夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「ザ・ギフト」:しっかりとした脚本、自然でメリハリの効いた説得力ある演出と俳優のパフォーマンスによる、完成度の高いサスペンス

ザ・ギフト」(原題: The Gift)は、2015年公開のアメリカのサイコ・スリラー映画です。ジョエル・エドガートン監督・脚本・出演・製作、ジェイソン・ベイトマンレベッカ・ホールら出演で、平穏な毎日を過ごしていた若い夫婦が、夫の旧友との再会を機に次々と届けられる贈り物に悩まされ、恐ろしい出来事に巻き込まれていく様を描いています。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ジョエル・エドガートン
脚本:ジョエル・エドガートン
出演:ジェイソン・ベイトマン(サイモン)
   レベッカ・ホール(ロビン)
   ジョエル・エドガートン(ゴード)
   アリソン・トルマン(ルーシー)
   ティム・グリフィン(ケヴィン・KK・ケラー)
   ビジー・フィリップス(ダフィー)
   アダム・ラザール=ホワイト(ロン)
   ボー・ナップ(ウォーカー刑事)
   ウェンデル・ピアース(ミルズ刑事)
   ミラー・フォークス(ウェンディ・デール)
   ナッシュ・エドガートン(フランク・デール)
   デヴィッド・デンマン(グレッグ)
   ケイティ・アセルトン(ジョーン)
   デヴィッド・クレイグ(スチュワート)
   スーザン・メイ・プラット(ロンダ・ライアン)
   P・J・バーン(ダニー)
   フェリシティ・プライス(アンジェラ・デレジオ医師)
   メリンダ・アレン(不動産業者)
   ほか

あらすじ

シカゴからカリフォルニアの郊外に移り住んだ若い夫婦サイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)は、人もうらやむような幸せな生活を送っています。カリフォルニアはサイモンの故郷でもあり、新居用の調度を買い物していた二人は、サイモンの高校時代の同級生ゴード(ジョエル・エドガートン)に声をかけられます。サイモンはゴードのことをすっかり忘れていましたが、旧友との25年ぶりの再会を喜んだゴードは、次々と贈り物を届けてきます。しかし、あまりも頻繁な為、二人は困惑し、とりわけサイモンは露骨にゴードを煙たがり、ついに「もう自宅に来るな」と強く言い放ちます。やがて夫妻の周囲で奇妙な出来事が頻発するようになり、ゴードからは謝罪の手紙が届きますが、そこにはサイモンとの過去の因縁をほのめかす一文がありました。彼らの間に何があったのか、頑なに口を閉ざす夫への疑念を募らせたロビンは、自らその秘密を解き明かし、衝撃的な事実に行き当たります・・・。

レビュー・解説

ジョエル・エドガートンが監督・脚本・出演・制作を務める本作は、しっかりとした脚本、自然かつ、メリハリの効いた演出と、キャラクターの微妙な変化を演じる俳優の説得力のあるパフォーマンスにより、長編初監督作品とは思えぬ、完成度の高いサスペンス&ドラマ映画に仕上がっています。

 

ミステリー&サスペンスですが、ストーリーの背景がしっかりとしており、観客をハラハラさせれば良い、期待を裏切れば良いといった類の作品でありません。再会したサイモンとゴードが決別するまでが1/3、不思議に思った妻が二人の間のあった出来事を探るのが次の1/3、急展開の結末に最後の1/3といった時間配分ですが、じわじわと展開するストーリーに目を離せません。話が進むに連れて、キャラクターの隠されていた面が見えてきますが、俳優であるジョエル・エドガートン自ら脚本を書き、演出しているだけあって、安手のミステリー&サスペンスのようにキャラクターの急変に白々しい思いすることはありません。ジェイソン・ベイトマンレベッカ・ホールといった実力派俳優が、キャラクターの見え隠れする部分をメリハリを効かせながら、かつ、連続性を持たせて丁寧に演じており、ドラマとしても見ごたえがあります。これほど、俳優を活かすミステリー&サスペンスは滅多になく、しっかりとした脚本、演出と相まって、初めての長編映画監督とは思えないほど完成度の高い作品に仕上がっています。

 

