夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「ゲット・アウト」:センセーショナルな題材を、ヒネリを効かせながら示唆に富む展開で纏めた、密度の高いスリリングなホラー・コメディ

ゲット・アウト」(原題:Get Out)は、2017年公開のアメリカの社会派スリラー&コメディ映画です。ジョーダン・ピール監督・脚本、ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズら出演で、白人の彼女の実家を訪れたアフリカ系アメリカ人の青年が体験する恐怖を描いています。第90回アカデミー賞で作品、監督、脚本、主演男優の4賞にノミネートされ、脚本賞を受賞した作品です。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ジョーダン・ピール
脚本:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ(クリス・ワシントン、写真家、アフリカ系米国人の青年)
   ザイランド・アダムス(11歳のクリス)
   アリソン・ウィリアムズ(ローズ・アーミテージ、白人女性、クリスの恋人)
   キャサリン・キーナー(ミッシー・アーミテージ、ローズの母、心理療法家)
   ブラッドリー・ウィットフォード(ディーン・アーミテージ、ローズの父、医者)
   ケイレブ・ジョーンズ(ジェレミーアーミテージ、ローズの弟、医学生
   リル・レル・ハウリー(ロッド・ウィリアムス、クリスの親友、アフリカ系)
   キース・スタンフィールド(アンドレ・ローガン・キング、招待客、アフリカ系)
   ベティ・ガブリエル(ジョージナ、アーミテージ家の使用人、アフリカ系)
   マーカス・ヘンダーソン(ウォルター、アーミテージ家の庭師、アフリカ系)
   スティーヴン・ルート(ジム・ハドソン、盲目の画商)
   ほか

あらすじ

  • ニューヨーク在住のアフリカ系アメリカ人写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は、恋人のローズ(アリソン・ウィリアムズ)の招待で彼女の実家に招かれます。クリスが「僕が黒人であることを両親に伝えないのか」と尋ねると、ローズは「両親は人種を気にするような人たちじゃない、歓迎してくれるはずよ」と答えます。ローズの実家へ向かう途中、2人の乗る車は鹿に衝突します。事故現場にやって来た警官がクリスに横柄な態度を取った為、ローズは警官に反発しますが、事態をこじらせたくないクリスは警官の質問に答えます。
  • ローズの実家、アーミテージ家に到着した2人は、ディーン(ブラッドリー・ウィットフォード)とミッシー(キャサリン・キーナー)の両親から暖かい歓迎を受けます。ディーンの案内で家を回ったクリスは、アーミテージ家で働くジョージナ(ベティ・ガブリエル)とウォルター(マーカス・ヘンダーソン)に挨拶します。ミッシーは禁煙の為に催眠療法を勧めますが、クリスは丁重に断ります。クリスは、スポーツと喧嘩に明け暮れるローズの弟、ジェレミーケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)にも会います。
  • その夜、クリスが家の外に出ると、ウォルターが家の周りを全力疾走し、ジョージナは夜の窓ガラスに映った自分の姿に見惚れているのを見ます。2人の奇行に恐怖を感じたクリスは、ミッシーの部屋に呼び込まれ、強制的に催眠療法を受けさせられます。催眠によって、クリスは母親が亡くなった夜を思い出します。クリスが子供の頃、母親がひき逃げに遭い、クリスはその知らせを聞いても何もできず、テレビを見続けていました。
  • 翌日、クリスは煙草を見ると不快感を抱くようになります。やがてパーティーの招待客が続々とアーミテージ家にやって来て、ディーンは招待客にクリスを紹介します。ほとんどの招待客が白人で、クリスを褒めちぐる、アフリカ系の社会的待遇を聞いたり、ゴルフのスイングを見せてくれと言ってり、体に触ってくるような客ばかりです。さらに、盲目の画商ジム・ハドソンに「僕は君の写真が大好きだ」と言われ、居心地が悪くなったクリス家の2階に上がると、招待客全員が2階を見上げていました。
  • クリスは、友人のロッドに連絡を取ろうとしますが、携帯電話の充電が切れていることに気がつきます。ジョージナが充電コードを勝手に抜いた思ったクリスがジョージナを問い詰めると、彼女は清掃中に誤って抜けてしまったと謝ります。「パーティーの招待客が白人ばかりで、僕はいらいらしているんだ」とクリスが言うと、ジョージナは涙を流しながら笑い出し、どこかへ行ってしまいます。
  • その後、クリスはアンドレに出会います。彼は年の離れた白人女性と結婚したアフリカ系の青年で、アーミテージ家で働くスタッフと同様に感情表現に乏しく、白人のような振る舞います。クリスがローガンの写真を撮ろうとした時、誤ってフラッシュが光ると、アンドレは鼻血を出しながら「出ていけ!出ていけ!」と叫び、クリスに襲いかかります。ミッシーの部屋で催眠療法を受けたローガンは、落ち着きを取り戻します。クリスがローズと外出して気分転換している頃、アーミテージ家では怪しげなオークションが始まります・・・。

