夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」:ニューイングランドの港町を舞台に、過去の悲劇に耐える男と取り巻く男女をユーモアを交えて描く

マンチェスター・バイ・ザ・シー」(原題:Manchester by the Sea)は、2016年公開のアメリカのドラマ映画です。ケネス・ロナーガン監督・脚本、ケイシー・アフレックミシェル・ウィリアムズら出演で、兄の死で町に戻ってきた男が、甥の後見人を任され、新たな一歩を踏み出す様を描いています。第89回アカデミー賞では、作品、監督、主演男優、助演男優、助演女優、脚本の6部門にノミネートされ、主演男優賞(ケイシー・アフレック)、脚本賞(ケネス・ローナガン)を受賞した作品です。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ケネス・ロナーガン
脚本:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック(リー・チャンドラー)
   ミシェル・ウィリアムズ(ランディ)
   カイル・チャンドラー(ジョー・チャンドラー)
   ルーカス・ヘッジズパトリック・チャンドラー)
   ベン・オブライエン(幼い頃のパトリック・チャンドラー)
   グレッチェン・モル(エリーズ・チャンドラー、ジョーの元妻)
   C・J・ウィルソン(ジョージ、チャンドラー家の友人)
   テイト・ドノヴァン(パトリックが所属するホッケー・チームのコーチ)
   カーラ・ヘイワード(シルヴィー・マクグラン 、パトリックのガールフレンド)
   アンナ・バリシニコフ(サンディ、パトリックのガールフレンド)
   ヘザー・バーンズ(ジル、サンディの母親)
   エリカ・マクダーモット(スー、ボートショップの経営者)
   マシュー・ブロデリック(ジェフリー、エリーズの婚約者)
   オスカー・ウォールバーグ(ジョエル、パトリックの友人)
   スティーヴン・ヘンダーソン(Mr.エメリー、リーの上司)
   ジョシュ・ハミルトン(ウェス、ジョーの遺言を執行する弁護士)
   ケネス・ロナーガン(通行人)
   ほか

あらすじ

  • ボストンの郊外で便利屋として生計を立てるリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)は、短気な性格で血の気が多い一匹狼です。ある冬の日、リーは電話で、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーにいる兄のジョー(カイル・チャンドラー)が倒れたことを知ります。リーは車を飛ばして病院に向かいますが、到着した時、ジョーは既に息を引き取っていました。
  • 冷たくなった兄の遺体を抱き締め、別れを告げたリーは、医師や友人ジョージと共に今後の相談をします。ジョーの16歳の息子で、リーの甥にあたるパトリック(ルーカス・ヘッジズ)に父の死を知らせる為、リーはホッケーの練習をしている彼を迎えに行きます。懐かしい街並みを横目に車を走らせながら、リーの脳裏に仲間や家族と笑い合って過ごした日々や、美しい思い出の数々が浮かび上がります。
  • リーは兄の遺言を聞くため、パトリックを連れて弁護士の元を訪れます。ジョーがパトリックの後見人にリーを指名していたことを知ったリーは、驚きの余り絶句します。弁護士は遺言の内容をリーが知らなかったことに驚きつつ、この町に移り住んで欲しいと告げます。兄を失った悲しみ、甥の後見への不安とともに、この町で過ごした記憶が鮮明によみがえり、リーは過去の悲劇と向き合わなくてはならなくなります・・・。

レビュー・解説

ニューイングランドの港町を舞台に、過去の耐え難い悲劇に耐える男と、それを取り巻く存在溢れる多彩な男女を、ユーモアを交えながら悲しくも、美しく、暖かく描いた感動的なドラマ映画です。

 

問題を解決してハッピーエンドという展開が多いアメリカ映画には珍しい作品です。実のところ、一生を通して幸せな人生を送れる人はあまりいないのかもしれません。若い頃から苦労する人もいれば、仕事や家庭を得てから試練に直面する人もいます。誰もが不完全で、誰もが問題を抱えて生きています。解決できない問題を抱えている人も少なくないでしょう。そんな人生を俯瞰しながら美しく描き、不完全だからこそ人生なんだ、解決できないから人生なんだと、静かに諭してくれるような作品です。

