夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「ディーパンの闘い」:内戦に敗れ、フランスに逃れたスリランカの元兵士とその偽装家族の苦難を描く、リアルで見応えのあるドラマ

「ディーパンの闘い」は2015年公開のフランスのクライム・サスペンス&ドラマ映画です。ジャック・オーディアール監督・共同脚本、アントニーターサン・ジェスターサン、カレアスワリ・スリニバサンら出演で、内戦下のスリランカを逃れ、偽装家族としてフラ…

「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」:住み慣れた家を買い換えようとする老夫婦をモーガン・フリーマンとダイアン・キートンが好演

「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」(原題:5 flights Up)は、2015年公開のアメリカのドラマ映画です。ジル・シメントの全米ロングセラー小説「Heroic Measures」を原作に、リチャード・ロンクレイン監督、モーガン・フリーマン、ダイアン・キートン…

「ボーダーライン」:メキシコとの国境を挟んだ麻薬戦争を描き、娯楽映画を超えてアメリカが抱える問題を問いかけるクライム・サスペンス

「ボーダーライン」(原題:Sicario)は、2015年公開のアメリカのクライム・サスペンス&アクション映画です。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンら出演で、麻薬カルテル壊滅の為にアメリカとメキシ…

「ヴィクトリア」:全編1カットの長回しで撮られた、臨場感、緊迫感溢れるスリリングなリアルタイム・サスペンス&ドラマ映画

「ヴィクトリア」(原題:Victoria)は2015年公開のドイツのサスペンス&ドラマ映画です。セバスチャン・スキッパー監督、ライア・コスタ、フレデリク・ラウら出演で、ベルリンの街角で出会ったヒロインと4人の若者の身に起きる出来事を、即興によるセリフや…

「独裁者と小さな孫」:民主化が常に正しいわけではない、悪しき革命は悪しき独裁者による政治となんら変わらない

「独裁者と小さな孫」(原題:The President)は、2014年公開のジョージア・イギリス・フランス・ドイツの合作の映画です。モフセン・マフマルバフ監督、ミシャ・ゴミアシュヴィリら出演で、クーデターにより幼い孫と共に逃亡を余儀なくされた老独裁者が、行…

「15歳のダイアリー」:性に目覚め、大人になりかけたアンバランスな少女の厳しい経験を、リリカルに透明感のあるパフォーマンスで描く

「15歳のダイアリー」(原題:Somersault)は2004年公開のオーストラリアのドラマ映画です。ケイト・ショートランド監督、アビー・コーニッシュ、サム・ワーシントンら出演で、愛を渇望する孤独な少女の心と性の彷徨いと成長を、繊細なタッチで描いたロード…

「カルテル・ランド」:一筋縄ではいかない麻薬戦争の実態を、荒々しく、生々しく、そして苦々しく描いたドキュメンタリー

「カルテル・ランド」は、2015年公開のアメリカのドキュメンタリー映画です。マシュー・ハイネマン監督、キャスリン・ビグロー制作総指揮で、麻薬カルテルの横暴から人々を守る為に、メキシコで市民による自警団を結成した一人の外科医と、麻薬カルテルの侵…

「キャロル」:パトリシア・ハイスミスの半自伝的小説に基づいた、1950年代のレズビアンのリアルで美しく完成度の高い恋愛ドラマ映画

「キャロル」(原題:Carol)は2015年公開のアメリカのドラマ映画です。パトリシア・ハイスミスが1952年に発表した小説「The Price of Salt」(後に「Carol」(邦題「キャロル」)に題名変更)を原作に、トッド・ヘインズ監督、ケイト・ブランシェット、ルー…

「地獄の黙示録」:戦争の愚かさを強烈に風刺しながら、傷ついた男の心の闇を描く壮大な叙事詩的大作名画は、メイキングも地獄だった

「地獄の黙示録」(原題:Apocalypse Now )は、1979年公開のアメリカの戦争映画です。ジョゼフ・コンラッドの小説「闇の奥」を原作に、舞台をベトナム戦争に移して翻案した叙事詩的映画で、フランシス・フォード・コッポラ監督、マーロン・ブランド、ロバー…