「君とボクの虹色の世界」(原題:Me and You and Everyone We Know)は、2005年公開のアメリカのコメディ&ドラマ映画です。ミランダ・ジュライ監督・脚本、ミランダ・ジュライ、ジョン・ホークスら出演で、アーティストを夢見ながら高齢者タクシーの運転手をして生計を立てている女性、離婚したばかりで失意のショッピングモールの靴売り場の男性店員ら、年齢や環境の異なる様々な人々の愛したい、愛されたいという想いの交差を、ポップな映像で描いた群像劇風コメディです。カンヌ映画祭をはじめ、各国の映画賞に輝いた、ミランダ・ジュライの監督デビュー作品です。
「君とボクの虹色の世界」のDVD(Amazon)
目次
スタッフ・キャスト
監督:ミランダ・ジュライ
脚本:ミランダ・ジュライ
出演:ミランダ・ジュライ(クリスティーン)
ジョン・ホークス(リチャード)
マイルス・トンプソン(ピーター)
ブランドン・ラトクリフ(ロビー)
カーリー・ウェスターマン(シルヴィー)
ヘクター・エリアス(マイケル)
ブラッド・ヘンケ(アンドリュー)
ナターシャ・スレイトン(ヘザー)
ナジャラ・タウンゼント(レベッカ)
トレイシー・ライト(ナンシー)
ジョネル・ケネディ(パム)
ほか
あらすじ
- クリスティーン(ミランダ・ジュライ)はアーティストを夢見ながら、高齢者タクシーの運転手をして生計を立てています。ある日、得意客のマイケル(ヘクター・エリアス)と一緒にショッピングモールの靴売り場を訪れた彼女は、店員のリチャード(ジョン・ホークス)に一目惚れします。彼は最近離婚したばかりで、まだ新しい恋に踏み出す勇気がなく、ふたりは素直に一歩を踏み出すことができません。
- リチャードの息子ロビー(ブランドン・ラトクリフ)とピーター(マイルス・トンプソン)は、チャットで遊んでいるうちに、ある女の人と意気投合し、ロビーは相手の女性から今度会いましょうと誘われます。
- リチャードの隣家に住むしっかり者の小学生シルヴィーは、嫁入り道具をコレクションしています。ある日、コレクションをピーターに見られたシルヴィーは、未来の夫と娘のために集めていると語ります。内気で女の子が苦手なピーターは、シルヴィーの夢に共感します。
- 仲良しの二人組のヘザー(ナターシャ・スレイトン)とレベッカ(ナジャラ・タウンゼント)は、二人ともボーイフレンドがいません。二人は、たまたま知り合ったアンドリュー(ブラッド・ヘンケ)に声をかけてみたところ、好反応が返ってきます。気を良くした彼女たちが翌日もアンドリューの家に行ってみると、「シャツを脱げ」と張り紙がしてあります。
- クリスティーンの得意客マイケルは、70歳にしてようやく人生を共に過ごす愛するパートナーとめぐり合えましたが、その愛する人エレンはチューブにつながれており、そう長くは生きられません。そんなマイケルは、思うように制作が進まないクリスティーンに、チャレンジしないと始まらないと励まします・・・。
レビュー・解説
マルチメディア・アーティストでパフォーマーのミランダ・ジュライが監督・脚本・主演を務め、女性ならではの視点で愛を求める人々を描いた、ポップでコミカルでオフビート感たっぷりの、暖かなやさしさが漂う群像劇風コメディです。
映画は、クリスティーンが自宅でマルチメディア・アートを制作するシーンで始まります。彼女は詩をワンフレーズずつ暗唱し、架空の恋人にそれを繰り返すように求めます。パートナーとともに、精神の高みを目指したい女性を象徴しています。
I'm gonna be free.
I'm gonna be brave.
I'm gonna live each day
as if it were my last.
Fantastically.
Courageously.
With grace.
