからぬオープニングです。このトウモロコシ畑のみならず、砂嵐や、宇宙飛行士が訪れる惑星も実写にこだわっており、緻密な計算に基づく宇宙空間のCG描写とともにこの映画独特の美的世界観を醸し出しています。
クーパーは、人類を救う為に宇宙に飛び立ちますが、置いていかれる娘のマーフィーを演じるマッケンジー・フォイ、心に傷を負いながら大人になったマーフィーを演じるジェシカ・チャステインのパフォーマンスも素晴らしいです。宇宙飛行士はすべてドクターという設定ですが、この中でマシュー・マコノヒー演ずるクーパーの愛と勇気と行動力が際立ちます。「ゼロ・ダーク・サーティ」で孤独な分析官からチームの責任者へとステップアップするマヤを強く逞しく男性的に演じてアカデミー主演女優賞にノミネートされたジェシカ・チャステインは、本作では父に置いていかれた心の傷を負いながらも再会を夢見る屈折したマーフィーを女性的な細やかさ、優しさとともに演じています。アン・ハサウェイが演ずるアメリアは、最初はちょっと嫌な感じのする女性ですが、後半にかけて少しづつ変化し、魅力的になっていくのが心憎い演出です。
理論物理学者キップ・ソーン博士を製作総指揮の一人に迎えての映画で、重力場と時間、特殊相対性理論、特異点、ニュートン力学、スイングバイ航法、ブラックホール、ワームホールなど科学的考証を用いた演出が評価されていますが、ともすれば人類に将来に懐疑的なSF映画が多い中、 人類の存亡を賭けた未知の世界へ挑戦する勇気や、信頼と愛といったヒューマニズムが印象的な作品です。宇宙空間と自然空間、未来の科学技術と古くさいヒューマニズムが混然一体となって、未知ではあるがありそうな未来を現実感たっぷりに描いているのが、これまでのSF映画にはない、この映画の最大の特色であり魅力です。
動画クリップ(YouTube)
関連作品
宇宙飛行士を描いた映画のDVD(Amazon)
「2001年宇宙の旅」のDVD(1968年)
「ライトスタッフ」のDVD(1983年)
「アポロ13」のDVD(1995年)
「ゼロ・グラビティ」のDVD(2013年)
「ファースト・マン」(2019年)
クリストファー・ノーラン監督作品のDVD(Amazon)
「メメント」(2000年)
「インソムニア」(2002年)
「バットマン ビギンズ」(2005年)
「プレステージ」(2006年)
「ダークナイト」(2008年)
「インセプション」(2010年)
「ダンケルク」(2017年)
マシュー・マコノヒー出演作品のDVD(Amazon)
「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年)
「リンカーン弁護士」(2011年)
「マジック・マイク」(2012年)
「ダラス・バイヤーズクラブ」(2013年)