ジョエル・エドガートンが監督・脚本・出演・制作を務める長編映画監督デビュー作

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ジョエル・エドガートン(1974年〜)は、「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(2002年)、「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年)でオーウェン・ラーズを演じ、一躍、有名になったオーストラリア出身の俳優、脚本家、映画監督です。2010年頃から脚本も書いており、本作で長編映画監督デビューと、活動の幅を広げています。彼は「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で、米海軍特殊部隊の兵士パトリックを、「華麗なるギャツビー」(2013年)で大富豪のトム・ブキャナンを演じていますが、助演でもしっかりとした印象を残すことができる実力派俳優です。助演でしっかりした印象を残す為には、脚本や演出をよく理解し、主演俳優と競合するのではなく、主演にない部分を強調して演技する必要があります。本作を見ていると、やり手のサイモン、優しく繊細な妻のロビン、気弱なゴードと、それぞれの配役が互いに際立たせるよう、対称的なキャラクター設定がなされており、それぞれが均等に絡み合いながら、緊迫感の中でポジションを少しずつ変化させていくダイナミズムで動いていることがわかります。エドガートンは、本作では監督に専念し、ゴード役は誰かに譲ろうかと最後まで迷ったそうですが、自分で演じたい気持ちが強かったこと、演じる場面はそれほど多くないこと、映画監督である兄(ナッシュ・エドガートン)のサポートがあったことから、初監督の重圧に耐えながら、共演の一角であるゴード役も見事に演じ切っています。驚くほど完成度の高い長編映画監督のデビュー作に、今後の期待が高まります。

 

ジョエル・エドガートン(ゴード)

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ジェイソン・ベイトマン(1969年〜)は、アメリカの俳優、監督、プロデューサーで、テレビを中心に活躍していましたが、2007年の「JUNO/ジュノ」以降、映画にも出演するようになりました。「消されたヘッドライン」(2009年)ではやり手のPRマン、「マイレージ、マイライフ」(2009年)では主人公の上司役と、有能なビジネスマンを演じることが多く、本作でもやり手のビジネスマンを巧みに演じています。私生活では、有名な歌手ポール・アンカの娘の夫で、二人の娘がいます。

 

ジェイソン・ベイトマン(サイモン)

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レベッカ・ホール(1982年〜)は、イギリス、アメリカで活躍する女優です。イギリスの舞台演出家・映画監督、ピーター・ホール卿を父に、アメリカのオペラ歌手、マリア・ユーイングを母にロンドンに生まれ、ボーディング・スクールを首席で卒業、ケンブリッジ大学に進学するほどの才媛です。両親は彼女が5歳の時に離婚しましたが、彼女はイギリス、アメリカ、ふたつの国籍を持ち、子供の頃から休みを母とともにニューヨークやロスアンジェルスで過ごした彼女のアメリカ英語は完璧です。10歳の頃から女優志望でしたが、父親の教育方針で20歳まで演技の勉強をしなかった彼女は、2002年に大学を中退して舞台デビュー、続いて2006年に「プレステージ」で映画デビューします。さらに、ウディ・アレン監督の「それでも恋するバルセロナ」(2008年)に出演、一躍注目を浴びます。「ザ・タウン」(2010年)では、主人公の恋人役で強盗に襲われれる銀行の女性支店長を演じていますが、アメリカ女優には演じにくい、上品で純粋な女性らしい美しさを自然に演じられるのが彼女の持ち味で、本作でも知的で優しく繊細な女性が成長する姿をナチュラルに演じています。

 

レベッカ・ホール(ロビン)

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撮影地(グーグルマップ)

 

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関連作品

ジョエル・エドガートン出演作品のDVD(Amazon

  「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年)

  「アニマル・キングダム」(2010年)

  「ウォーリアー」(2011年)

  「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)

  「華麗なるギャツビー」(2013年)

  「ブラック・スキャンダル」(2015年)

    「ミッドナイト・スペシャル」(2016年)

  「ラビング 愛という名前のふたり」( 2016年)

 

ジェイソン・ベイトマン出演作品のDVD(Amazon

  「JUNO/ジュノ」(2007年)

  「寝取られ男のラブ♂バカンス」(2008年)

  「消されたヘッドライン」(2009年)

  「マイレージ、マイライフ」(2009年)

 

レベッカ・ホール出演作品のDVD(Amazon

  「プレステージ」(2006年)

  「それでも恋するバルセロナ」(2008年)

  「フロスト×ニクソン」(2008年)

  「善意の向こう側」(2010年)・・・Amazonビデオ

  「ザ・タウン」(2010年)

  「アイアンマン3」(2013年)

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