「理想の恋人.com」(原題:Must Love Dogs)は、2005年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。監督・脚本はゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ、出演はダイアン・レイン、ジョン・キューザックほか。幼稚園の先生サラ(ダイアン・レイン)は8か月前に離婚、周囲の励ましにもかかわらず、家に閉じこもりがちな日々を送っていました。 そんなある日、見かねた家族がサラの名前で出会いサイトに登録してしまいました・・・。
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目次
スタッフ・キャスト
監督:ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ
脚本:ゲイリー・デイヴィッド・ゴールドバーグ
出演:ダイアン・レイン(サラ・ノーラン)
ジョン・キューザック(ジェイク)
エリザベス・パーキンス(キャロル)
クリストファー・プラマー(ビル)
ダーモット・マローニー(ボブ・コナー)
ストッカード・チャニング(ドリー)
ほか
あらすじ
サラ・ノーラン(ダイアン・レイン)は8ヶ月前に離婚した幼稚園の先生です。家族たちはサラに次の恋人を作るよう励ましますが、心の傷が癒えないサラはおしゃれにも興味が沸かず、家に閉じこもりがちな失意の日々を送っています。家族のおせっかいな恋人候補紹介にうんざりし、新たな恋に傷つくのが怖いと思う一方、心の奥底では新たな出会いを望む気持ちもないわけではありませんでした。
そんなある日、サラの姉妹がサラになりすましてインターネットの恋人募集サイトに登録してしまいます。男やもめのサラの父・ビル(クリストファー・プラマー)も恋人募集サイトを活用して、たくさんの女性とデートを楽しんでいますが、サラは次々に現れる珍妙な恋人候補たちと、悲惨なデートを繰り返すハメになります。
悲惨な出会いの数々に辟易する中で、サラはたったひとり「もしかすると…?」と思える相手、ジェイク(ジョン・キューザック)に出会います。彼の言葉や身のこなしはとても洗練されているとは言えず、直球過ぎる彼のアプローチに、また恋で傷つくのが怖いサラは腰が引け気味です。それでもサラは、彼のピュアな情熱と正直さに惹かれていいきます。同時に職場では、サラの教え子の父親で、チャーミングなボブ(ダーモット・マローニー)がちょっと気になります。
「気軽に恋を楽しむべき」という姉の現実的なアドバイスを受け入れることができず、サラはふたりの男性の間で揺れ動きますが、あるハプニングからサラの迷いを「気のないサイン」と受け取ったジェイクは身を引く決意をします・・・。
レビュー・解説
スーパーで見かけたいい男にアプローチしようとしたり、一人で食べきれない量を勧める肉屋の親父にブチ切れたりと、離婚のショックを引きずる40歳の幼稚園の先生を、ダイアン・レインがうまく演じています。邦題の「理想の恋人.com」は、家族がサラの名前で登録した出会いサイト「perfectmatch.com」に由来します。原題の「Must Love Dogs」は、ここに掲載されたプロフィールに「犬好き限定」(Must Love Dogs)と記載されていることに由来します。
Voluptuous sensuous DWF
Seeks special man to share starlit night, Must Love Dogs
離婚した白人女性、グラマーで繊細
星空を眺める友を求む、犬好き限定
サラはこのプロフィールが嫌だといいますが、
他の人はもっと誇大広告よ、『中身もゴージャス』、『性的魅力あり』とか。
これで良かったの、18件も返事が来た。
と、姉に押し切られます。「Must Love Dogs」(犬好き限定)は、こうしたサイトによく見られるフレーズだそうです。
サイトで反応のあった男達とサラは会うわけですが、来た相手がなんと自分の父親!父親は亡き妻を愛しているのですが、寂しさを紛らわす為にいろいろな女性との出会いを楽しんでいたのでした(笑)その他にも
- 「もっと若いかと思った」とストレートに言う失礼な男
- うつですぐに泣き出してしまう男
- 「手錠をかけたい」と言うSMチックな男
などなど、大変な相手ばかりです(笑)
一方、妻と離婚したばかりのジェイク(ジョン・キューザック)も友人に勧められるままに、サラと会いますが、二人とも連れていた犬は借り物で・・・(爆)そんな感じで話は進んでいきますが、ハート・ウォーミングな大人のロマンティック・コメディに仕上がっています。すったもんだの挙げ句のサラのセリフです。
'I owe you my story. You asked me for honesty... ...and it scared the hell out of me, and I held back... ...and I didn't want to let you see the real me. Because I was afraid of getting hurt again. But, listen, I hear that the universe lets your heart expand... ...and grow back even bigger after you go through all that pain. Well, I believe that now. And I was just wishing there was a way that... ...I could have another chance to make this work. '
打ち明けるわ。正直になれって言われて、私、怖くて、尻込みしたの。また傷つくのが嫌で、本当の姿を見せたくなかった。でも、あなたは「苦しみを乗り越えれば、前より強く愛せる」って言ったわ。それは今だと思う。だから、もう一度チャンスが欲しい、愛を育みたい♡
出会いには運もあるかと思いますが、いい家族や友人(サラに言わせれば「やっかい」だそうですが)に囲まれていることや本人の性格も、幸せになれる、なれないに影響するのかなと思います。
サラを演じたダイアン・レインは、1979年の『リトル・ロマンス』で映画デビュー、一躍、世界の注目を集めましたが、その後、低迷の期間が長く続きました。2000年頃から、「オーバー・ザ・ムーン」、「運命の女」、「トスカーナの休日」などに出演、美しく、悩ましく、それでいてどこにでもいそうな中年女性をうまく演じています。
インターネットでの出会いを扱った作品に「ユー・ガット・メール」がありますが、これは実生活で犬猿の仲の二人が、お互い気づかないままインターネットで知り合い・・・という話です。「LIFE!」にも出会いサイトが登場します。こちらは職場の女性を攻略する為に登録したところ、終いにはサイトの運営者が主人公を窮地から救ってくれるというちょっと変わった設定です。「her/世界でひとつの彼女」では、人工知能、テレフォン・セックス、ブラインド・デート、代理セックスなど、インターネットを利用した様々な愛の形が示されています。インターネットでの出会いは何か特別なものではなく、チャンスのあり方のひとつとして、徐々に生活の一部になりつつあるのかもしれませんね。
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「リトル・ロマンス」(1979年)
「ランブルフィッシュ」(1983年)
「コットンクラブ」(1984年)
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「her/世界でひとつの彼女」(2013年)