夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「スクール・オブ・ロック」:ジャック・ブラックが偽教員になって子供達にロックの真髄を教える!

スクール・オブ・ロック」(原題:School of Rock)は、2003年公開のアメリカのコメディ映画です。リチャード・リンクレイター監督、ジャック・ブラック主演で、売れないロッカーが名門小学校の先生になりすまし、子供達に新風を巻き起こす様を描いています。

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:リチャード・リンクレイター
脚本:マイク・ホワイト
出演:ジャック・ブラック(デューイ・フィン、売れないロックンローラー
   ジョーン・キューザック(ホレス・グリーン学院の校長、ロザリー・マリンズ)
   マイク・ホワイト(ネッド・シュニーブリー、デューイの親友)
   サラ・シルバーマン(パティ・ディ・マルコ、ネッドの恋人)
   レベッカ・ブラウン(ケイティ、ベース)
   ミランダ・コスグローヴ(サマー・ハサウェイ、マネージャー)
   ジョーイ・ゲイドス・Jr(ザック・ムーニーハム、ギター)
   ケヴィン・クラーク(フレディ・ジョーンズ、ドラム)
   ロバート・ツァイ(ローレンス、キーボード)
   マリアム・ハッサン(トミカ、バックコーラス)
   アリーシャ・アレン(アリシア、バックコーラス)
   ほか

あらすじ

 ギタリストのデューイ(ジャック・ブラック)はロック・バンドのメンバーとしてワイルドに生きている男。代用教員の親友ネッド(マイク・ホワイト)のアパートに居候している彼は家賃を滞納、ネッドの恋人パティ(サラ・シルヴァーマン)にアパートから追い出すと宣告されます。バンド・バトルで優勝し賞金で家賃を払おうと考えますが、彼はその熱すぎる情熱と勝手なパフォーマンスが原因でバンドをクビになってしまいます。途方に暮れた彼は、名門ホレス・グリーン学院からネッドにかかってきた仕事の依頼の電話を本人になりすまして受け、この学校の代用教員になることを企てます。ネッドになりすまして小学校へ向かったデューイは、厳しい女校長のマリンズ(ジョーン・キューザック)をうまく騙し、5年生の担任になります。仕事などする気のない彼でしたが、音楽室から流れてくる生徒たちのクラシック演奏を聴いた彼は、クラスの子供たちに音楽の才能があることを見つけ、生徒たちにロックをやらせて一緒にバンド・バトルへ出場することを思いつきます。リード・ギターに内気な少年ザック(ジョーイ・ゲイドス・ジュニア)、ドラムスにフレディ(ケヴィン・クラーク)、キーボードに寡黙なローレンス(ロバート・ツァイ)、ベースにケイティ(レベッカ・ブラウン)、コーラスにソウルフルなトミカ(マリアム・ハッサン)を抜擢し、クラス委員の女子生徒サマー(ミランダ・コスグローヴ)をマネージャーにするなど、生徒全員に役割を与えます。デューイは授業と称してロックのあらゆることを子供たちに教え始め、困惑していた子供たちも、陽気でありのままの自分を認めてくれるデューイやロックの開放感に魅力を感じ、一緒にバンド・バトルを目指して猛練習を始め、ロックを通じて自由と個性を知っていきます。いよいよ大会が近づきますが、パティの通報によって偽教員であることがバレたデューイは学校を追放されてしまいます・・・。

レビュー・解説 

脚本を書いたマイク・ホワイトは、ジャック・ブラックの友人で、同じアパートの隣の部屋に住むジャック・ブラックが大声でロックを歌いながら裸でホールを駆け抜けるのを見てこの話を思いつきました。これをジャック・ブラックに話し、自身も出演するという前提でジャック・ブラックの為に書いたのがこの脚本です。この映画はジャック・ブラックの即興が多い様に見えますが、彼の言葉遣いがよく観察されて脚本が書き込まれており、即興の必要がなかったと彼は語っています。ちなみに、映画ではマイク・ホワイト扮するネッドの恋人に、ジャック・ブラック扮するデューイが疎まれる関係で描かれていますが、実生活ではマイク・ホワイトがジャック・ブラックの恋人にタバコをたかるような関係だったようです。

 

ジャック・ブラックは、高校時代にロック・ミュージシャンを目指すものの挫折、諦めきれずに1994年に俳優仲間とコメディ・バンド「テネイシャスD」を結成するほどのロック好きで、この映画ではその才能が遺憾なく発揮されています。一部、監督の意向でパンク・ロックが入っており、またジャック・ブラックのソロもありませんが、基本的に彼が好きな曲や演奏できる曲で構成されています。もともとは、マイク・ホワイト自身が監督するつもりでしたが、新人監督はリスクが大きいとして、制作側がリチャード・リンクレイターを起用しました。学園ものの「バッド・チューニング」で大成功を収めた実績を持つリンクレイター監督の起用に、二人は大喜びでした。

 

この映画に登場する子供達は、実際に演奏したり、歌ったりしている子供達で、その腕前はジャック・ブラックが舌を巻くほどでした。ロバート・ツァイのキーボードは素晴らしく、ジャック・ブラックは自分のバンドに引き抜こうかと思ったくらいでした。マネージャー役のミランダ・コスグローヴは役作りの為、わざわざ下手に歌う為のレッスンを受けなければなりませんでした。これらの子供達はすべてリンクレイター監督が集めて来ました。

 

この映画の成功の元はマイク・ホワイトがジャック・ブラックという素材を生かす脚本を描いたことにありますが、リチャード・リンクレイター監督が素晴らしい子役たちを確保し、映画として確かなものにまとめ上げたことを抜きに語る事はできません。ちなみに、脚本を書いたマイク・ホワイトはバイ・セクシャルですが、リンクレイター監督はネッド役にそんな彼の物腰を生かした演出をしています。マイク・ホワイトは普段の自分と変わらない映画の仕上がりに不満だったようですが、映画を観る限り彼の存在感も大きく、とてもいい仕上がりになっていますので、文句は言えないでしょう。

 

数々の有名なロックが聴けるのもこの映画の魅力ですが、レッド・ツェッペリンが商業的再利用に消極的であることを知っていたリンクレイター監督は、ジャック・ブラックが1000人の叫ぶファンの前で「移民の歌」の使用を懇願するビデオを製作しました。この作戦が功を奏し、映画では無事、「移民の歌」の使われていますが、こうした労を厭わない姿勢が良い映画の秘訣でもあるのですね。

 

ロックの歴史を教えるデューイ(ジャック・ブラック

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ネッドとその恋人(マイク・ホワイト、サラ・シルバーマン)

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ホレス・グリーン学院の校長、ロザリー(ジョーン・キューザック

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マネージャーのサマー(ミランダ・コスグローヴ)

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ベースのケイティ(レベッカ・ブラウン

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キーボードのローレンス(ロバート・ツァイ)

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ギターのザック(ジョーイ・ゲイドス・Jr)

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ドラムスのフレディ(ケヴィン・クラーク)

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サウンド・トラック 

劇中に使用されている曲

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