「ダラス・バイヤーズクラブ」(原題:Dallas Buyers Club)は2013年公開のアメリカのドラマ映画です。1992年に「ダラス・モーニングニュース」の記事で取り上げられたロン・ウッドルーフの実話*1に基づき、ジャン=マルク・ヴァレ監督、マシュー・マコノヒーら出演で、HIVを患った男が治療薬を求めて、製薬会社や政府と戦う姿を描いています。第86回アカデミー賞で、主演男優賞(マシュー・マコノヒー)、助演男優賞(ジャレッド・レト)、メイク・ヘアスタイリング賞を受賞した作品です。
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目次
スタッフ・キャスト
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
脚本:クレイグ・ボーテン/メリッサ・ウォーラック
出演:マシュー・マコノヒー(ロン・ウッドルーフ)
ジェニファー・ガーナー(イヴ・サックス)
ジャレッド・レト(レイヨン )
スティーヴ・ザーン(タッカー)
ほか
あらすじ
1985年ダラス、ロデオ・カウボーイのロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)は「エイズで余命30日」と宣告されます。当時まだエイズは「ゲイ特有の病気」だと思い込まれており、無類の女好きであるロンは診断結果を信じようとしませんでしたが、詳しく調べるうち、異性との性交渉でも感染することを知ります。ロンは友人や同僚たちに疎んじられ、居場所を失っていきます・・・。
レビュー・解説
1980年代の南部におけるエイズへの偏見は、想像に難くありません。エイズ患者は、偏見とともに、未承認薬を得る為にFDA(アメリカ食品医薬品局)と戦わねばなりませんでした。これは時に、絶望的なほど時間がかかる話でした。エイズで余命宣告を受けたダラスのカウボーイが選んだ男前な生き方は、印象深く、感動的でです
マシュー・マコノヒーの演ずるエイズ患者が痛々しいほどにリアルで、説得力があります。彼は役の為に21キロも体重を落とし、青白く見えるようにと日の光を避けて家に籠りました。副作用で視力も落ちましが、こうした努力が彼の演技に反映し、見事、2013年度のアカデミー主演男優賞を獲得しました。
5年ぶりに俳優に復帰し、ゲイの男性を演じて助演男優賞を獲得したジャレッド・レトも注目に値します。彼も体重を14キロ落として役に臨みました。撮影期間中は役になりきったまま過ごし、地方のホール・フーズ・マーケットに買い物に出かけた際は、何度もジロジロと見られました。「ダラス・バイヤーズクラブ」は、最優秀男優賞と助演男優賞の両方を受賞した5本目の映画になります。4本目は「ミスティック・リバー」のショーン・ペンとティム・ロビンスでした。
ロン・ウッドルーフの実話の映画化の試みは1990年代の半ばにもありましたが、資金が集まらず実現しませんでした。「ダラス・バイヤーズクラブ」も資金調達が難航し、最終的にマシュー・マコノヒーの助力で資金調達されました。予算的な制約により、25日間の撮影では通常のライティングのセット・アップはなされず、最長15分の撮影もハンディカメラによって行われました。また、リハーサルも編集の為の撮り直しもありませんでした。メイク部門にはわずか250ドルしか予算が割り当てられませんでしたが、驚くことにアーティストはこの予算内でやりくりし、アカデミー賞のメイク・ヘアスタイリング賞を受賞しました。
低予算を感じさせない、素晴らしい映画です。
最後にお気に入りのセリフを。
RON: You have missed a regular life?
EVE: Regular life? What’s that? It doesn’t exist.
RON: Yeah, I guess. (a beat) No, I just want...
EVE: What?
RON: ... an ice-cold beer, bull ride again. Go, take my woman dancing. I want kids... I got one life right? -- mine. But I want someone else’s. Sometimes, I feel I'm fighting for a life I ain't got the time to live.
RON: I want it all to mean somethin’.
EVE: It does.
ロン:普通の生活がしたかった?
イブ:普通の生活って?何かしら?そんなのある?
ロン:多分な。ただ、俺が欲しいのは・・・
イブ:何?
ロン:冷えたビールと、またロデオをやること。女をダンスに誘ったり・・・、子供も欲しい。人生は一度きりだけど、他人のも生きてみたい。死なずにいることに必死で、生きている心地がしない。
ロン:意味あるものが欲しい。
イブ:あるわよ。
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関連作品
マシュー・マコノヒー出演作品のDVD(Amazon)
「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年)
「リンカーン弁護士」(2011年)
「マジック・マイク」(2012年)
「インターステラー」(2014年)
「Common Threads: Stories from the Quilt」(1989年)、輸入盤、日本語なし
「Silverlake Life: The View From Here」(1993年)、輸入盤、日本語なし(楽天市場)
「運命の瞬間/そしてエイズは蔓延した」(1994年)、VHS
「エンジェルス・イン・アメリカ」(2003年)
「How to Survive a Plague」(2012年)、輸入盤、日本語なし
「ダラス・バイヤーズクラブ」(2013年)
「 BPM ビート・パー・ミニット」(2017年)