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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「ソーセージ・パーティー」:個性的な食材キャラ、乱交あり、宗教、人種、中東ネタあり、下ネタ満載、こだわりのR指定爆笑CGアニメ

「ソーセージ・パーティー」(原題:Sausage Party)は、2016年公開のアメリカの3DCGアニメーション映画です。コンラッド・ヴァーノン/グレッグ・ティアナン監督、セス・ローゲン共同脚本、セス・ローゲンクリステン・ウィグジョナ・ヒルら声の出演で、ソーセージやパンなど食材たちが、待ち受ける過酷な運命と戦う姿を過激な下ネタと共に描いた、米国初のR指定CGアニメ、大人向けのコメディ映画です。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:コンラッド・ヴァーノン/グレッグ・ティアナン
脚本:カイル・ハンター/アリエル・シェイファー/セス・ローゲン
   /エヴァン・ゴールドバーグ
製作:セス・ローゲン/コンラッド・ヴァーノン/エヴァン・ゴールドバーグ
   /ミーガン・エリソン

音楽:アラン・メンケン
出演:セス・ローゲン(フランク)
   クリステン・ウィグ(ブレンダ)
   マイケル・セラ(バリー)
   デヴィッド・クラムホルツ(カリーム・アブドゥル・ラヴァッシュ)
   エドワード・ノートン(サミーベーグル・ジュニア)
   サルマ・ハエックテレサ・デル・タコ)
   ビル・ヘイダー(火酒)
   クレイグ・ロビンソン(ミスター・グリッツ)
   ジェームズ・フランコ麻薬中毒者)
   ジョナ・ヒル(カール)
   ダニー・マクブライド(ハニーマスタード
   ポール・ラッド(ダーレン)
   ニック・クロール(携帯用ビデ)
   ほか

あらすじ

郊外のスーパーマーケット「ショップウェル」に陳列された食材たちは、外の世界が楽園だと信じ、日々買われることを夢見ています。結ばれてホットドッグになることを夢見ていたソーセージのフランク(声:セス・ローゲン)とパンのブレンダ(クリステン・ウィグ)は、お客のカートに入れられて大喜びします。しかし、外の世界の真実を知ってパニックを起こしたハニーマスタード(ダニー・マクブライド)が転落、カートが暴走、フランクとブレンダ達は店に取り残されてしまいます。カートで生き残り、購入された食材たちは、やがて調理される仲間を目の当たりにして、自分たちの運命を知ります・・・。

レビュー・解説

食材をモチーフにした個性的なキャラクターが魅力の、乱交あり、宗教、人種、中東ネタあり、人間社会の縮図が作り込まれた、セス・ローゲンこだわりの下ネタ満載R指定CGアニメです。

 

下ネタ満載で、過激なシーンがある一方で、人間社会の縮図が作り込まれている本作は、食材をモチーフにしたキャラクター群が何よりの魅力です。声の出演もオスカー候補が5人(クリスティン・ウィグ、ジョナ・ヒル、ジェイムズ・フランコエドワード・ノートンサルマ・ハエック)と、贅沢なキャスティングです。監督は「マダガスカル3」、「シュレック2」のコンラッド・ヴァーノン、「機関車トーマス」のグレッグ・ティアナン、音楽は「塔の上のラプンツェル」、「美女と野獣」、「魔法にかけられて」のアラン・メンケンと豪華な布陣です。

 

フランク(声:セス・ローゲン

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主人公のソーセージ。隣の棚のパンのブレンダの恋人。買い物客に一緒に選ばれる日を夢見ているが、一方で、買われて店の外に出ると幸せになれるというシステムに疑問を感じている。物語が進むにつれて、彼の疑問は深まり、ブレンダとの間に溝ができる。

 

ブレンダ(声:クリスティン・ウィグ)

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フランクの恋人のパン。彼女はどのソーセージと一緒にホットドッグになるか、選べると考えている。物語が進むにつれて彼女は確信を深めるが、フランクと彼女が選ぶ道は離れていく。

 

バリー(声:マイケル・セラ

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フランクの友人の変形したソーセージ。購入されると幸せになれるという「外の世界」を固く信じ、購入されると変形が直り、他のソーセージと同じになれると夢見ている。

 

カリーム・アブドゥル・ラヴァッシュ(左、声:デヴィッド・クラムホルツ)と
サミーベーグル・ジュニア(右、声:エドワード・ノートン

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ラヴァシュは中東のパンで、サミーベーグルのライバル。他のキャラクターは、彼がどんな食べ物か知らず、ビラビラ野郎と呼ぶ。

