読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「トレインスポッティング」:麻薬依存を時に面白可笑しく、時に不気味に描きながら、その恐ろしさを見事に織り込んだエンタメ映画

イギリス映画

トレインスポッティング」(原題:Trainspotting)は、1996年公開のイギリスの映画です。アーヴィン・ウェルシュの同名小説を原作に、ダニー・ボイル監督、ユアン・マクレガーらの出演で、スコットランドを舞台にヘロイン中毒の若者達の日常を斬新な映像感覚で生々しく描いています。

 

 「トレインスポッティング」のDVD(Amazon

iTunesで観る*1 Amazonビデオで観る*2 

 

目次

スタッフ・キャスト 

監督:ダニー・ボイル
脚本:ジョン・ホッジ
原作:アーヴィン・ウェルシュ
出演:ユアン・マクレガー(マーク・レントン
   ユエン・ブレムナー(スパッド)
   ジョニー・リー・ミラー(シック・ボーイ)
   ケヴィン・マクキッド(トミー)
   ロバート・カーライル(ベグビー)
   ケリー・マクドナルド(ダイアン)
   ピーター・マラン(スワニー)
   ジェームズ・コスモ(レントンの父)
   アイリーン・ニコラス(レントンの母)
   シャーリー・ヘンダーソン(ゲイル)
   アーヴィン・ウェルシュ(マイキー・フォレスター
   ほか

あらすじ

平凡な生き方よりも「誠実で真実あふれる麻薬の習慣」を選んだ麻薬常習者の青年マーク・レントンユアン・マクレガー)は、何度目かの麻薬断ちを決めます。レントンに嫌がらせをするために、仲間のシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)も麻薬を止めますが。麻薬よりも健全な性欲を満たすべく、レントンたちはディスコに行きます。そこで彼はダイアン(ケリー・マクドナルド)という美女に魅かれて彼女の家でセックスしますが、翌朝、彼はダイアンが実は高校生だと知ります。レントンたちは再び麻薬を始め、それまで麻薬はやらなかったトミー(ケヴィン・マクキッド)も、恋人に振られた腹いせに麻薬を打ってくれと言います。皆が麻薬に耽っている間に仲間のアリソン(スーザン・ヴィドラー)の赤ん坊が死に、実はその赤ん坊の父親だったシック・ボーイは泣き、皆は慰めにさらに麻薬を打ちます。レントンとスパッド(イーウィン・ブレムナー)が万引きで捕まり、スパッドは刑務所行きが決まります。執行猶予になったレントンは本気で麻薬をやめようとし、禁断症状で地獄の苦しみを味わいます。トミーは注射針からエイズに感染します。麻薬を止めたレントンはロンドンに出て不動産屋に就職、真っ当な生活を目指しますが・・・。

レビュー・解説 

スコットランドエディンバラの麻薬常習者を、荒っぽく、時に面白可笑しく、時におどろおどろしく描いた「トレインスポッティング」は、巧みなプロットと演出にぐいぐい引き込まれるうちに、いつのまにか麻薬依存の恐ろしさが刷り込まれるという、見事なエンタメ作品です。

 

オープニングが秀逸です。イギー・ポップの「ラスト・フォー・ライフ」*3の軽快なリズムに乗って、警備員に追われる主人公のレントンとスパッドが、エディンバラのメインストリートを全力で駆け抜け、有名なレントンのモノローグ「人生に何を望む?・・・」がか被さります。ドラッグを吸うレントンに続いて、夜間にサッカーに興じる友人たちが映し出され、友人たちが紹介されます。もの凄い掴みに、期待が高まります。

 

本作を麻薬を賞賛する映画と勘違いする人もいますが、猛烈な掴みに続いて右に左にと振れる登場人物の極端な反応を面白可笑しく追いかけているうちに、いつの間にか、

  • 止めようとしても止められらない
  • 朦朧としているうちに子供が死んでしまう
  • 注射針からエイズに感染する
  • 職を失い、犯罪に手を染める

などなど、麻薬常習者の典型的な転落の道を映し出している事に気がつくという仕掛けになっています。

 

タイトルとなっている「トレインスポッティング」は、イギリス発祥の趣味で、悪天候も意に介せずに線路の傍で列車を観察、番号などを記録するものですが、映画にはレントンの部屋の壁紙が列車の模様である以外、それを匂わせるものは出てきません。原作者のアーヴィン・ウェルシュによると、彼が育ったエディンバラでは、ホームレスや麻薬常習者が廃止になったかつての駅に頻繁に出入りし、麻薬を打つ為に廃駅に行くことには「トレインスポッティングに行く」と言っていたそうです。また、ダニー・ボイル監督は、次のように語っています。

Through the late '80s in Britain, it (trainspotting) began to mean anybody who was obsessive about something trivial, and part of that is drugs. It's a very male thing. Women, they know better. It was a way in which men would conquer an area of life by just knowing everything about all the Sean Connery films.