レビュー・解説

人種差別というセンセーショナルな題材を、ヒネリを効かせながら示唆に富んだ展開でカッチリと纏めた、低予算ながら非常に密度が高い、スリリングなホラー・コメディです。 

人種差別を背景にしたホラー映画

ロマン・ポランスキー監督の名作「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)は、悪魔に魂売り渡した夫や隣人、産婦人科医らに妻が騙され、それと知らずに悪魔の子を妊娠、産まされるというサイコ・スリラー映画です。また、コネチカット州郊外の美しく閑静で、住人たちも優しい高級住宅街を舞台にした「ステップフォード・ワイフ」(1975年)という映画があります。この街の女性たちは仕事をせず、家庭的で夫に従順な専業主婦ばかりなのですが、実は彼女たちは夫達によって妻そっくりで従順なロボットに入れ替えられていたというSFホラー映画です。これらの作品は、女性への差別を背景にしたホラー映画ですが、本作のように人種差別を背景にしたホラー映画は初めてではないかと思われます。

制度的差別から、潜在的差別の時代へ

人種問題を背景にしたホラー映画がこれまでなかったというのもちょっと意外ですが、建国以来、アフリカから連れて来た奴隷や先住民などの有色人種を合法的に差別してしたきたアメリカでは、人種差別の悲惨な現実そのものがホラーであり、フィクションとしてのホラー映画が成立する余地がなかったのかもしれません。南北戦争に端を発した人種差別との長い戦いは、1950〜1960年代の公民権運動の高まりを経て、ようやく法的な平等を勝ち取ります。2009年にはアメリカ初のアフリカ系の大統領が生まれるまでになりましたが、一方で白人警官によるアフリカ系アメリカ人への暴行が繰り返されるなど、人々の偏見や差別意識は未だ根強く残っていることが、この映画が成立する背景となっています。公民権運動以降の世代にとっては、自分たちが生まれる前の恐ろしい奴隷制度や過酷な差別の現実よりも、この映画が描くような恐怖により共感を覚えるのかもしれません。

意識に潜む差別の「あるある」

この映画のひとつの見所は、パーティのシーンです。招待客たちがそれぞれにクリスと言葉を交わしますが、すべてが人種に関係する話題です。それには別の理由もあるのですが、これは実際に少数のアフリカ系がいるパーティでよくあるケースだそうです。必ずしも露骨な人種差別ではなく、話す方もマイノリティに関心があることを示す手っ取り早い手段なのでしょう。しかし、そうした偏見やステレオタイプの話題ばかりとなると、聞かされる側は否が応でも肌の色を意識せざるを得ず、居心地の悪い場になってしまいます。ほぼ単一の民族である日本人には実感しにくい部分があるかもしれませんが、このパーティ・シーンと、

  • アジア系への人種差別のあるある的寸劇
  • ​日本人にありがちな(?)人種差別のあるある的寸劇

動画クリップ(YouTube)の項に挙げておきますので、ご参考ください。誇張はありますが、意識に潜む差別のイメージが掴みやすくなるのではないかと思います。

示唆に富む緻密な脚本

この作品の最大の魅力は、丁寧に書き込まれた、象徴的な表現に富む、緻密な脚本にあります。一度観ただけでは、見逃しかねない暗喩表現や、二重の意味を持った表現が随所に織り込まれています。