ニューイングランドを舞台にしたドラマ映画

ニュー・イングランド地方のマサチューセッツ州マンチェスター・バイ・ザ・シーを舞台にした映画です。ニューイングランド地方は、

の6州からなり、そのルーツはアメリカ合衆国建国の母体となったイギリスのニューイングランド植民地群で、文字通りイギリスの文化の影響を強く受けています。本作でも船が重要な役割を担っていますが、ニューイングランド地方は海との結びつきが強く、クラムチャウダーを始め、ニューイングランド料理は魚介類を中心とする献立が多くなっています。また、海だけではなく山や森も多い、自然に恵まれた地方です。

 

ニューイングランド地方の港町を舞台にしたドラマ映画

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東海岸のインディーズ映画ということもあってか、本作のスタッフ・キャストの多くはニューイングランドやニューヨーク出身者で固められています。ちょっと調べただけでも、

監督:ケネス・ロナーガン(ニューヨーク、ブロンクス出身)
制作:マット・デイモンニューイングランドマサチューセッツ州出身)
   ジョン・クラシンスキー(ニューイングランドマサチューセッツ州出身)
出演:ケイシー・アフレックニューイングランドマサチューセッツ州出身)
   カイル・チャンドラーニューヨーク州出身)
   グレッチェン・モルニューイングランドコネチカット州出身)
   ルーカス・ヘッジズ(ニューヨーク、ブルックリン出身)
   カーラ・ヘイワード(ニューイングランドマサチューセッツ州出身)

因みに、ルーカス・ヘッジズとカーラ・ヘイワードは、ニューイングランドロードアイランド州を舞台にしたウェス・アンダーソン監督の「ムーンライズ・キングダム」(2012年)の卒業生です。助演のミッシェル・ウィリアムズはモンタナ州出身ですが、地元の人間になりきったかのような見事なボストン訛を披露しています。

耐え難いことに耐える人々の悲喜劇をユーモラスに描く

監督・脚本のケネス・ロナーガンは、「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本家として紹介されることが多いのですが、個人的には彼の監督デビュー作となった「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」(2000年)の印象が深いです。ロナーガンは、ニューヨーク出身の劇作家、映画脚本家、監督で、高校の頃から書き始め、賞を受賞するなど、若くして頭角を現しました。「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」は、一幕もの舞台劇を長編映画に膨らませたものですが、無駄のない構成で舞台劇のように密度が濃く、当時、まだ無名だったローラ・リニーマーク・ラファロの魅力をフルに引き出した作品です。

 

本作のアイディアは、俳優のジョン・クラシンスキー(女優エミリー・ブラントの夫)から、マット・デイモンにもたらされました。ケネス・ロナーガン監督・脚本のマーガレット」(2011年)に出演していたデイモンは、クラシンスキー主演で自身の監督デビュー作を想定しながらロナーガンにこのアイデアの脚本化を依頼しました。喪失に苦しみ街を出た男が、甥の後見人に指名され街に戻らざるを得なくなるというのが基本的な設定で、男と甥の関係性に強いアイディアを感じたロナーガンは、企画を進めながら、原案に次の変更を加えました。

  • もっと変人っぽかったリーの性格を、より普通の男っぽくした
  • かつてのリーの家族との幸せな生活の描写や船を持っている設定を加えた
  • 当初は9~10歳のイメージだった甥の年齢をティーンに引き上げた

追って、デイモンに「オデッセイ」(2015年)の主演が入った為、デイモンは監督をロナーガンに譲るとともに、主演俳優として幼馴染のケーシー・アフレックを同監督に紹介し、本作が実現しました。

 

興味深いのはクラシンスキーとデイモンの原案にも関わらず、故郷に帰ってくる男、彼と甥との交流という点で「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」を、自らの過失で起こした贖えない罪と罪悪感という点で「マーガレット」をと、ロナーガン監督の過去の作品を彷彿とさせますが、故郷を捨てた男の帰郷、誰かを亡くした喪失感や贖罪といった素材にのめり込むタイプと自認するロナーガン監督は、次のように語っています。

ストーリーやテーマの部分でたしかにそういったものに惹かれてる部分はあるのかもしれません。自分自身でもそれらの要素が何度も登場することは自覚してもいます。周りから色々な企画を持ち込まれますが、自分の触手が動くものであったり、これは自分だったらいいものができると思う作品はそんなにあるわけではなく、たまたま今回はそう思える企画でした。しかし、なぜそれに興味を持つのかということ自体は正直に言って自分でもよくわかりません。また、何度も繰り返されるテーマの面で付け加えるならば、私は人の面倒を見る人々、人の生きる環境の違い、あるいは少し対抗した立場にある人々が同意はできないけれどお互いの主張は理解できるというような人間関係に興味があります。異なる生活や生き方をしている中で他者との出会いから生まれる変化に惹かれるものを感じるのです。(ケネス・ロナーガン監督)
https://i-d.vice.com/jp/article/kzbdaw/manchester-by-the-sea-interview

