夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

アイルランド映画

「女王陛下のお気に入り」:史実に触発され、実在した女性三人のキャラクターを大胆開発、宮廷を舞台に人間の本質を描くダーク・コメディ

「女王陛下のお気に入り」(原題:The Favourite)は、2018年公開のアイルランド・アメリカ・イギリス合作の宮廷コメディ映画です。ヨルゴス・ランティモス監督、オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズら出演で、18世紀初頭のイングラ…

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」:身体の不自由な女性画家とその夫の辺地での生活を通して幸せの意味を問う伝記ドラマ

「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(原題: Maudie)は、2016年公開のアイルランド・カナダ合作の伝記ドラマ映画です。田舎の風景、動物、草花をモチーフに、明るい色彩とシンプルなタッチで温かく幸福感のある絵を描き、カナダで最も有名な画…

「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」:アイルランドの伝説を基に、妖精の母を失った少年の冒険談を美しい映像と音楽でほろ苦く描く

「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(原題:Song of the Sea)は、2014年公開のアイルランド・ベルギー・ルクセンブルグ・デンマーク・フランス合作の長編アニメーション映画です。アイルランドに伝わる民話や神話を基に、トム・ムーア監督・原案、ウィル…

「シング・ストリート 未来へのうた」:80年代ブリティッシュ・サウンドとフレッシュなキャスティングが心地よい、半自伝的青春音楽映画

「シング・ストリート 未来へのうた」(原題: Sing Street)は、2016年公開のアイルランドのコメディ&ドラマ映画です。ジョン・カーニー監督・脚本・制作、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、ルーシー・ボイントン、ジャック・レイナーら出演で、1985年の…

「ブルックリン」:1950年代、移住先のアメリカと故郷アイルランド、そして二人の男性の間で心揺れる無垢な女性の成長を爽やかに描く

「ブルックリン」(英題: Brooklyn)は、2015年公開のアイルランド・イギリス・カナダ合作のドラマ映画です。コスタ賞を受賞したコルム・トビーンの同名小説を原作に、ジョン・クローリー監督、ニック・ホーンビィ脚本、シアーシャ・ローナンら出演で、1950…

「ルーム」:凄惨な監禁事件に触発されるも独創的。トラウマとファンタジー、緊張感と暖かさが入り交じる中、母子の関係を鋭く洞察する

「ルーム」(原題:Room)は、2015年公開のカナダ・アイルランド合作のドラマ映画です。フリッツル事件に触発されたエマ・ドナヒューの小説「部屋」を原作に、レニー・エイブラハムソン監督、ブリー・ラーソンら出演で、拉致され、監禁されたまま一児の母親…

「ロブスター」:極端な設定と強烈な演出で不可思議かつスリリングに展開、社会と男女関係の心理を問う野心作

「ロブスター」(原題:The Lobster)は、2015年公開のギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリス合作のSF恋愛映画です。ヨルゴス・ランティモス監督、ヨルゴス・ランティモス/エフティミス・フィリップ共同脚本、コリン・ファレル、レイチェル・…

「父の祈りを」:北アイルランド問題を背景に、愚直な父と放蕩息子の絆、冤罪とテロリズムへの怒りを描いた社会派ヒューマン・ドラマ

「父の祈りを」(原題:In the Name of The Father)は、1993年公開のイギリス・アイルランド・アメリカ合作の社会派ヒューマン・ドラマ映画です。1974年にIRA暫定派によって実行されたロンドンでのテロ事件であり、英国の司法界史上最大の汚点とされるギル…

「ONCE ダブリンの街角で」:音楽と映画のエッセンスの結晶

「ONCE ダブリンの街角で」(原題: Once)は、2007年公開のアイルランドの音楽映画です。ジョン・カーニー監督・脚本、グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴァら出演で、アイルランドのダブリンを舞台に、商店街でギターの弾き語りをしているストリート…