  • アフリカ系青年の拉致事件
    冒頭、アフリカ系の青年が拉致されますが、後にこの事件とアーミテージ家の関連が示唆されます。
  • 繰り返し登場する鹿
    ローズの運転する車が鹿をはねる、ローズの父が鹿の死を歓迎する、ローズの実家に鹿の剥製が飾られているなど、本作には鹿が何度も登場します。Black Buck(黒い雄鹿)は俗語でアフリカ系の男性を意味しますが、本作では、鹿はアフリカ系の人々の暗喩となっています。
  • 路傍の死
    ローズの運転する車にはねられた鹿は路傍で命を落とします。また、かつてクリスの母は交通事故で命を落とし、報を受けた幼いクリスは何もできずにテレビを見続けていたことで自分を責めています。鹿や母の路傍での死は白人警官によるアフリカ系住民への暴行の暗喩であり、クリスは自責の念はそうした暴行事件に沈黙するアフリカ系の人々の心情の暗喩です。また、こうした暴行事件はしばししばスマホで撮影されますが、スマホで撮影されたアンドレの動揺も暗示的です。
  • ジェシー・オーエンス
    ローズの祖父が負かされたというジェシー・オーエンスは、1936年のベルリン・オリンピックで4冠を得たアフリカ系米国人の陸上選手で、遺伝的と言われるアフリカ系の身体的優位性を象徴する存在です。
  • ローズの母は南部の富裕な農園の女主人の暗喩
    ローズの母の名ミッシー(Missy)は、女主人を意味するミストレス(Mistress)由来で、奴隷を使っていた南部の農園の女主人の暗喩です。彼女が催眠療法に使用する銀のスプーンは、富と権力の暗喩です。
  • 「沈んだ場所」(Sunken Place)
    クリスは催眠療法で身動きもとれず、声も出ない「沈んだ場所」に落ちていきます。これは、社会的報復を恐れ、声を出したり、行動を起こして差別に反発することができないアフリカ系の人々の状況の暗喩です。
  • 服の色
    クリスは青系の服を、アミテージ家の人々や招待客は赤をあしらった服を着ていますが、これは政治的な立ち位置を示唆しています。青はリベラルを掲げ、環境問題、人権問題、福祉に関して積極的な民主党を、赤は新保守主義を掲げ、経済効率や大企業の発展を重視する共和党を、それぞれ象徴しています。因みに、オバマ元大統領は民主党トランプ大統領共和党です。
  • アフリカ系のコミュニケーション
    クリスはアンドリューと拳と拳を突き合わせて挨拶しようとしますが、うまくいきません。ジョジーナは sinitch(たれ込む)という俗語を知りません。クリスはアーミテージ家のアフリカ系米国人とうまくコミュニーケーションがとれず、疎外感を強めます。

  • パーティとビンゴゲーム
    アーミテージ家のパーティで、招待客たちがクリスと交わす話題はすべて人種に関わるものです。多くがアフリカ系を称賛するものではありますが、偏見やステレオタイプに基づく一連の会話は、新たな差別の見本市のようです。その後、開催されるビンゴゲームは奴隷売買のオークションの暗喩であり、パーティでの招待客たちとクリスの会話には、実はオークションの為の値踏みという二重の意味が込められています。
  • 「頭脳を無駄にするのは悲惨なことだ」
    「頭脳を無駄にするのは悲惨なことだ」(A mind is a terrible thing to waste)というナレーションは、アフリカ系米国人の教育団体によるスローガンで、人種差別により、優秀な頭脳を持つ人間を社会が活用しないことは悲劇だという意味です。本作では、白人の頭脳が失われることは社会的な損失だという、二重の意味も込められています。
きめ細かな演出

クリスとローズの服をアメリカ国旗のように見せ、二人が関係が悲しいアメリカを象徴するかのように演出しています。

 

アメリカ国旗のように見えるクリスとローズの服

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また、

  • 冒頭、アフリカ系の青年が拉致されるシーンで「ウサギよ、逃げろ、パイにされちまうぞ」と歌う Flanagan & Allen の「Run Rabit Run」(iTunesで聴く*3Amazon MP3で聴く*4)、
  • 続いて、クリスが旅の準備をするシーンで「起きてろ、目を閉じるな」と歌う Childish Gambino の「Redbone」(iTunesで聴く*5Amazon MP3で聴く*6)、
  • 「ご先祖様に耳を傾けろ、後ろを見てみろ、良くないことがやってくる」とスワヒリ語で歌うテーマ曲の「Sikiliza Kwa Wahenga」(iTunesで聴く*7Amazon MP3で聴く*8

と、いずれもクリスが窮地に陥ることを暗示する曲が使われています。

 