贖罪は本作第一の主題ではなく、悲しみ、忠誠、問題解決、愛といった、他のものと同列です。ロナーガン監督を惹きつけるのは、あくまでも解決できない問題に直面した人々で、時間か、他の感情的な出来事以外、悲しみの解決法はないと言います。

 

さらに、ロナーガン監督はパトリックというリーと対照的なキャラクターを育て上げ、ふたりのやりとりの中から生まれるユーモアを通して、彼のカラーをより強く打ち出しています。

パトリックの場合は、私にとって彼が楽しい生活を送っている幸せな少年だという風に見せることはすごく重要なことでした。たしかに彼は父親を亡くし、母親もアルコールで精神面が不安定な問題などを抱えた環境にはありますが、たとえば彼も鬱屈した人間で誰かの助けを必要としているようなキャラクターだと、そこにはストーリーはないと思いました。今回の物語でメインとなる葛藤は、自分の住んでいる場所に戻りたいリーとそこに残りたいパトリックのあいだにあるわけで、そのためにはパトリックはなぜ残りたいのかを考えていく必要がありました。彼がマンチェスターに留まっていたいのであれば、そこには残りたいと思わせる幸せなものがある。そう考えて描いていきました。

私はいつも自分の作品の中でユーモアを上手く使っていきたいと思っています。もともとユーモアやジョークはすごく好きで、私にとってはユーモアがない作品は成功とは呼べません。ユーモアとドラマを対比して語る人もいるけれど、私はほぼ同じものでそれは不可分だと思っています。そこにはほとんど違いはない。私の好きな映画の中にユーモアがないものなんて1本もありません。逆に私の好きなコメディの中には、直接的なドラマや感動ではなかったとしても、エモーショナルな側面がない映画はないと思っています。(ケネス・ロナーガン監督)

https://i-d.vice.com/jp/article/kzbdaw/manchester-by-the-sea-interview

家族を喪失した男と後見する甥を軸に、存在感ある多彩な男女が登場

因みに、女医がジョーが不治の病であることを告知するシーンで、ロナーガン監督はジョーの元妻をユーモアのない女性として描いていますが、その後の展開を踏まえると、人生にはユーモアが必要との彼の考えを反映しているようで、興味深いシーンです*3。劇作家だけあって、このシーンを含めてセリフの切れは素晴らしく、特に元妻のランディとリーが街で出くわした時のやり取りは圧巻です。総出演時間が一割にも満たないミシェル・ウィリアムズですが、このシーンだけでアカデミー助演女優賞にノミネートされたと言っても過言ではないでしょう。本作の軸は家族の喪失に苦しむ男と後見する甥との男同士の関係ですが、兄のジョーや親友のジョージのみならず、

  • リーの気持を大きく変える元妻のランディ
  • ジョーに告知する女医
  • ジョーを担当する看護師
  • ジョーの元妻(パトリックの母)
  • パトリックの二人の恋人
  • パトリックと恋人のだしにされる恋人の母親
  • 「I don’t wanna see him in here again.」とつぶやくポートショップの女性経営者
  • 喧嘩して負傷したリーをいたわるジョージの妻
  • ランディを気遣う友人のレイチェル

など、随所に存在感溢れる女性が登場するのも、本作の魅力です。アカデミー脚本賞を受賞した優れた脚本ですが、同主演男優賞の受賞のみならず、助演男優賞助演女優賞にもノミネートされるなど、俳優を活かす脚本・演出が際立つ作品でもあります。

悲喜劇の上に浮遊するような美しいサウンドトラック

物語の中盤、リーの過去の悲劇が明らかになる際に、「アルビノーニアダージョ」が流れてその悲痛さが強調されます。「アルビノーニアダージョ」は叙情的な美しい曲で、「審判」(1962年)、「ローラーボール」(1975年)、「誓い」(1981年)などの名作にも使用されています。他にも、レスリー・バーバーによる美しいコラールなどが、無表情で寡黙なリーと対置されるかのように美しく流れます。不完全な人に何が起ころうとそれを見守るように続く、神の視点を感じさせる美しい音楽です。

