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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「11:14」:真夜中に起こる5つの事件の連鎖をサスペンスフルに描いたブラック・コメディ仕立ての群像劇を、ヒラリー・スワンクが熱演

「11:14」(原題: 11:14)は、2003年公開のアメリカのサスペンス&ダーク・コメディ群像劇映画です。グレッグ・マルクス監督、ヒラリー・スワンクパトリック・スウェイジら出演で、夜の11:14に錯綜する5つの事件の連鎖を描いています。

 

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スタッフ・キャスト

監督:グレッグ・マルクス
脚本:グレッグ・マルクス
出演:ヒラリー・スワンク(バジー)
   パトリック・スウェイジ(フランク)
   レイチェル・リー・クック(シェリー)
   ヘンリー・トーマス(ジャック)
   バーバラ・ハーシー(ノーマ)
   コリン・ハンクス(マーク)
   スターク・サンズ(ティム)
   ベン・フォスター(エディ)
   ショーン・ハトシー(ダフィ)
   クラーク・グレッグ(ハナガン保安官)
   ほか

あらすじ

  • 午後11:14。ジャック(ヘンリー・トーマス)は深夜の国道を車で走行中に、突然衝撃を受けます。おそるおそる車を降り確認すると、車の前に顔が潰れた男性の死体があります。急いでトランクへ死体を隠しますが、丁度通りかかった中年女性によって警察へ通報されてしまい、ジャックは慌てて逃げようとします・・・。
  • 午後11:09。ティム(スターク・サンズ)は友人たちとふざけながらドライブをしています。調子に乗った仲間のエディが車の窓から放尿した瞬間、道路を横断する人をはねてしまいます。呆然としていると、そこへ現れた見知らぬ男が車に向け発砲します。一行は命からがら逃げ出しますが、ある大切なものを落としてきたことに気づき、現場に戻ることになります・・・。
  • 午後11:04。フランク(パトリック・スウェイジ)は、犬の散歩の途中に立ち寄った墓地で、男性の死体を発見します。死体の横には娘のキーホルダーが落ちており、娘が殺人を犯してしまったと思ったフランクは、車のトランクに死体を積みま、事件を隠蔽しようとします・・・。
  • 午後10:49。バジー(ヒラリー・スワンク)が雑貨店で働いていると、そこに訪ねてきた友人のダフィ(ショーン・ハトシー)から、恋人の中絶費用を稼ぐための狂言強盗を持ちかけられます。渋るバジーが、ダフィの拳銃を玩んでいるうちに誤って発砲、ガラスケースを割ってしまいます。あとに引けなくなったバジーは現金を山分けすることで共犯を受け入れ、さらに真実味を増すためダフィに自分の腕を撃つように要求します・・・。
  • 午後10:54。シェリー(レイチェル・リー・クック)が近所の墓地で浮気相手とセックスをしていると、突然、墓石が倒れ、相手が即死してしまいます。あわてて帰宅する途中にティムと出会ったシェリーは、ダフィがバジーの店にいることを知ります。彼女はダフィに罪をかぶせるべく、バジーの店に行き、隠蔽工作を図りますが、現場に戻ると死体が消えています・・・。

レビュー・解説

真夜中の20分余り時間に起こる5つの事件の連鎖を、サスペンスフルに、かつ、わかりやすく描き切った見事なプロットと編集、プロデュースも務めたヒラリー・スワンクのコミカルなパフォーマンスが際立つ、ブラック・コメディ仕立ての群像劇です。

 

様々な出来事を緩く統合する群像劇はそれほど珍しくありませんが、タイトに連鎖する5つの事件をサスペンスフルに、かつわかりやすく描くというのは容易なことではありません。冒頭の事故から少しずつ時間を遡りながら、一見、無関係と思われる様々な事件を徐々に連鎖させていく本作のプロットと編集が見事です。

 

ヒラリー・スワンクというと、アカデミー主演女優賞を受賞した「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年)や「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)のシリアスな演技を思い浮かべますが、本作では雑貨屋の店員バジーをコミカルに演じています。もともとこの役は男性でしたが、本作で初めてプロデュースを手掛けた彼女が、脚本を女性役に書き換えてもらい自ら出演したもので、デンタル・ブラケット(歯科矯正装置)を装着しての気合の入ったコミカルな演技は、同じくオスカー女優のフランシス・マクドーマンドを連想させます。また、雑貨屋のシーンで、恋人に騙され狂言強盗を持ちかける冴えない男を演じるショーン・ハトシーとの掛け合いも絶妙で、互いが互いを引き立ていている印象、大女優の芸の幅を感のみならず、巧みなリードを感じさせます。

 

ヒラリー・スワンク(バジー)

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ショーン・ハトシー(ダフィ)

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フランクを演じるパトリック・スウェイジは、「アウトサイダー」(1983年)、「ダーティ・ダンシング」(1987年)、「ゴースト/ニューヨークの幻」(1990年)などで有名なアメリカの俳優ですが、膵臓がんの為、2009年に惜しまれつつ亡くなりました。

 

パトリック・スウェイジ(フランク)

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シェリーを演じるレイチェル・リー・クックは、ぱっとしない高校生が綺麗に変身してゆく青春映画「シーズ・オール・ザット」(1999年)のヒロイン役で一躍有名となり、「ポスト ウィノナ・ライダー」とも言われましたが、有名になることよりも家族との時間を大切にしたいという本人の意向から、インディーズ映画の出演が多い女優です。どちらかと言うと清楚な役が多いのですが、「プッシーキャッツ」(2001年)のように過激な女性ロッカーの役や、本作のようにセクシーなシーンもこなす、芸域の広い女優です。

 

レイチェル・リー・クック(シェリー)

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撮影地(グーグルマップ) 

 

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関連作品

ヒラリー・スワンク出演作品のDVD(Amazon

  「ボーイズ・ドント・クライ」(1999年)

  「インソムニア」(2002年)

  「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)

  「ホームズマン」(2014年)・・・輸入版、字幕なし

 

パトリック・スウェイジ出演作品のDVD(Amazon

  「ダーティ・ダンシング」(1987年)

  「ゴースト/ニューヨークの幻」(1990年)

  「ドニー・ダーコ」(2001年)

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