サミーは、ウディ・アレンの様なユダヤ人ベーグルで、ラヴァシュのライバル。神経質で愚痴が多く、独善的。中東コーナーに陣取っているが、物語が進むにつれて同じコーナーの住人であるラヴァシュを理解する。

 

テレサ・デル・タコ(中央、声:サルマ・ハエック

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テレサレズビアンで、ブレンダに一目惚れするメキシコ人タコス。「外の世界」を深く信じているが、肉で満たされることに葛藤している。パンのブレンダに一目惚れするが、彼女の信ずる「外の世界」と相容れないことで葛藤する。

 

ガム(声:スコット・アンダーウッド)

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最も知的な食べ物。とても知的な科学者の靴底に何年もくっついていた為、他の誰よりも食べ物の世界の真理を理解するようになった。

 

火酒(中央、声:ビル・ヘイダー)と
ミスター・グリッツ(左、声:クレイグ・ロビンソン)

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火酒はアメリカの先住民、ミスター・グリッツはアフリカ系アメリカ人

 

カール(声:ジョナ・ヒル

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フランクの友人。買い物客に選ばれるが、悲惨な最後を遂げる。

 

ハニーマスタード(声:ダニー・マクブライド)

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買い物客に普通のマスタードと間違えて選ばれるが、店に戻ってフランクに店の外でどのような運命が待ち構えているか、警告する。

 

麻薬中毒の男(声:ジェームズ・フランコ

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ドラッグでハイになり、食べ物に意識があることを知る。

 

10年ほど前、「トイ・ストーリー」や「バグズ・ライフ」、「モンスターズ・インク」、「ファインディング・ニモ」、「Mr.インクレディブル」といたピクサー・アニメが世間を賑わしていた頃、セス・ローゲンジョナ・ヒルエヴァン・ゴールドバーグは、そのうち誰かが大人向けのCGアニメを作るだろうと予見、自分たちも作ってみたいと考え始めたと言います。その一方で、いつも食料品店の食べ物をネタにジョークを飛ばしていた彼らは、「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のプロモーションの際に、次回作は「ソーセージ・パーティ」とインタビューで答えていました。実際に予定があったわけではなく、いかにも彼らが作りそうな映画に聞こえるからというのがその理由でした。これに「食料品店が舞台でホットドッグ用ソーセージとパンが主人公で、他の通路の陳列棚には他の国の食料がいて・・・」と尾ひれがついて、エスカレート、ひょうたんから駒が出る形になりました。

 

セス・ローゲンのコンピュータの2008年のファイルに残っている最初の概要は、本作に似ている部分もあれば、全く似ていない部分もあるのですが、この時、既に「外の世界」を信ずるか否かという、映画全体を貫く主人公たちの存在に関わるテーマがありました。彼らが飛ばしていた冗談は、日常、目にするものに関する「〜の秘密の生活」といった類のものでしたが、たまたま食べ物を題材にするととても面白いことに気がつきました。毎日食べるものだけに、やられちまった感が半端ない。食材がキャラクターになることがあっても、通常は人間に食べられるところまで描かれませんが、彼らはそこに焦点を当てたと言います。いわば、禁断の「食材たちの秘密の生活」です。

いろんな意味で、とても人間社会に似ているんだ。棚に陳列される期間があり、いろんな商品があり、民族固有の食材もある。人間社会との類似性を求めていた我々も、びっくりしたよ。(セス・ローゲン

 

本作のキャラクターは個性的で、本来は物言わぬ食材たちが実に生き生きと描かれています。また、政治的視点、社会的視点、宗教的視点が入れ込まれ、宗教、人種、性、中東紛争ネタが繰り広げられます。これらは何年もの間、脚本が書き換えられる中で描き込まれたものですが、このように馬鹿げたコメディの中にこうしたネタを仕込んだ方が、下手なドラマよりシリアスに訴えることができると、セス・ローゲンは言います。

ドラマでは不謹慎にならないように工夫するが、我々の映画は違う。信仰、自己の存在や、世界を支配するルールへの疑問、それらがどうして出来たか、誰の利益で誰の不利益なのか、問うことができるんだ。

こうした映画は商業ベースに乗らないので、カモフラージュする必要がある。この映画を見た人は、皆、僕らの言いたいことを感じたと思うよ。でも、この映画の顔はエンタメだ。だから、セス・ローゲンエヴァン・ゴールドバーグに、無神論を説教されたと感ぜずに済むんだ。

結局のところ、「ソーセージ・パーティ」の立場は、我々を分断しない限り、信仰も宗教も構わない、この映画の知見は、人々が仲良くすること、幸せになることを、差別が邪魔をしてはならないということなんだ。(セス・ローゲン