<ネタバレ>

  • 冒頭の拉致事件
    冒頭、夜道で拉致されるのはアンドレです。後に、ジェレミーが拉致した犯人であることが示唆されます。
  • 散弾銃
    ローズの実家に向かう前、クリスはローズの両親に散弾銃で追い払われると冗談を言いますが、後にローズが後にクリスに銃を向けることになります。
  • 鹿の安否を気遣わないローズ
    母の交通事故の報を受けながらもテレビを見続けていたことに自責の念のあるクリスは、はねられた鹿の様子を見に行きますが、ローズはその場を動きません。鹿はアフリカ系の暗喩で、実は冷淡な彼女の本質を暗示しています。なお、クリスは後に車でジョジーナをはねてしまいますが、彼女を助ける為に車に乗せます。
  • ローズが警官に抵抗する理由
    クリスに身分証提示を求める警官にローズが抵抗しますが、これは恋人を守る為ではなく、クリスが行方不明になる前に自分と一緒にいた証拠を警察に残したくない為です。
  • ローズの父の本質
    一見、理解がありそうなローズの父は「鹿はたくさんいるから死んでも気にしないという」と言います。本作では鹿はアフリカ系の暗喩で、この一言がローズの父の本質を暗示しています。また、彼は暖炉を見ながら、「火にはすべてを浄める力がある。そして我々はいつか死ぬ運命にあることを思い起こさせる。」とつぶやきます。後に、クリスに鹿の剥製の角で刺された彼は、火に包まれて命を落とします。
  • ウォルターとジョジーナを手放せない理由
    ローズの祖父母の世話をする為にウォルターとジョジーナを雇ったが、没後も手放すことができず、そのままいてもらっていると、ローズの父はクリスに説明します。実は祖父母が、ウォルターとジョジーナになったので手放せないのです。
  • ミッシーがクリスに禁煙を薦める理由
    ミッシーは娘の為にとクリスに禁煙を薦めますが、実は娘のためではなく、クリスの商品価値を高める為です。
  • ウォルターとハグする招待客
    庭の管理人と招待客がハグするのは通常ありえないことですが、ウォルターは実はローズの祖父で、招待客はそれを知っている為、ハグします。また、ウォルターにローズへの愛を感じさせる言葉があるのは、彼がローズの祖父だからです。
  • 夜中に走るウォルター
    かつてアフリカ系のジェシー・オーエンスに負かされたローズの祖父は、ウォルターの肉体を得て夜中に走り込んでいます。
  • 頭を気にするウォルター、アンドレ、ジョジー
    ローズの祖父になったウォルター、拉致されたアンドレは、ロボトミー手術の跡を隠すため、帽子をかぶっています。ローズの祖母になったジョジーナは、窓に自分の姿を映し、ロボトミー手術の跡を隠す前髪をチェックします。
  • ローズの本質
    ローズがフルーツループを食べながら、次のターゲットを探すシーンは様々なことを暗示しています。ケロッグのフルーツループは子供向けのシリアルで、ローズが精神的に未発達であることを暗示しています。シリアルを食べてはミルクで流し込む、一種、脅迫神経症的で不気味な食べ方は、彼女が反社会的犯罪に関わっていることを暗示します。通常、フルーツループはミルクをかけて食べますが、カラフルなフルーツループは有色人種を白いミルクは白人の暗喩で、これらを別々に食するこのシーンは有色人種と白人は別と考える彼女の本質を暗示しています。また、非白人にはミルクでお腹を壊す乳糖不耐症が多い為、ぐいぐいとミルクを飲む彼女は白人の優位性を誇示しています。インターネットで次の恋人を物色するシーンは、出会い系による恋人の使い捨ての時代を暗示しています。
  • 綿を摘むクリス
    「沈んだ場所」に落とされたクリスは椅子に拘束されます。これは、かつての奴隷を暗示しています。彼は肘掛けから綿を摘み出して耳栓にし、ミッシーの催眠術から逃れます。これは、かつて奴隷が南部の農園で綿花を摘んで命をつないだことを踏まえています。
  • パトカーの前で手を挙げるクリス
    エンディングでパトカーに光に当たったクリスは、反射的に手を挙げて、彼自身が脅威ではないことを示します。これは、そうしなければ、アフリカ系の人々は間違いなく加害者として扱われること示唆しています。

