夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「新感染 ファイナル・エクスプレス」:ゾンビ映画に現実味のあるキャラクター設定と社会的視点が盛り込まれた無類の娯楽アクション大作

「新感染 ファイナル・エクスプレス」(原題:부산행、英題:Train to Busan)は、2016年公開の韓国のゾンビ&サバイバル・アクション映画です。ヨン・サンホ監督、コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソクら出演で、ソウルからプサンへ向けて時…

町山智浩著「映画と本の意外な関係」:圧倒的知識を誇る熱い文系オヤジが、話題作の背景を広く浅くユーモラスに語った、気軽に読める一冊

アテもなくぶらりと入った書店で購入しました。町山智浩氏が季刊「kotoba」に連載中のコラム「映画のセリフ」の原稿を加筆訂正したもので、全22章で構成されています。題名は少々お堅い印象ですが、一章あたり10ページ足らずで、主に2010年以降の話題作に広…

「ハンナとその姉妹」:ミューズをテコに女性心理を描き、アニーホール、マンハッタンと並ぶ、知的で優しく可笑しなウディ・アレンの傑作

「ハンナとその姉妹」(原題:Hannah and Her Sisters)は、1986年公開のアメリカのコメディ映画です。ウディ・アレン監督・脚本、ミア・ファロー、ダイアン・ウィースト、バーバラ・ハーシー、マイケル・ケイン、ウッディ・アレンら出演で、三姉妹と彼女た…

「未来よ こんにちは」:後戻りできない時間の中で数々の人生の困難に直面する一人の女性の姿を、日常を通して深く洞察する人間ドラマ

「未来よ こんにちは」(原題:L'Avenir、英題:Things to Come)は、2016年公開のフランス・ドイツ合作のヒューマン・ドラマ映画です。ミア・ハンセン=ラブ監督・脚本、イザベル・ユペールら出演で、パリの高校で哲学を教える50代後半の女性教師が、突然、…

「彼女が消えた浜辺」:カスピ海沿岸の別荘でイランの中流の人々が巻き込まれる事件を、緻密なプロットと緊張感のある会話でリアルに描く

「彼女が消えた浜辺」(原題:درباره الی, 英題:About Elly)は、2009年公開のイランの心理サスペンス&ドラマ映画です。アスガル・ファルハーディー監督・脚本、ゴルシフテ・ファラハニら出演で、カスピ海沿岸の古びた別荘で休暇を過ごしていた男女のグル…

「ブラッド・ファーザー」:人間的な演技がメル・ギブソンの復活を印象づける、ノワール風味のスタイリッシュなアクション&ドラマ映画

「ブラッド・ファーザー」(原題:Blood Father)は、2016年公開のフランスのアクション&ドラマ映画です。ピーター・クレイグの同名小説を原作に、ジャン=フランソワ・リシェ監督、ピーター・クレイグ共同脚本、メル・ギブソン主演で、悪事に巻き込まれた1…