 

本作のオープニングはミュージカル風で、明らかにディズニー・アニメへのオマージュです。また、戦闘シーンは「プライベート・ライアン」へのオマージュで、他にも食材たちが調理されるシーンなど、見所満載です。中でも圧巻は、エンディングの二分半にも及ぶ食材たちの乱交シーンです。

ポルノ的ということで実写の映画ではやったこともないシーンだから、この映画でもやらないことはできたんだ。でも、食べ物だし、実物じゃないし、解剖学的にもありえない話だから、やれる余地がある。アニメーションだと可愛いし、リアルじゃないから、何か伝えるために大げさにできるんだ。(セス・ローゲン

 

単なる下ネタの羅列ではなく、じっくりと作り込まれている本作ですが、「シンプソンズ」(1989年〜)、「レンとスティンピー」(1991年〜)、「ビーバス・アンド・バットヘッド」(1994年〜)、 「サウスパーク」(1997年)、 「ファミリー・ガイ 」(1999年)など、それ以前からあった大人向けのアニメ映画が大きな潮流になることがなかった為、周囲の反応は否定的だったと言います。

自己の存在を謎解きするホットドッグのコメディにハリウッドのみんなが夢中になると、僕らは無邪気に思っていたんだ。それは間違いだったよ。(セス・ローゲン

 

「これは面白い、いいものが出来るといいね」とは言ってくれるが、どこのスタジオも制作しようとしませんでした。そこにプロデューサーのミーガン・エリソンが現れ、「スタジオと一緒に俺もファイナンスするよ。それで荷が軽くなり、懸念も少なくなり、リスクも減るだろう。」と、言ってくれました。おかげで、ソニーが手を挙げ、制作することができました。もし、ミーガン・エリソンがいなければ、この映画は実現していませんでした。セス・ローゲンの10年来の友人、エドワート・ノートンも絶大なる支援者で、ベーグルのサミーをウディ・アレン風に演じるだけでなく、セスとは面識のなかったサルマ・ハエックを仲間に引き込み、さらにクリスティン・ウィグの出演を説得するなど、影の立役者となりました。また、ディナー・パーティで一緒になった時、彼はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督に「ソーセージ・パーティ」を説明、わかったようなわからないようなイニャリトゥ監督を横目にそれを聞いていたジョナ・ヒル曰く「生涯で最もシュール(超現実的)な会話だった」とのことですが、思い込んだらまっしぐらのエドワード・ノートンの人柄を偲ばせるエピソードです。

 

セス・ローゲンの解説も何やらコミカルですが、悪ふざけだけではここまでできません。真剣にやるからこそコメディな訳で、気長に時間をかけて実現したセス・ローゲンならではの秀作です。「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」に引き続き、下ネタ満載の中にメッセージを込める彼の試みは、新たな境地を作っていくかもしれません。

 

「ソーセージ・パーティ」コレクタードール(Amazon


フランク

ブレンダ

バリー

ラヴァシュ

サミー

テレサ


余談になりますが、ラヴァシュのキャラクターが面白く、食べてみたくなりました。ラヴァシュは、薄くて長いアルメニアの伝統的なパンで、2014年にユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。中東やヨーロッパの様々な国で食されており、パンと言ってもクレープの厚手版といった感じの、もちもちとした食感のようです。

 

 

Joseph's Lavash Bread Flax Oat Bran & Whole Wheat Reduced Carb(Amazon

サウンドトラック

 Sausage Party original soundtrack(Amazon

1. The Great Beyond
2. Darren, The Dark Lord
3. Chosen
4. I'd Do Anything for Love (But I Won't Do That)
5. The Crash
6. Douche Loses It
7. Wake Me up Before You Go-Go
8. Our Heroes
9. He's Coming
10. Food Massacre
11. Hungry Eyes
12. True
13. The Spooge
14. Magical Sausage
15. Gone
16. We're Home
17. The Cookbook
18. I Have Proof
19. Big Speech
20. The Big Fight
21. Final Battle
22. It's Your Thing
23. Finale
24. Joy to the World
25. The Great Beyond Around The World

動画クリップ(YouTube

撮影地(グーグルマップ)

 

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関連作品

セス・ローゲン出演作品のDVD(Amazon

  「40歳の童貞男」(2005年)

  「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」(2007年)

    「スーパーバッド 童貞ウォーズ」(2007年)

  「素敵な人生の終り方」(2009年)

  「50/50 フィフティ・フィフティ」(2011年)

 

「ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日」(2013年)

  「22ジャンプストリート」(2014年)

     「スティーブ・ジョブズ」(2015年)

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