「世界中がアイ・ラヴ・ユー」(原題:Everyone Says I Love You)は、1996年公開のアメリカのミュージカル・コメディ映画です。ニューヨークとパリの四季を背景に、リッチな弁護士一家に関わる人々の様々な恋愛模様を軽快に描いています。
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目次
スタッフ・キャスト
監督: ウディ・アレン
脚本: ウディ・アレン
出演: ウディ・アレン(ジョー・バーリン)
アラン・アルダ(ボブ・ダンドリッジ)
ゴールディ・ホーン(ステフィ・ダンドリッジ)
ドリュー・バリモア(スカイラー・ダンドリッジ)
ナターシャ・リオン(D・J・バーリン)
エドワード・ノートン(ホールデン・スペンス)
ナタリー・ポートマン(ローラ・ダンドリッジ)
ジュリア・ロバーツ(フォン・シデール)
ティム・ロス(チャールズ・フェリー)
ルーカス・ハース(スコット・ダンドリッジ)
ギャビー・ホフマン(レイン・ダンドリッジ)
ほか
あらすじ
春、ホールデン(エドワード・ノートン)が恋人のスカイラー(ドリュー・バリモア)に歌いかけ、ニューヨークの街が歌い、踊り始めます。スカイラーの義理の妹ジュナ、通称DJ(ナターシャ・リオン)はパーク・アヴェニューのペントハウスに住むリッチな一家の娘で、継父のボブ(アラン・アルダ)は弁護士、母ステフィ(ゴールディ・ホーン)は資産家の娘です。実父のジョー(ウディ・アレン)はパリ在住の作家で、よくニューヨークに戻ってきますが、今回は女性に振られ、親友のボブとステフィに泣きついています。ボブはリベラルな民主党支持、ステフィも富の後ろめたさから民主党支持で奉仕活動に大忙しですが、弟のスコット(ルーカス・ハース)は保守の共和党支持でボブと喧嘩が絶えません。ボブとステッフィの双子の娘、レイン(ギャビー・ホフマン)とローラ(ナタリー・ポートマン)は、街でよく見かける男の子に胸をときめかせます。ホールデンは婚約指輪を買い、レストランのデザートに乗せて出しますが、スカイラーは指輪ごと食べてしまい、病院にかつぎ込まれます。
夏、毎年ヨーロッパで父のジョーと8月を過ごすDJは、失恋の傷が癒えないジョーとベネチアを訪れます。ジョーは同じホテルに泊まるヴォン(ジュリア・ロバーツ)が気になりますが、彼女はDJの親友の母の患者で、診察をのぞき見しているDJは彼女の悩みや秘密を知っています。教養のない夫との結婚に不満なヴォンの願望をDJはジョーに吹き込み、ジョーは彼女の心を掴みます。DJはゴンドラ漕ぎの詩人に恋して婚約しますが、ニューヨークの空港でセクシーなケンに会って婚約を解消します。一方、レインとローラは夏休みで空っぽのニューヨークで、気になる彼と友達になります。
秋、スカイラーとホールデンの結婚は11月に決まります。母ステフィの誕生日、ステフィの嘆願活動で保釈された特別ゲストの凶悪犯チャールズ・フェーリー(ティム・ロス)のアタックに、結婚間近のスカイラーは恋に落ち、婚約を破棄してしまいます。一方、ローラは友達になった彼にレインが好きだと言われ、失恋。スカイラーとチャールズは紅葉の森にドライブしますが、そこに脱獄したチャールズの仲間が合流、警察に追われてカーチェイスになり、スカイラーは恋人から去ります。ハロウィーンに、スカイラーを忘れられないホールデンが悪魔の扮装でやってきます。一方、DJはケンと別れてラップ歌手と恋に落ちます。パリでは、住み慣れた左岸のアパートからヴォンの夢見ていたモンマルトルに引っ越したジョーが、ヴォンと同棲を始めます。感謝祭で、けい動脈の異常で脳が酸素不足のスコットが倒れますが、言動の異常はそのせいで、回復した彼はリベラルになります。
冬、一家は毎年パリのリッツでクリスマスを過ごします。夢がかなったら夫との生活に悩みがなくなったヴォンが夫の元に帰ってしまい、イヴの晩にジョーが泣きつきに来ます。風邪をひいたボブの代わりに、ジョーがステフィをシネマテークのパーティーにエスコートします。思い出話に花を咲かせる二人はパーティーを抜け出し、思い出のセーヌの橋のたもとで、結婚していた時より今の方が仲のよい、お互いかけがえのない相手である事を確かめ合います。一方、DJはシネマテークのパーティーで最高の彼に出会います。
レビュー・解説
ウディ・アレン監督初のミュージカル映画で、豪華キャストによる恋愛讃歌のコメディです。いろんな人が様々な恋愛模様を展開するのですが、やはり人は恋をしているのがいいのかなと素直に感じさせる作品です。いずれの俳優も存在感がありますが、特にジュリア・ロバーツが出てくると画面がぱっと華やかになる感じがするのは、大スターのオーラでしょうか。
ミュージカル映画の構成はそれまでを踏襲していていますが、俳優が吹き替えなしで歌と踊りを披露するのは当時としては異例でした。ウディ・アレン監督は素人っぽさを狙っており、キャストが契約するまでこの映画がミュージカルであることを明かさず、また、ゴールディ・ホーンとエドワード・ノートンに至っては、歌がうますぎたため、下手に歌う様に指示されました。逆に鼻歌さえ歌った事がないというドリュー・バリモアのパートは吹き替えとなりました。
圧巻は、ゴールディ・ホーンが夜のセーヌ河畔で踊るシーンです。ゴールディは途中からワイヤーで吊られるのですが、手先からつま先まで美しく、動きもとても滑らかです。彼女は3歳からバレエのレッスンを受けており、大学中退後はダンスを教えるかたわら、プロダンサーとしてミュージカルに出演していました。映画公開時、彼女は51歳ですが、年齢を感じさせない美しさです。女優になった後もダンスは続けていたのでしょうね。このシーンでは、ウディ・アレン監督は下手に踊る様にという指示は出さなかったと思います。
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