英国の80年代後半から、「トレインスポッティング」は些細な事に心を奪われることを意味するようになりました。麻薬もそうしたことのひとつです。男性に顕著な傾向で、女性はそれほどでもありません。それはショーン・コネリーの映画のすべてを知ることにより、人生のある部分を自分のものにするようなことでした。(ダニー・ボイル監督)

 

原作者のアーヴィン・ウェルシュは、スコットランドエディンバラ出身のイギリスを代表する小説家です。1993年に出版された「トレインスポッティング」でブッカー賞に選出され、その後、短編集「アシッドハウス」と第2長編「マラボゥストーク」、短編集「エクスタシー」が刊行され、ケミカル・ジェネレーションの騎手と称さています。 2002年出版の小説 「ポルノ」を原作に、「トレインスポッティング」のダニー・ボイル監督、オリジナルキャストとスタッフが再結集し、「トレインスポッティング」の20年後を描く続編映画「ポルノ」(仮題)が2017年に公開される予定です。

 

ダニー・ボイルは、イギリスの映画監督・映画プロデューサーで、大学卒業後、演出家としてキャリアを始め、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでも5つの作品を手掛けています。1994年に映画監督デビュー、1996年に2作目の「トレインスポッティング」が大ヒットし、翌1997年に「普通じゃない」でハリウッドに進出します。2002年、当時無名だった俳優のキリアン・マーフィーを主演に抜擢した低予算SFホラー映画「28日後...」が世界的にヒット、2008年公開の「スラムドッグ$ミリオネア」ではアカデミー監督賞を始めとする多数の映画賞を受賞します。2012年ロンドンオリンピック開会式の芸術監督に選ばれ、式典を演出しています。

 

ユアン・マクレガー(マーク・レントン

f:id:DaysLikeMosaic:20160726025857j:plain

ユアン・マクレガーは二ヶ月かけて減量、丸刈りにして撮影に臨みましたが、本作は当時まだ無名だった彼の出世作となりました。彼はスコットランド出身で、俳優を志し高校を退学、劇場でスタッフ兼エキストラとして働きながら、初舞台を踏みます。その後、演劇学校の公演でエージェントにスカウトされ、1992年にテレビドラマに本格的にデビュー、1994年にダニー・ボイルの初監督映画「シャロウ・グレイブ」に出演します。1999年に「スター・ウォーズ」新三部作のオビ=ワン・ケノービ役に抜擢されています。

 

ケリー・マクドナルド(ダイアン)

f:id:DaysLikeMosaic:20160726025909j:plain

本作が映画デビュー作となるケリー・マクドナルドは、スコットランドグラスゴー出身のイギリスの女優です。本作が映画デビュー作となる彼女は、撮影が行われたグラスゴーで行われたオーディションに応募、華やかな応募者たちの中で女子高生のように見えた彼女が、女優未経験者を求めていたダニー・ボイル監督の目に止まり、ダイアン役として採用されました。撮影時、19歳だった彼女も、その後、堅実に女優としてのキャリアを積み、数多くの作品で独特の存在感を放っています。

 

ロバート・カーライル(ベグビー)

f:id:DaysLikeMosaic:20160726025919j:plain

ベグビー役を演じたロバート・カーライルは、スコットランドグラスゴー出身のイギスリの俳優です。21歳の時に俳優を志すようになり、演劇を学んで、1991年に4人の仲間と共に劇団を立ち上げ、1994年の映画「司祭」 では、ゲイである神父の恋人という難しい役を演じています。本作や1997年の「フェイス」や「フル・モンティ」等が世界中でヒットしたことにより、国際的に注目されるようになり、1999年にりエリザベス女王より大英帝国勲章を授与されています。彼は、「ベグビーはゲイであることを隠しており、彼の暴力はバレることの恐怖から来ている」と解釈して演じており、原作者のアーヴィン・ウェルシュも映画版の彼の解釈に同意しています。

 

ユエン・ブレムナー(スパッド)

f:id:DaysLikeMosaic:20160726025943j:plain

スパッドを演じるユエン・ブレムナーは、スコットランドエディンバラ出身のイギリスの俳優です。舞台版「トレインスポッティング」では主人公のレントンを演じており、映画版でも当初はレントンを演じる予定だったと言われています。「ネイキッド」(1993年)、「ブラックホーク・ダウン」(2001年)、「マッチポイント」(2005年)、「MI5: 消された機密ファイル」(2011年)、「スノーピアサー」(2013年)などで、個性的な脇役として活躍しています。

 

ジョニー・リー・ミラー(右、シック・ボーイ)

f:id:DaysLikeMosaic:20160726030002j:plain

ジョニー・リー・ミラー はイギリスの俳優で、そのキャリアとショーン・コネリーの話し方の真似が上手いことから、シック・ボーイ役に起用されました。彼は若い頃から演技を学び、17歳の時に高校を中退、俳優業に専念しています。アフターグロウ(1997年)、「マンスフィールド・パーク」(1999年)、「エンドゲーム ~アパルトヘイト撤廃への攻防~」(2009年)などに出演しています。

サウンドトラック 

トレインスポッティング」のサウンドトラック(Amazon

 「トレインスポッティング」オリジナルサウンドトラックCD

リンク先で試聴できます

撮影地(グーグルマップ)

動画クリップ 

 

 「トレインスポッティング」のDVD(Amazon

関連作品

トレインスポッティング」の原作本Amazon

  アーヴィン・ウェルシュ著「トレインスポッティング」 (1993年) 

 

トレインスポッティング」の続編の原作Amazon

  アーヴィン・ウェルシュ著「ポルノ」 (2002年)

 

ダニー・ボイル監督作品のDVD(Amazon

  「28日後...」(2002年)

  「ミリオンズ」(2004年)

  「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年)

  「127時間」(2010年)

  「スティーブ・ジョブズ」(2015年)

 

ユアン・マクレガー出演作品のDVD(Amazon

  「Emma エマ」(1996年)

  「ゴーストライター」(2010年)

  「人生はビギナーズ」(2010年)

  「エージェント・マロリー」(2012年)

  「インポッシブル」(2012年)

 

ケリー・マクドナルド出演作品のDVD(Amazon

  「エリザベス」(1998年)

  「ゴスフォード・パーク」(2001年)

  「ネバーランド」(2004年)

  「名犬ラッシー」(2005年)

  「ノーカントリー」(2007年)

  「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(2011年)

関連記事

dayslikemosaic.hateblo.jp

dayslikemosaic.hateblo.jp 

dayslikemosaic.hateblo.jp