色々と試してみていく中で、本作には、美しくも儚さを纏ったどこか天上のような曲が必要ではないかと感じはじめました。私はいつも音楽をつけるときは、個人的に好きな曲から合わせてみてそれがマッチするかどうか試しますが、今回の場合は物語の喜劇と悲劇の上を浮遊しているような楽曲を合わせたいと考えました。どこかそれによって、物語世界に広がりのようなものを生みたかったのです。また作品が完成した後に、今回の音楽は物語に必ずしも寄り添っているわけではない、関係がないときがあることにもふと気がつきました。言わば、海のような──人間がどういう葛藤や混乱と相対していようが関係なく常にそこにある──存在だと感じたのです。(ケネス・ロナーガン監督)

https://i-d.vice.com/jp/article/kzbdaw/manchester-by-the-sea-interview

  

ケイシー・アフレック(リー・チャンドラー)

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ケイシー・アフレック(1975年〜)は、マサチューセッツ州出身のアメリカの俳優。スペイン語を流暢に話すことができる。兄は俳優・映画監督のベン・アフレック。12歳でテレビに出演するようになる。「誘う女」(1995年)で映画デビュー。「チェイシング・エイミー」(1997年)、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年)などで兄と共演している。以降、「オーシャンズ」シリーズ(2001年〜2007年)などに出演、「ジェシー・ジェームズの暗殺」(2007年)では、アカデミー助演男優賞にもノミネートされ、本作で同主演男優賞を受賞している。

 

ミシェル・ウィリアムズ(ランディ)

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ミシェル・ウィリアムズ(1980年〜 )は、モンタナ州出身のアメリカの女優。9歳の時にサンディエゴへ移り、演技を学び始める。14歳の時に「名犬ラッシー」(1994年)で映画デビュー、以降、主にインディペンデント映画を中心に活動している。「ブロークバック・マウンテン」(2005年)でアカデミー助演女優賞に、「ブルーバレンタイン」(2010年)、「マリリン 7日間の恋」(2011年)で同主演女優賞にノミネート、「マリリン〜」ではゴールデングローブ主演女優賞を受賞している。「ブロークバック・マウンテン」で共演したヒース・レジャーと婚約、長女を出産するも、2007年に婚約解消。その後、ヒース・レジャーは2008年1月に薬物摂取による急性中毒でニューヨークの自宅で亡くなっている。

 

カイル・チャンドラー(ジョー・チャンドラー)

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カイル・チャンドラー(1965年〜)は、ニューヨーク出身のアメリカの俳優。「キング・コング」(2005年)、「SUPER8/スーパーエイト」(2011年)「アルゴ」(2012年)、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)、「The Spectacular Now」(2013年)、「キャロル」(2015年)などに出演している。

 

ルーカス・ヘッジズパトリック・チャンドラー)

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ルーカス・ヘッジズ(1996年〜)は、ニューヨーク、ブルックリン出身のアメリカの俳優。母は詩人・女優のスーザン・ブルース、父は脚本家・監督のピーター・ヘッジス。中学の時に演じた演劇が「ムーンライズ・キングダム」(2012年)のキャスティング・ディレクターの目にとまり、出演する。以降、いくつかの映画に出演するようになり、本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされている。

 

グレッチェン・モル(エリーズ・チャンドラー、ジョーの元妻)

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グレッチェン・モル(1972年〜)は、コネチカット州出身のアメリカの女優。1996年に映画デビュー。「フェイク」(1997年)、「3時10分、決断のとき」(2007年)などに出演している。

 

カーラ・ヘイワード(右、シルヴィー・マクグラン 、パトリックのガールフレンド)

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カーラ・ヘイワード(1998年〜)は、マサチューセッツ州出身のアメリカの女優。初めて受けたオーディションで「ムーンライズ・キングダム」(2012年)のヒロイン役に抜擢される。同役の演技で高い評価を受け、数多くの賞にノミネートまたは受賞する。他に、「パターソン」(2017年)などに出演している。

サウンドトラック

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マンチェスター・バイ・ザ・シーサウンドトラックCD(Amaozn)

