「恋におちたシェイクスピア」(原題:Shakespeare in Love)は、1998年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。「ロミオとジュリエット」の初演を背景に、若かりし日のウィリアム・シェイクスピアと彼を信奉する上流階級の娘ヴァイオラとの秘められたロマンスを、劇中劇を絡めて描いています。第71回アカデミー賞で、作品、主演女優(グウィネス・パルトロー)、助演女優(ジュディ・デンチ)、脚本、美術&装置、衣裳デザインの6賞を受賞した作品です。
目次
スタッフ・キャスト
監督:ジョン・マッデン
脚本:トム・ストッパード
出演:グウィネス・パルトロー(ヴァイオラ・デ・レセップス)
ジョセフ・ファインズ(ウィリアム・シェイクスピア)
ジェフリー・ラッシュ(フィリップ・ヘンズロー )
コリン・ファース(ウェセックス卿)
トム・ウィルキンソン(ヒュー・フェニマン)
ベン・アフレック(ネッド・アレン)
ジュディ・デンチ(エリザベス女王)
ルパート・エヴェレット(クリストファー・マーロウ)
ほか
あらすじ
ペストが蔓延し劇場の閉鎖が相次ぐロンドンで、ウィリアム・シェイクスピアは「ロミオとジュリエット」の上演準備を行っていました。芝居好きの資産家の娘ヴァイオラは、貴族との縁戚を望む両親のため、貧乏貴族のウェセックス卿との望まぬ結婚を前にしていました。当時の演劇では女性は舞台に立つことができず、女装した変声期前の男性俳優が女性を演じていましたが、ヴァイオラは男装して劇団に潜り込み、ロミオの役を得ます・・・。
レビュー・解説
「アイアンマン」の秘書、ヴァージニア・”ペッパー”・ポッツ役でおなじみの、グウィネス・パルトローの出世作です。公開時26歳のグウィネス・パルトローは若く初々しいですが、そのひたむきな演技は高く評価されました。ジェフリー・ラッシュ、コリン・ファース、ベン・アフレック、トム・ウィルキンソン、ジュディ・デンチなど、今日に至るまで活躍し続ける豪華な助演俳優も注目されます。「ロミオとジュリエット」など、劇中劇で演じられ、シェイクスピアの時代を超えた感動的な戯曲も楽しむ事ができます。脚本、美術、衣装も素晴らしく、「恋におちたシェイクスピア」は1998年度のアカデミー作品賞/脚本賞/主演女優賞/助演女優賞/音楽賞/美術賞/衣装デザイン賞を受賞する名作となりました。
劇中劇で「ロミオとジュリエット」が演じられるシーンです。
当時の劇場の雰囲気がよく伝わってきます。
ヴィオラ役には、ジョディ・フォスター、ジュリア・ロバーツ、メグ・ライン、ウィノナ・ライダー、ニコール・キッドマン、ヘレン・ハントらが、候補に上がっていました。友人のウィノナ・ライダーの事務所で「恋におちたシェイクスピア」の台本を目にしたグウィネス・パルトローは、それを借りて読み、ウィノナ・ライダーに黙ってヴィオラ役に挑戦、結果、役と主演女優賞を得ましたが、友人関係は解消されてしまいました。一言、声をかければ良かったのにとも思われますが、競争の厳しいハリウッドの世界らしいエピソードです。 エリザベス女王を演じたジュディ・デンチは、わずか6分の出演時間で助演女優賞を獲得しました。彼女の醸し出す女王の威厳、威圧感はすばらしいです。この年は、奇しくも「エリザベス」で同じくエリザベス女王を演じたケイト・ブランシェットも、アカデミー主演女優賞にノミネートされています。
舞台となったロンドンのローズ劇場は実在したもので、1989年にその跡地が発見され、Rose Court ビルの地下に保存されています。
類似の構造を持つ同じくエリザベス朝のグローブ劇場が近隣に復元されて、興行が行われています。
撮影に使用されたローズ劇場のレプリカはジュディ・デンチから、British Shakespeare Company に寄贈され、イギリス北部に設置する計画が発表されましたが、いまのところ実現していないようです。
関連作品
「ハムレット」(1948年)ローレンス・オリビエ監督・主演
「ジュリアス・シーザー」(1953年)ジョセフ・L・マンキウィッツ監督
「禁断の惑星」(1956年)「テンペスト」翻案
「ウエスト・サイド物語」(1961年)「ロミオとジュリエット」翻案
「ロミオとジュリエット」(1968年) フランコ・ゼフィレッリ監督
「乱」(1985年)「リア王」翻案 黒澤明監督、仲代達矢主演
「ヘンリー五世」(1989年)ケネス・ブラナー監督・主演
「から騒ぎ」(1993年)ケネス・プラナー監督・主演
「英雄の証明」(2011年)「コリオレイナス」翻案レイフ・ファインズ監督・主演
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