「エンド・オブ・ザ・ワールド」(原題: Seeking a Friend for the End of the World)は、2012年公開のアメリカのSFロマンティック・コメディ映画です。小惑星の衝突による人類滅亡の危機が迫る中、かつての恋人に会いに行こうとする中年男と、家族と乗る飛行機に遅れてしまった隣人女性の奇妙な旅を、ローリーン・スカファリア脚本・監督、スティーヴ・カレル、キーラ・ナイトレイらの出演で、ユーモアに包んだ温かなタッチで描いています。
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目次
スタッフ・キャスト
監督:ローリーン・スカファリア
脚本:ローリーン・スカファリア
出演:スティーヴ・カレル(ドッジ・ピーターソン)
キーラ・ナイトレイ(ペネロープ「ペニー」ロックハート)
ほか
あらすじ
小惑星地球に接近。衝突を回避するための破壊作戦が実行されたものの、失敗に終わり、人類の滅亡が避けられないと判ったその日、中年の保険セールスマン、ドッジ(スティーヴ・カレル)は、長年連れ添った妻に出て行かれてしまい、滅亡まで残り少ない日々をただ無気力に過ごしていました。小惑星衝突まであと3週間、周囲の人々が酒やドラックに溺れる中、普段と変わらない生活を送るドッジは、隣に暮らす奔放な女性ペニー(キーラ・ナイトレイ)が泣いているのを目撃し、初めて言葉を交わします。彼女は、飛行機に乗り遅れた為にイギリスにいる両親に2度と会えなくなってしまった事を嘆いていました。最初は自分とは正反対の自由奔放な性格の彼女に戸惑うドッジでしたが、二人は次第に打ち解けていきます。ペニーは、彼女のもとに誤配達されたドッジ宛の手紙を渡しますが、その中に、かつて心ならずも別れた高校時代の恋人オリヴィアの名前を見つけます。暴動が起きた夜、ペニーを救出したドッジは、イギリスへ向かう飛行機を探すペニーと共に、オリヴィアを探す旅に出ます・・・。
レビュー・解説
地球最後の時まで誰と過ごし、どのように最後を迎えるかというテーマを、女性の監督がユーモラスに描くという試みが素晴らしいです。また、スティーヴ・カレル、キーラ・ナイトレイと俳優にも恵まれ、脚本も悪くないと思いますが、作品のトーンが安定せず、ちょっと散漫になってしまった印象があります。流れを整理し、うまく演出すれば、より魅力的な作品になるような気がします。
ローリーン・スカファリアは、アメリカの脚本家、劇作家、女優、歌手で、本作が映画監督デビュー作になります。2008年公開の「キミに逢えたら!」では脚本家として、2013年公開の「ランダム 存在の確率」では女優として活躍しています。2015年公開、スーザン・サランドン主演の「マダム・メドラー おせっかいは幸せの始まり」では、再び監督・脚本を務めており、女性ならではのコメディを書き監督も務めたノーラ・エフロンのような活躍を期待したいところです。
スティーヴ・カレルも、キーラ・ナイトレイも素晴らしい俳優ですが、作品全体のトーンが安定しない為、ちぐはぐな印象の演技になってしまっているのが残念です。キーラ・ナイトレイは、イギリスの家族へ衛星電話をかけるシーンでスタッフ全員を泣かせるくらい素晴らしい演技をしていますが、必ずしもこれが作品の中で十分に生きていないのが勿体ないです。役者も脚本を読んで全体像を理解しますが、役者を生かすにせよ、思い通りに動かすにせよ、映画全体のイメージを主導権を持ってコントロールするのは、やはりディレクションです。
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