1.マンチェスター・バイ・ザ・シー・コラール
2.マンチェスターミニマリスト・ピアノ・アンド・ストリングス
3.プリマス・コラール
4.ピファ(田園交響曲)-メサイアより
5.スモーク
6.フローティング149 ア・カペラ
7.フローティング149 ストリングス・リプライズ
8.オーボエとピアノのためのソナタ 第1楽章
9.マンチェスターミニマリスト・ピアノ・アンド・ストリングス (ストリングス・リプライズ)
10.主は羊飼いのようにその群れを養い; カム・アントゥ・ヒムーメサイアより
11.マンチェスターミニマリスト・ピアノ・アンド・ストリングス (ヴァリエーション)
12.アルビノーニアダージョ (MONO)
13.スモーク・リプライズ・ウィズ・ベース・アンド・ストリングス
14.アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト (MONO)
15.シェリュバン(MONO)
16.マンチェスター・バイ・ザ・シー・ストリングス・リプライズ

動画クリップ(YouTube

  • リーの気持を大きく変えたランディとの再会シーン*6

    エンディングに向けて流れを大きく変える重要なシーンで、デリケートな上、セリフが重なり合う難易度の高いシーン。これまでに四度、アカデミー女優賞にノミネートされているミシェル・ウィリアムズのパフォーマンスが圧巻だが、これを受けるケーシー・アフレックも素晴らしく、本作でのアカデミー主演男優賞を受賞を裏付けるようなパフォーマンスを見せている。スケジュールが押している中、撮影時はふたりともナーバスになったと言うが、難易度の高い演技を見事にこなしている。

撮影地(グーグルマップ)

 

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関連作品

ケネス・ロナーガン監督・脚本作品のDVD(Amazon

  「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」(2000年)・・・監督・脚本

  「ギャング・オブ・ニューヨーク」(2002年)・・・ 脚本

  「マーガレット」(2011年)・・・監督・脚本

 

ケイシー・アフレック出演作品のDVD(Amazon

「誘う女」(1995年)

  「チェイシング・エイミー」(1997年)

  「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997年)

  「オーシャンズ11」(2011年)

  「ジェシー・ジェームズの暗殺」(2007年)

  「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(2007年)

  「A Ghost Story」(2017年、日本未公開)・・・輸入版、日本語なし

 

ミシェル・ウィリアムズ出演作品のDVD(Amazon

  「名犬ラッシー」(1994年)

  「The Station Agent」(2003年)北米版、リージョン1、日本語なし

  「ブロークバック・マウンテン」(2006年)

  「ウェンディ&ルーシー」(2008年)

  「ミークズ・カットオフ」(2010年)・・・北米版、日本語なし

ブルーバレンタイン」(2010年)

  「マリリン 7日間の恋」(2011年)

  「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」(2016年)

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女医がジョーが不治の病であることを告知するシーン

DR BETHENY: The disease is commonly referred to as congestive heart failure --

ELISE: Oh my God!

DR BETHENY: Are you familiar with it?

ELISE: No...!

JOE: Then what are you sayin’ “Oh my God” for?

ELISE: Because what is it?

JOE: She’s tryin’ to explain it to us, honey. I’m sorry, Dr Beth...uh...

DR BETHENY: Betheny

JOE: I’m sorry. I can never get it right. DR BETHENY (CONT'D): Don’t worry about it. Not a problem.
STAN: So, you were saying, Dr Beth.
 JOE: It’s Dr Betheny, Dad.  LEE: Dr Betheny, Daddy, try to get it right..
ELISE: It’s a comedy routine!
JOE: Would you let her tell it? STAN: Elise, please...

ELISE: Oh my God: When am I gonna put one foot right?

JOE: Honey, for Christ’s sakes!

ELISE: How about a hint?

STAN: Elise...Sweetheart...Let’s just let her explain the situation to us...

LEE: Daddy...

STAN: What? She's fine. We're all upset. We're all gonna listen, then we're gonna ask everything we wanna ask, and then we’re gonna figure out what do to, together. Right?

JOE: Right.

DR BETHENY: It's a gradual deterioration of the muscles of the heart. It’s usually associated with older people, but in rarer cases it will occur in a younger person. Some people can live as long as fifty or sixty years with just an occasional attack. But most people suffer periodic episodes, like the one you had on Monday, which mimic the symptoms of a heart attack and which further weaken the muscle. They can put you out of commission for a week, two weeks. And you’ll need to be hospitalized so we can monitor your heart, because the risk of cardiac arrest is elevated for a week or two.

ELISE: Oh my God.

STAN: (Pats her hand) OK...OK...

DR BETHENY: But in between these episodes, most people feel perfectly healthy and you can basically live a normal life.

JOE: So...What do you mean that some people live as long as fifty or sixty years? You mean total? Or from when they're diagnosed with this, or what? And tell me the fuckin’ truth.

