ぶらりと入った書店で購入しました。町山智浩氏による映画解説で、2014年から2017年に公開された話題作20篇について、一篇一章、全20篇20章で構成されています。一章あたり10ページ足らずで、移動の途中や寝る前など、ちょっとした空き時間に気軽に読むことができます。
第1章 Ｋが追い求めた「噴水」―『ブレードランナー２０４９』（2017年）
第2章 アンドロイドはオジマンディアスの夢を見る―『エイリアン：コヴェナント』（2017年）
第3章 「それ」から逃れるたったひとつのやり方―『イット・フォローズ』（2014年）
第4章 「８マイル」の現実―『ドント・ブリーズ』（2016年）
第5章 神は果てしなく試す―『哭声／コクソン』（2016年）
第6章 三百六十年後の「ゆるし」―『沈黙‐サイレンス‐』（2016年）
第7章 イランのウィリー・ローマン―『セールスマン』（2016年）
第8章 バンパーはぶつけるためにある―『エル ＥＬＬＥ』（2016年）
第9章 アン・ハサウェイは何と戦ったのか？―『シンクロナイズドモンスター』（2016年）
第10章 アウシュビッツで埋められたもの―『サウルの息子』（2015年）
第11章 とびマメたちの沈黙―『ルック・オブ・サイレンス』（2014年）
第12章 狂気が開ける扉―『ラ・ラ・ランド』（2016年）
第13章 何故彼は「ベイビー」と名乗るのか―『ベイビー・ドライバー』（2017年）
第14章 偽りのタイムリミット―『ダンケルク』（2017年）
第15章 ドローンという「レッサー・イーヴル」―『アイ・イン・ザ・スカイ』（2015年）
第16章 戦う「ローマの休日」―『ワンダーウーマン』（2017年）
第17章 宇宙からのライプニッツ―『メッセージ』（2016年）
第18章 変えられない過去、贖えいない罪―『マンチェスター・バイ・ザ・シー』（2016年）
第19章 男らしさからの解放―『ムーンライト』（2016年）
第20章 世界の終わりの西部劇―『Logan ローガン』（2017年）
（ ）内は筆者注による公開年
文庫版「映画と本の意外な関係」のあとがきで、町山氏は「自分は映画そのものより、映画について調べる方がもっと好きなのかもしれません」と語っていますが、私も映画を観た後にいろいろと調べるのが好きです。観る映画を選ぶ為に事前にざっくりとした情報を見ることはあっても、見る前にいろいろと調べることは基本的にありません。本書で取り上げられている作品のほとんどは既に観たものですが、映画を観た時に感じた疑問点や解釈を再び思い出すことができるのが、こうした書籍の読む楽しみでもあります。もちろん、映画の解釈はひとつでもありませんし、必ずしも正解があるわけではなく、町山氏と着眼点や解釈が違うこともありますが、それが映画の周辺を彷徨う楽しみでもあります。解釈もさることながら、映画の周辺を彷徨うこと自体が楽しいのです。
本作で解説されている作品
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