夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「グッドフェローズ」:実話に基づきながらも刺激的でスタイリッシュ、巨匠マーティン・スコセッシ監督によるマフィア映画の古典的名作

グッドフェローズ」(原題:GoodFellas)は、1990年公開のアメリカのドラマ映画です。マフィア界で生きた男の実話を元にして書かれたニコラス・ピレッジのノンフィクション「ワイズガイ-わが憧れのマフィア人生-」を原作に、マーティン・スコセッシ監督、ニコラス・ピレッジ/マーティン・スコセッシ共同脚本、レイ・リオッタロバート・デ・ニーロジョー・ペシらの出演で、「グッドフェローズ」とお互いを呼び合うギャングたちの生き様を描いています。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ニコラス・ピレッジ/マーティン・スコセッシ
原作:ニコラス・ピレッジ「ワイズガイ-わが憧れのマフィア人生-」
出演:レイ・リオッタ(ヘンリー・ヒル
   ロバート・デ・ニーロ(ジェームズ・ジミー・コンウェイ
   ジョー・ペシ(トミー・デヴィート)
   ロレイン・ブラッコ(カレン・ヒル
   ポール・ソルヴィノ(ポール・ポーリー・シセロ)
   フランク・シベロ(フランキー・カーボーン)
   マイク・スター(フレンチー)
   フランク・ヴィンセント(ビリー・バッツ)
   チャック・ロー(モリス・モーリー・ケスラー)
   フランク・ディレオ(タディ・シセロ)
   サミュエル・L・ジャクソン(スタックス・エドワーズ)
   クリストファー・セロン(少年時代のヘンリー)
   ほか

あらすじ

ヘンリー・ヒルレイ・リオッタ)は幼い頃より、「ワイズガイ」と呼ばれるマフィアの世界に憧れ、12歳の時からブルックリンの街を牛耳るポール・ポーリー・シセロ(ポール・ソルビノ)のもとで使い走りを始めます。やがてヘンリーは本物のマフィアとして、強奪専門のジミー・コンウェイロバート・デ・ニーロ)や、チンピラのトミー・デビート(ジョー・ペシ)といった仲間たちと共に荒仕事に手を染めるようになります。何度かの刑務所暮らしを経ながらも、ヘンリーはカレン(ロレイン・ブラッコ)と結婚、子供ももうけます。そして1978年、ケネディ空港で犯罪史上空前の600 万ドル強奪事件が発生、FBIの威信をかけた捜査が始まりますが、事件の鍵を握る証人たちは実行犯のジミーらの手によって次々と口を封じられます。策に窮したFBIは、その頃麻薬密売事件で逮捕されたヘンリーに目をつけます。彼は事件には直接関与していませんでしたが、組織の内部事情には十分すぎるほど精通していました。麻薬に手を出した事により育ての親ポーリーに見離され、そして相棒のジミーにも自分の命が狙われていることを知ったヘンリーは、連邦証人保護制度の下で余生を送るために証言することを決意します・・・。

レビュー・解説

実話に基づきながらも刺激的でスタイリッシュな、マフィア映画の古典とも言える作品で、巨匠マーティン・スコセッシ監督の輝かしいキャリアの1ページを飾る作品です。

 

主演のレイ・リオッタ出世作となった作品ですが、彼の好演は元より、脇を固めるロバート・デ・ニーロジョー・ペシが素晴しいです。特に甲高い声でまくしたてるジョー・ペシは強烈な印象を残し、アカデミー助演男優賞を受賞しました。実在するトミー・デヴィートは、がっしりとした体格だったようですが、その点を除けば、ジョー・ペシの役作りは完璧だったと言われています。ロベート・デ・ニーロもジョー・ペシの強烈な演技に勝るとも劣らないパフォーマンスを見せています。実在するジミー・コンウェイがどうだったのか、ヘンリー・ヒルに何度も電話で話を聞き、煙草の吸い方ひとつまで丹念に役作りをした言われています。

 

マーティン・スコセッシ監督はロバート・デ・ニーロジョー・ペシを起用する事が多く、「レイジング・ブル」(1980年)、「グッドフェローズ」(1990年)、「カジノ」(1995年)はこの三人、「ミーン・ストリート」(1973年)、「タクシードライバー」(1976年)、「キング・オブ・コメディ」(1983年)は、スコセッシ監督とロベート・デ・ニーロのコラボ作品となっています。原作者のニコラス・ピレッジとマーティン・スコセッシの共同脚本で、アカデミー作品賞にノミネートされるほど高く評価された作品ですが、会話の多くは俳優達の即興だったと言われています。

 

因に、マーティン・スコセッシ監督は「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002年)、「アビエイター」(2004年)、「ディパーテッド」(2006年)、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)など、レオナルド・ディカプリオとタッグを組む事も多いのですが、ロバート・デ・ニーロジョー・ペシレオナルド・ディカプリオの三人に共通するのはいずれもイタリア系アメリカ人であることです。シチリア系イタリア移民の家に生まれ、マフィアの支配するイタリア移民社会で育ったことが、その人格形成と作品に深く影響していると言われるスコセッシ監督ならではのキャスティングでしょう。

 

余談になりますが、映画の中では「グッドフェローズ」よりも原作本のタイトル「ワイズガイ」が多用されています。「ワイズガイ」は彼らの呼称なのですが、同名のテレビや映画が既に作られていたことから、映画では「グッドフェローズ」に改題されたと言われています。「グッドフェローズ」(GoodFellas)は、彼らがお互いを呼ぶときに使われる言葉で、日本語で言えば「マブダチ」に近いニュアンスでしょうか。原作本の邦訳も当初の「ワイズガイ-わが憧れのマフィア人生-」から、「グッドフェローズ」に改題されています。

 

レイ・リオッタ(ヘンリー・ヒル

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ロバート・デ・ニーロ(ジェームズ・ジミー・コンウェイ

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ジョー・ペシ(トミー・デヴィート)

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ロレイン・ブラッコ(カレン・ヒル

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子役はロレイン・ブラッコの実の娘。

 

ポール・ソルヴィノ(ポール・ポーリー・シセロ)

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マフィアの強面のボスは自分に合わないと、一時は降板も考えたというポール。

動画クリップ(YouTube) 

撮影地(グーグルマップ) 

 

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関連作品

グッドフェローズ」の原作本Amazon

  ニコラス・ピレッジ著「ワイズガイ―わが憧れのマフィア人生」

 

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  「レイジング・ブル」(1980年)

  「グッドフェローズ」(1990年)

  「カジノ」(1995年)

 

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  「ミーン・ストリート」(1973年)

  「タクシードライバー」(1976年)

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  「JFK」(1991年)

  「いとこのビニー」(1992年)

 

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  「NARC ナーク」(2002年)

  「ジャッキー・コーガン」(2010年)

  「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(2012年)

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