<ネタバレ終わり>

ピール監督の多彩な才能を感じさせる作品

ジョーダン・ピール監督はテレビで活躍するコメディアンで、本作が映画監督デビュー作になります。ホラー映画が大好きな彼は2008年にこの映画を思いつき、プロットを練り始めました。扱っているテーマがテーマだけに実際に映画化できるわけがないと思っていましたが、書いていて楽しいのでコツコツと書いては直しを入れ続けていたと言います。腕利きのプロデューサーや制作会社との出会いで映画化が実現した本作を見てみると、彼はコメディアンや脚本家としてだけではなく、監督としても素晴らしい才能を持っていることがわかります。

 

本作のエンディングは当初、よりダークなものだったそうですが、トランプ政権の逆風の中、観客には楽しむ権利があるとして、エンディングを楽しめるものに書き換えたそうです。実は、ゴールデングローブ賞選考の際に本作がコメディ&ミュージカル部門に分類され、風刺とシリアスな雰囲気に満ちた作風はむしろドラマ部門に分類されるべきだと、物議を醸しました。コメディかドラマかと尋ねられたピール監督は、ドキュメンタリーとボケたそうですが、観客を楽しませる為にエンディングが書き換えられた本作は最終的にコメディの方向に向いていると、私は感じています。

 

監督デビュー作で、アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の4賞にノミネートされ、脚本賞を受賞するという快挙を成し遂げた彼は、アカデミー監督賞にノミネートされた5人目のアフリカ系の監督となったそうです。アフリカ系の監督がとても少ないのでびっくりしました。白いアカデミー賞と言われてもやむを得ないですね。因みに彼の奥さんは白人ですが、奥さんの実家で本作のような怖い思いをしたことはないそうです(笑)。

 

ダニエル・カルーヤ(クリス・ワシントン、写真家、アフリカ系アメリカ人の青年)

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ダニエル・カルーヤ(1989年〜)はイギリスの俳優、作家。十代から演技を始め、テレビドラマ・シリーズにに出演する傍ら、脚本も書き、舞台にも立つ。「ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬」(2011年)、「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」(2013年)、「ボーダーライン」(2015年)、「ブラックパンサー」(2018年)などに出演している。非常に正確に涙をコントロールすることができ、本作のオーディションで「沈んだ場所」に落ちるクリスを演じ、5回のテイクで全く同じタイミングで涙を流してピール監督を驚かせた。本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、一躍、世界的な知名度を得た。

  

アリソン・ウィリアムズ(右、ローズ・アーミテージ、白人女性、クリスの恋人)

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アリソン・ウィリアムズ(1988年〜)はアメリカの女優、コメディアン、歌手。本作で知られる以前は、テレビのコメディ・ドラマ・シリーズで知られていた。本作の撮影の際は、彼女の借家にスタッフ・キャストが集まってご飯を食べるなど、非常に家族的で良い体験をしたというが、彼女が Ro-Ro (本当のローズ、悪魔のようなローズ)モードに入った撮影の後半は、役になりきる為に、セットでも仲間と離れ、一人で過ごしたという。

 

キャサリン・キーナー(ミッシー・アーミテージ、ローズの母、心理療法家)

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キャサリン・キーナー(1959年〜)は、マイアミ出身のアメリカの女優。妹のエリザベスも女優。大学卒業後にロサンゼルスで女優を目指すようになり、1986年に映画デビュー、以後、インデペンデント系を中心に活躍、「アウト・オブ・サイト」(1998年)、「マルコヴィッチの穴」(1999年)、「Lovely & Amazing」(2002年)、「アダプテーション」(2002年)、「40歳の童貞男」(2005年)、「カポーティ」(2005年)、「イントゥ・ザ・ワイルド」(2007年)、「Please Give」(2010年)、「僕の大切な人と、そのクソガキ」(2010年)、「おとなの恋には嘘がある」(2013年)、「キャプテン・フィリップス」(2013年)、「はじまりのうた」(2013年)などに出演、「マルコヴィッチの穴」、「カポーティ」でアカデミー助演女優賞にノミネートされている。

 

ブラッドリー・ウィットフォード(ディーン・アーミテージ、ローズの父親、脳外科医)

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ブラッドリー・ウィットフォード(1959年〜)は、アメリカの俳優。「推定無罪」(1990年)、「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」(1992年)、「キャビン」(2011年)、「オール・ザ・ウェイ JFKを継いだ男」(2016年)、「Ohter People」(2016年)、「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」、「Megan Leavey」(2017年)などに出演している。

 