DR BETHENY: Total.

DR BETHENY (CONT’D): For approximately eighty percent of patients your age the most common statistical life expectancy is five years or less.

JOE: Wow.

DR BETHENY: But the statistics vary widely, and they’re just statistics. You’re not a statistic, you’re just one person, and we don't know what’s going to happen to you yet. But it’s not a good disease.

JOE: What’s a good disease?

DR BETHENY: Poison Ivy.

ELISE: (Rising) I do not see where the humor lies in this situation.

STAN: Elise, you must calm down.

JOE: Honey, please... DR BETHENY: I’m sorry. I’m really not trying to --

LEE: (To Dr Betheny) Don’t -- it’s fine.

ELISE: No. No more -- I’m not gonna --

STAN: Elise, let’s get you a glass of water --

ELISE (CONT'D): No m -- No.

LEE: Daddy. Forget it.

JOE: (TO LEE) Hey, shut up.

ELISE: Yeah, forget it. Forget it like you -- No, you know what? I’m tired of bein’ the bad guy here.

JOE: Jesus Christ! Who’s in the fuckin’ hospital?!

STAN: Nobody th --
ELISE: Right! So I’ll be the bad guy, and you be in the hospital and explain the jokes to your son. I’m goin’ home.
JOE: You’re goin’ home. STAN: Sweetheart --

STAN (CONT’D): Lemme get her back.

LEE: Fuck her.

JOE: You wanna stop with that shit? STAN: Come on with that stuff already!

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リーの気持を大きく変えたランディとの再会シーン

RANDI: Lee...! Hi.

LEE: Hi.

RANDI: Um -- Rachel. This is Lee. Lee, Rachel.

LEE: Hi.

RACHEL: Hello.

RANDI: (Re: the baby) And this is Dylan. You can’t see him too good.

LEE: Hey Dylan. Very handsome.

RACHEL: Randi, you want me to get the car and pick you up?

RANDI: Oh, sure -- LEE: That’s OK. I gotta --  

RANDI: Well, could I -- I’d -- Could we talk a second?

LEE: Sure.

RACHEL: I’ll just pull around -- Just be like two minutes.

RANDI: OK, thanks.

RACHEL: Nice to meet you.

LEE: You too.

RACHEL: Be right back.

RANDI: I don’t have anything big to say:

RANDI (CONT’D): I just -- I know you been around -- 

And I thought -- we never -- Yeah I know. He seems like he's doin’ pretty well, considering. I mean...

LEE: That’s OK.

Yeah, I just been gettin’ Patrick settled in.

I think he is...Yeah...

RANDI: I guess you probably didn’t know I really kept in touch with Joe --
RANDI (CONT'D): So it's been kinda weird for me, not seeing Patrick since he passed away -- Oh, OK. I didn’t know. LEE: No, I knew that --

LEE (CONT’D): Well you can see him. I have no --

RANDI: Could we ever have lunch?

LEE: You mean us? You and me?

RANDI: Yeah. I, uh...Because...I said a lotta terrible things to you. But -- I know you never -- Maybe you don't wanna talk to me --

LEE: It’s not that.

RANDI: But let me finish. However it -- my heart was broken. It's always gonna be broken. I know your heart is broken too. But I don't have to carry...I said things that I should -- I should fuckin’ burn in hell for what I said. It was just --

LEE: No, no...

RANDI: I’m just sorry. I love you. Maybe I shouldn’t say that. And I’m sorry --

LEE (CONT'D): I can’t --

You can say it, but -- No, it’s just --I -- I can’t -- I gotta go.

RANDI: We couldn’t have lunch?

LEE: I’m really sorry. I don’t think so.

RANDI: You can’t just die...!

But honey, I see you walkin’ around like this and I just wanna tell you --

But Lee, you gotta -- I don't know what! I don't wanna torture you. I just wanna tell you I was wrong.

That’s not true! Can't be true...!

LEE (CONT'D): 
Thank you for sayin’ everything --I’m not! But I can’t -- I’m happy for you. And I want...I would want to talk to you -- But I can’t, I can’t...

I'm tryin’ to -- You're not. But I got nothin’ to -- Thank you for sayin’ that. But -- There’s nothin’ there ...You don’t understand...

RANDI: Of course I do!

LEE: I know you understand...But I’ve gotta go -- I'm sorry.

RANDI: OK. I’m sorry. LEE (CONT'D): There’s nothin’ I can s -- I gotta go.