夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「グッバイ、レーニン!」:東西ドイツの統合をコミカルに描く

グッバイ、レーニン!」(英語: Good Bye Lenin!)は、2003年公開のドイツのドラマ映画です。ヴォルフガング・ベッカー監督、ベルント・リヒテンベルク/ヴォルフガング・ベッカー共同脚本、ダニエル・ブルーリュら出演で、愛する母を守ろうと奮闘する青年の姿を通して、東西ドイツ統合後の庶民の身に起こった悲喜劇を描いています。ドイツ本国で大ヒットし、ドイツ歴代興行記録を更新、第53回(2003年)ベルリン国際映画祭の最優秀ヨーロッパ映画賞(「嘆きの天使賞」)など、ドイツ内外の様々な映画賞を受賞した作品です。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ヴォルフガング・ベッカー
脚本:ベルント・リヒテンベルク/ヴォルフガング・ベッカー
出演:ダニエル・ブリュール(アレクサンダー・ケルナー、東独の健在を偽装する)
   カトリーン・ザース(クリスティアーネ・ケルナー、アレックスの母)
   チュルパン・ハマートヴァ(ララ、アレックスの恋人、ソ連の交換看護学生)
   マリア・シモン(アリアネ・ケルナー、アレックスの姉、シングルマザー)
   フロリアン・ルーカス(デニス・ドマシュケ、アレックスの同僚)
   アレクサンダー・ベイヤー(ライナー、アリアネの新しい恋人)
   ブルクハルト・クラウスナー(ローベルト・ケルナー、アレックスの父、医師)
   シュテファン・ヴァルツ(ジークムント・イェーン、ドイツ初の宇宙飛行士)
   ほか

あらすじ

  • アレックス(ダニエル・ブリュール)とその家族は、東ドイツの首都東ベルリンに暮らしています。母のクリスティアーネ(カトリーン・ザース)は夫のローベルト(ブルクハルト・クラウスナー)が西ドイツへ亡命して以来、その反動から熱烈に社会主義に傾倒しています。ベルリンの壁崩壊の直前、東ドイツ建国40周年記念日である1989年10月7日の夜に、アレックスは家族に内緒で反体制デモに参加します。それを偶然通りがかったクリスティアーネが目撃、強いショックから心臓発作を起こして倒れ、昏睡状態に陥ってしまいます。
  • 彼女は、8ヶ月後に奇跡的に目を覚ましますが、その時には既にベルリンの壁は崩壊、東ドイツから社会主義体制は消え去り、東西統一も時間の問題となっていました。「もう一度大きなショックを受ければ命の保障は無い」と医師から宣告されたアレックスは、思案の末、母の命を守る為に自宅に引き取ります。姉のアリアネ(マリア・シモン)や恋人のララ(チュルパン・ハマートヴァ)をはじめ周囲の協力を半ば強要しながら、彼は東ドイツ社会主義体制が何一つ変わっていないかのように必死の細工と演技を続けます。
  • しかし、道路は西側の車が頻繁に通行し、ビルの壁には西側文化の象徴である「コカ・コーラ」の広告の垂れ幕がかけられ、国営の食料品店は西側資本の巨大スーパーマーケットに変貌していく中、アレックスは東ドイツ製のピクルスを探し求めて街を奔走、テレビが観たいという母の要望には、映画オタクの友人デニス(フロリアン・ルーカス)の協力を得て、「コカ・コーラ東ドイツ国営企業と提携をした」、「西ドイツの経済が悪化したことで、自家用車で亡命する西ドイツ人が急増した」といった内容の偽のニュースを製作し、母に見せます。
  • それでも現実は東西ドイツの統一に着実に近づき、ごまかしも限界が見え始め、姉のアリアネや恋人のロシア人看護婦ララは、母に真実を打ち明けるようアレックスを諭します・・・。

レビュー・解説

20世紀の歴史的な出来事のひとつである東西ドイツの統一を、旧東ドイツの家族の視点からコミカルに描く本作は、新鮮な気づきが得られる社会風刺の効いたドラマ映画です。

 

2003年公開のドイツ映画ですが、アナログ的な色調が古き良き時代を感じさせます。東西ドイツの統一は西側諸国の観点から語られる事が多いですが、世の中にはイデオロギーよりも大切なものがあるのかもしれません。本作は確固たる解決策を示している訳ではありませんが、資本主義の行き詰まりがささやかれる今、こうした視点があることにふと救われるような気がします。

 

主演のダニエル・ブリュールには光るものがあります。本作がデビュー作のようですが、2013年公開の「ラッシュ/プライドと友情」では見事、ニキ・ラウダ役を演じきっています。 お母さん役のカトリン・ザースは旧東ドイツ出身の女優さんですが、映画の中でも旧東ドイツの女性をうまく演じています。主人公の恋人役を可愛らしく演じたチュルパン・ハマートヴァは、ロシア連邦のカザン出身。こうしたキャスティングも、映画に独特な味を加えているかもしれません。

 

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ドイツにはオストロジーという言葉あるそうです。オストはドイツ語で東、即ち「旧東ドイツ文化へのノスタルジー」の意味です。トラバント旧東ドイツの国民車でしたが、味わいのあるデザインを見ていると、確かに消えていくのが惜しい気がします。

 

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東ドイツに紛れ込んだ怖い思いをしたアメリカの大学生が、西ドイツに帰って来てひと安心するという1985年(東西ドイツ統合前)公開のアメリカ映画「ゴッチャ!」は「グッバイ・レーニン!」と対照的とも言える作品です。見比べてみると面白いと思います。

 

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関連作品

ダニエル・ブリュール出演作品のDVD(Amazon

  「ボーン・アルティメイタム」(2007年)

  「パリ、恋人たちの2日間」(2007年)

  「イングロリアス・バスターズ」(2009年)

  「ラッシュ/プライドと友情」(2013年)

  「誰よりも狙われた男」(2014年)

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016年)

 

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  「帰ってきたヒトラー」(2015年)

  「ありがとう、トニ・エルドマン」(2016年) 

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