私は自由になる
私は恐れない
私は一日一日を生きる
あたかも人生最後の日のように
最高に素晴らしく
勇気を持って
気高く
他にも、リチャードと並んで歩きながら寸劇風にアプローチしたり、マイケルとそのパートナーを題材にマルチメディア・アートを制作したりしますが、これは自身がアーティストであるミランダ・ジュライ監督の投影です。
クリスティーンの原点は、確実に私。違うバージョンの私、という感じね。今までにアート作品として自分を描く機会がなかったので、初めは恥ずかしかったけれど、避けるよりは良いことじゃないかと思い始めたの。また、クリスティーンを演じるのも恥ずかしいのではないかと思っていたけれど、実際に映像を見る段階になったら、これが結構楽しいの!自分みたいなコを見ることが(笑)。だから、これは良い作品だと感じたわ。(ミランダ・ジュライ監督)
リチャードの別れた妻、パムが着ているTシャツ
I am a precious wondrous unique divine rare valuable whole sacred total complete entitled worthy and deserving person.(私は素敵、すばらしい、特別、貴重、完璧、神聖、無欠、立派、尊敬すべき人)と左右逆像にプリントしてある。人に読ませるものではなく、鏡に向かった時に自分で読むためのものだと、パムは言う。これは、自立を自らに言い聞かせる女性を象徴している。
嫁入り道具を集める少女や、性への好奇心を持つ二人の少女などの子どもたちも、ジュライ自身の投影のようです。
私が子供の頃に持っていた憧れ、将来への憧れ、誰か私を見つけてくれるという憧れ、舞い降りてきて私の人生の全てを変えてくれる魔法への憧れに、この映画は触発されているの。こうした憧れは、素晴らしく希望に満ちたものであることに変わりはないものの、私が大人になるにつれて少しばかり不安で歪んだものになっていくの。(ミランダ・ジュライ監督)
こうした、風変わりな登場人物たちが不器用に愛を求める姿を、ジュライ監督は暖かな眼差しで描いています。
シルヴィーの嫁入り道具コレクション
母鳥になったつもりで子供の鳥たちに餌を与えるシルヴィー
靴を自分とリチャードに見立てて、寸劇を演じるクリスティーン
アメリカのパフォーマンスアーティスト、ミュージシャン、作家、女優、脚本家、映画監督。
ジョン・ホークス(リチャード)
アメリカ合衆国の俳優。「ウィンターズ・ボーン」(2010年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされている。
マイルス・トンプソン(ピーター)
ブランドン・ラトクリフ(ロビー)
カーリー・ウェスターマン(シルヴィー)
ヘクター・エリアス(左、マイケル)
ナターシャ・スレイトン(左、ヘザー)とナジャラ・タウンゼント(右、レベッカ)
サウンドトラック
「Me and You and Everyone We Know」サウンドトラック(輸入版)(Amazon)
1. When I Call A Name 2. Goldfish 3. What's That Sound 4. Socks On Ears 5. Signs 6. Cody ChesnuTT - 5 On A Joyride 7. I'm Not Following You 8. Library Chat |
9. Me And You Shoes 10. Mirror 11. Pete and Sylvie 12. F*** 13. Spiritualized - Any Way That You Want Me 14. Boy Moves the Sun 15. Virginia Astley - A Summer Long Since Passed 16. Heaven in Five |
撮影地(グーグルマップ)
「君とボクの虹色の世界」のDVD(Amazon)
関連作品
https://amzn.to/3AFjntp 「ザ・フューチャー」(2010年)
https://amzn.to/4e19VPd 「アメリカン・ギャングスター」(2007年)
https://amzn.to/3ADHpES 「ウィンターズ・ボーン」(2010年)
https://amzn.to/4g3gZN6 「マーサ、あるいはマーシー・メイ」(2011年)
https://amzn.to/3X2CF3o 「コンテイジョン」(2011年)
https://amzn.to/3Z48cED 「セッションズ」(2012年)
https://amzn.to/3yYBnhS 「リンカーン」(2012年)
https://amzn.to/3Z4tr9k 「スリー・ビルボード」(2017年)