ジョン・ラセター監督/制作作品〜CGの可能性にいち早く注目、スティーヴ・ジョブズと共に今日のディズニー/ピクサーアニメを実現した男
アニメはほとんど見ることがなかったのですが、ピクサー制作の「モンスターズ・インク」(2001年)で、逆光に輝くモンスターの毛並みの質感にCGアニメの極めて高い表現力を実感、以来、CGアニメを見るようになりました。もともとアニメは簡略化したものでしたが、高性能のコンピューターを駆使することにより、これまでにない表現力が実現されるようになったのです。
ディズニー/ピクサーのCGアニメの殆どは、映画監督兼アニメーション作家のジョン・ラセターが監督、或いは製作総指揮したものです。彼は大学卒業後、ディズニーに入社しますが、CGアニメに対する逆風で解雇されました。しかし、彼は現在、
- ディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー
- ピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー
- ディズニー・イマジニアリングのプリンシパル・クリエイティブ・アドバイザー
を兼任するエグゼグティブとして活躍しています。
ラセターは高校の頃からアニメーターを志し、カリフォルニア芸術大学映像学部アニメ課程の第一期生となります。在学中からディズニー作品にかかわり、卒業後ディズニーに入社した彼は、CGアニメ映画化の企画を進めます。しかしながら、保守的なディズニー社内の反発によりプロジェクトは中止となり、ラセターも解雇されてしまいます。
その後に勤めた会社の所属部署がスティーブ・ジョブズに売却され、1985年にピクサーが創設されます。ピクサーに移籍したラセターは、そこで3DCGアニメの作成を始め、「ティン・トイ」(1988年)で3DCG作品として初めてアカデミー短編アニメ賞を受賞します。その後、ピクサーでの長編CG作品の作成が決定、ラセターが監督した「トイ・ストーリー」(1995年)が公開され、大ヒットします。ラセターはアカデミー特別業績賞を受賞し、ピクサー作品の多くで監督・制作総指揮を務めることになります。
2006年にディズニーがピクサーを買収、ラセターはピクサーとディズニー・アニメーション・スタジオのエグゼクティヴとなり、さらに、ディズニー・イマジニアリングのプリンシパル・クリエイティブ・アドバイザーとして、ディズニーパーク等の企画開発にも携わるようになります。一度はディズニーを解雇されたラセターが、ピクサー・アニメの成功によって返り咲いたわけですが、この陰には保守的なディズニーにCGアニメをやらせたピクサーのスティーヴ・ジョブズ社長(当時)の折衝力があります。ピクサーに在籍していたラセターは幸運でしたが、彼が手掛けた作品を見ると、早くからCGアニメの可能性に注目していたラセターのセンスがずば抜けていることがわかります。
そんなジョン・ラセターが監督、或いは制作総指揮した主なディズニー・ピクサー・アニメを挙げてみました。
ジョン・ラセターが監督・プロデュースした主な作品のDVD(Amazon)
「トイ・ストーリー」(1995年)
「バグズ・ライフ」(1998年)
「トイ・ストーリー2」(1999年)
「モンスターズ・インク」(2001年)
「ファインディング・ニモ」(2003年)
「Mr.インクレディブル」(2004年)
「レミーのおいしいレストラン」(2007年)
「WALL・E/ウォーリー」(2008年)
「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年)
「プリンセスと魔法のキス」(2009年)
「トイ・ストーリー3」(2010年)
「塔の上のラプンツェル」(2010年)
「くまのプーさん」(2011年)
「シュガー・ラッシュ」(2012年)
「アナと雪の女王」(2013年)
「ベイマックス」(2014年)
「インサイド・ヘッド」(2015年)
「ズートピア」(2016年)
「ファインディング・ドリー」(2016年)