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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「メルシィ!人生」:リストラ逃れにゲイと嘘をカミング・アウトした冴えない中年男のコメディを、フランスの実力派スターが競演

「メルシィ!人生」(原題:Le Placard)は2001年公開のフランスのコメディ映画です。フランシス・ベベール監督、ダニエル・オートゥイユジェラール・ドパルデュー他、フランスの実力派スターが競演、リストラ対象となった冴えない中年男が、周囲を巻き込みながら立ち直る様を描いています。

 

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監督:フランシス・ヴェベール

脚本:フランシス・ヴェベール

出演:ダニエル・オートゥイユ(フランソワ・ピニョン、コンドーム会社社員、離婚)

   ジェラール・ドパルデュ(フェリックス・サンティニ、人事部長、ゲイ嫌い)

   ティエリー・レルミット(ギヨーム 、サンティニの友人)

   ミシェル・ラロック(メユ・ベルトラン、フランソワの女性上司、経理部長)

   アレクサンドラ・ヴァンダヌート(クリスティーヌ・ピニョン、元妻)

   ミシェル・オーモン(ベロン、フランソワの隣人、かつてゲイを理由にクビに)

 

【あらすじ】

リストラ対象となった真面目だけが取り柄の冴えない中年男フランソワ・ピニョン(ダニエル・オートゥイユ)は、ゲイであると嘘をつけば差別で糾弾されることを恐れる会社が解雇を撤回するはずと隣人ベロン(ミシェル・オーモン)から助言され、その通りにします。

フランソワを目の敵にして退職に追い込もうとしていた人事部長のサンティ(ニジェラール・ドパルデュ)は、これまでの差別的発言からクビになる可能性があると友人ギヨーム(ティエリー・レルミット)らに脅されます。ギヨームの言う通りにフランソワと親しくしようと奮闘しますが、ランチに誘ったり、プレゼントを贈ったりしても、なかなか親しくなれないサンティニは精神的に追いつめられます・・・。

社長らは、自社がコンドームを主力商品としていることから、会社のイメージアップと宣伝を兼ねて、同性愛者のパレードにフランソワを乗せた山車を参加させることを決めます。引き受けざるを得ないフランソワが戸惑いながらもコンドーム型の帽子をかぶって山車に乗った姿がテレビ中継され、離婚した妻クリスティーヌア(レクサンドラ・ヴァンダヌート)と同居する息子フランクがそれを目にしてしいます・・・。

一方、フランソワの女性上司ベルトラン(ミシェル・ラロック)はフランソワの嘘を見抜いており、ばらされることを恐れたフランソワがベロンの助言に従って、ベルトランのセクハラを社長に訴えます。山車での活躍が評価され、フランソワが経理部長に昇進、ベルトランはクビという話が出ます。以前は冴えない男のフランソワでしたが、ゲイと嘘をついてから、周囲の眼だけではなくフランソワ自身も変わり、その姿に惹かれたベルトランは一線を越えてしまいます・・・。

 

ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュといった、フランスのベテラン大物俳優が活躍する楽しいコメディですが、リストラを逃れる為に、ゲイであると嘘のカミング・アウトをするというひねった設定がフランス映画らしいです。また、ラグビー選手のようにがっしりしたサンティニ(ジェラール・ドパルデュ)が、そそのかされてピニョン(ダニエル・オートゥイユ)と親しくなろうとするうちにオカマっぽくなっていく様子が見事です。ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデュは、「あるいは裏切りという名の犬」というシリアスな刑事物でも共演していますが、「メルシィ!人生」と見比べると、二人の芸域の広さが分かります。

 

ダニエル・オートゥイユはアルジェ出身のフランスの男優で、6歳から舞台を踏み、コメディ、ミュージカル、古典と幅広く出演するうちに、映画界からも注目され、「ザ・カンニング [IQ=0] 」の大ヒットで人気を獲得、連作「愛と宿命の泉」でシリアスな演技に挑戦し、セザール賞を受賞、以後、演技派としても知られています。「八日目」(1996)でカンヌ国際映画祭男優賞、「愛を弾く女」(1993年)と「隠された記憶」(2005年)でヨーロッパ映画賞を受賞しています。

 

ジェラール・ドパルデューは、フランスの俳優で、1960年代末に舞台、TVなどに出演しはじめました。映画デビューは1965年で、「バルスーズ」(1974年)で脚光を浴び、「終電車」(1980)でセザール賞、「ソフィー・マルソー刑事物語」(1984)でヴェネツィア国際映画祭男優賞、「シラノ・ド・ベルジュラック」(1990)でセザール賞カンヌ国際映画祭男優賞、「グリーン・カード」(1990)でゴールデングローブ賞など、多くの映画賞を受賞しています。

 

ダニエル・オートゥイユ

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ジェラール・ドパルデュー

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  「あるいは裏切りという名の犬

 

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  「愛と宿命の泉」

  「愛を弾く女」

  「橋の上の娘」

  「画家と庭師とカンパーニュ」

 

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  「終電車

  「隣の女」

   「ダントン」

  「シラノ・ド・ベルジュラック