夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

町山智浩著「教科書に載ってないUSA語録」:流行語の解説を面白おかしく読むうちに、アメリカの実像が見えてくる手軽なコラム集

「教科書に載ってないUSA語録」は、米国カリフォルニア州バークレー在住の、映画評論家、コラムニストで元編集者でもある町山智浩さんが、2009年6月から週刊文春に連載したコラム「言霊USA」を集めたものです。

 

 町山智浩著「教科書に載ってないUSA語録」(Amazon

 

町山さんは社会や歴史・文化にも知識が広く、映画のテーマを立体的に浮かび上がらせる熱くてユーモラスな評論が人気の映画評論家で、彼の出演するラジオ番組「たまむすび」を私もたまに楽しんでいますが、本書は必ずしも映画に直接関係あるものではありません。

 

本書は、彼のアメリカでの日常生活やテレビ・ラジオで耳にした新しい言葉、流行り言葉、印象に残った言葉、馬鹿げた言葉などを毎週紹介したコラム集で、彼の鋭い観察眼とユーモラスな語り口から、過激でリアルなアメリカがヴィヴィッドに見えてくる、優れたアメリカ評論集です。一編が2ページほどで、サービス精神旺盛な彼のユーモアたっぷりなオチというおまけがつくとともに、各編ごとに澤井健さんの楽しいイラストがワンカットずつ描かれています。ちょっとした空き時間にも手軽に楽しめると同時に、面白おかしく読み通しているうちにいつの間にかアメリカの実像が見えてくるという、お得な一冊です。

 

彼のヴィヴィッドな映画評論は、実はこうした観察眼や構成力に裏打ちされていることがわかる一冊でもありますが、映画ファンのみならず、アメリカや現代文社会の文化に興味がある人にもお勧めの一冊です。本書は、2012年8月までの連載分ですが、それ以降の分を掲載したものも刊行されています。全作品を読破すると意気込むのも良いのですが、まずは一冊手に取り、気の向くままに気軽に読み足していくという読書スタイルも合うような気がします。

 

関連作品 

 町山智浩著「知ってても偉くないUSA語録」(Amazon

 町山智浩著「99%対1%アメリカ格差ウォーズ」(Amazon

 

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