夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「猿の惑星:聖戦記」:名作SFをリブート、戦争と復讐に突き動かされる猿のリーダーの心情を精緻に表現し、種の歴史を描く聖書的叙事詩

「猿の惑星:聖戦記」(原題:War for the Planet of the Apes)は、2017年公開のアメリカのSF映画です。ピエール・ブールによる同名のSF小説を原作にした「猿の惑星」シリーズをリブートした新三部作の完結編で、高度な知能を得て反乱を起こした猿たちと人…

閑話休題:「値札がついていないものは108円」、ハードオフのジャンクから名作映画のDVDを掘り出してみた

HDDのジャンクを探しに近くのハードオフに行きましたが、目当てのものが見つからず、代わりに面白そうなジャンクDVDのコーナーがあったので覗いてみました。DVDソフトのコーナーとは別で、パソコンなどのジャンク品があるフロアの一角の目立たないところにあ…

「バーフバリ 王の凱旋」:終始上がりっ放し、神話的題材にインドらしさ満載、効率的CGで歴史スペクタクルに風穴を開ける最大ヒット作

「バーフバリ 王の凱旋」(原題:Baahubali 2: The Conclusion)は、2017年公開のインドの叙事詩的歴史スペクタクル&アクション・ファンタジー映画です。2016年にインド映画史上最高の興行収入を記録した全2部構成の第一部「バーフバリ 伝説誕生」の続編で…

「夜明けの祈り」:ソ連占領下のポーランドで兵士の暴行で妊娠した修道女達とフランス人女医の実話に基づく過酷で美しく感動的なドラマ

「夜明けの祈り」(原題:Les Innocentes)は、2016年公開のフランス・ポーランド合作のドラマ映画です。第2次世界大戦直後のポーランドの実話に基づき、アンヌ・フォンテーヌ監督、ルー・ドゥ・ラージュら出演で、赤十字で医療活動を行う若いフランス人の女…

「アノマリサ」:人と心が繋がらない苦しみを描きながらもかすかな希望を感じさせる、大人向けのストップモーション・アニメーション映画

「アノマリサ」(原題:Anomalisa)は、2015年公開のアメリカのストップモーション・アニメーションによるコメディ&ドラマ映画です。2005年にフランシス・フレゴリのペンネームで書かれた同名の朗読劇を、チャーリー・カウフマンが脚色、チャーリー・カウフ…

「エル ELLE」:勝ち組の敏腕女性が遭遇するレイプの顛末を、様々な人間関係が織りなす日常的現実感の中で描いた、異色サスペンス映画

「エル ELLE」(原題:Elle)は、2016年公開のフランス、ベルギー、ドイツ合作のサスペンス映画です。2012年に発表されたフィリップ・ジャンの小説「Oh...」を原作に、ポール・バーホーベン監督、イザベル・ユペールら出演で、瀟洒な自宅で覆面の男に襲われ…