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ジェレミーアーミテージ、ローズの弟、医学生

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ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(1989年〜)は、テキサス出身のアメリカの俳優、ミュージシャン。17歳の頃、「ノーカントリー」(2007年)で映画デビュー、「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)、「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年)、「神様なんかくそくらえ」(2014年)、「バリー・シール/アメリカをはめた男」(2017年)、「スリー・ビルボード」(2017年)などに出演している。本作もそうだが、ちょっとアブナイ感じの役がはまり役である。映画の出演が増えた為、ミュージシャンとしての活動は休止している。

 

リル・レル・ハウリー(ロッド・ウィリアムス、クリスの親友、アフリカ系)

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リル・レル・ハウリー(1979年〜)は、アメリカの俳優、コメディアン。テレビで名を知られていたが、本作を契機に今後は映画での活躍も期待されている。

 

キース・スタンフィールド(右、アンドリュー・キング、招待客、アフリカ系)

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キース・スタンフィールド (1991年〜)は、カリフォルニア出身のアメリカの俳優、ラッパー。貧しい機能不全家族で育ち、14歳で演劇部に入部し、俳優を志す。デスティン・ダニエル・クレットン監督の卒業制作の短編映画「Short Term 12」(2009年)で映画デビュー、いくつかの短編映画に出演した後、俳優業を離れ、様々な職を転々とする。長編映画「ショート・ターム」(2013年)で再び、クレットン監督から声がかかり、インディペンデント・スピリット助演男優賞にノミネートされた他、クレットンと合作の劇中ラップ曲「So You Know What It's Like」はアカデミー歌曲賞の有力候補と目された。「グローリー/明日への行進」(2014年)、「ストレイト・アウタ・コンプトン」(2015年)、「DOPE/ドープ!!」(2015年)、「天下無敵のジェシカ・ジェームズ」(2017年)、「Sorry to Bother You」(2018年)などに出演している。本作では、年の離れた白人女性と結婚、白人のように振る舞うアフリカ系の青年という微妙な役を、見事に演じている。

 

ベティ・ガブリエル(ジョージナ、アーミテージ家の使用人、アフリカ系)

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ベティ・ガブリエルはワシントン・DC出身のアメリカの女優。2002年、アイオワ大学で動物学の学士号を取得した後、シカゴでダンスと舞台女優を始め、2014年、ジュリアード音楽院からドラマの学位を得る。「アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発」(2015年)、「アップグレード」(2018年)などに出演してい。本作では、白人であるローズの祖母に乗り移られアフリカ系の女性という微妙な役を見事に演じている。

 

マーカス・ヘンダーソン(ウォルター、アーミテージ家の庭の管理人、アフリカ系)

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マーカス・ヘンダーソンセントルイス出身のアメリカの俳優。「セッション」(2014年)、「ピートと秘密の友達」(2016年)などに出演している。

 

スティーヴン・ルート(ジム・ハドソン、盲目の画商、クリスの写真も審査している)

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スティーヴン・ルート(1951年〜)はフロリダ出身のアメリカの俳優、声優。フロリダ大学で演技と放送の学位取得後、舞台に立ち、1986年にブロードウェイデビュー。1988年に映画デビューし、「デーヴ」(1993年)、「ノーカントリー」(2007年)、「バッドトリップ! 消えたNO.1セールスマンと史上最悪の代理出張」(2011年)、「ランゴ」(2011年)、「ドリスの恋愛妄想適齢期映画」(2015年)、「オール・ザ・ウェイ JFKを継いだ男」(2016年)などに出演する一方で、声優として様々なアニメの吹替を担当している。

動画クリップ(YouTube

撮影地(グーグルマップ)

 

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ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968年):輸入盤、リージョン1,日本語なし

  「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)

  「ステップフォード・ワイフ」(1975年)

  「Eddie Murphy Delirious」 (1983年)

  「羊たちの沈黙」(1991年)

 

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  「ボーダーライン」(2015年)

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  「40歳の童貞男」(2005年)

  「カポーティ」(2005年)

  「イントゥ・ザ・ワイルド」(2007年)

  「Please Give」(2010年):輸入盤、リージョン1、日本語なし

  「僕の大切な人と、そのクソガキ」(2010年)

  「おとなの恋には嘘がある」(2013年)

  「キャプテン・フィリップス」(2013年)

  「はじまりのうた」(2013年)

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ゲット・アウト

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