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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」:ゾンビ映画へのオマージュとウィットに富んだ風刺、友情、恋愛まで盛り込んだホラー・コメディの傑作

ショーン・オブ・ザ・デッド」(原題:Shaun of the Dead)は2004年公開のイギリスのホラー・コメディ映画です。エドガー・ライト監督、エドガー・ライト/サイモン・ペグ共同脚本、サイモン・ペグ、ニック・フロストらの出演で、恋人に愛想を尽かされた主人公が突如として蘇った死者たちの襲撃から恋人を救い出そうと奮闘する姿を、ロンドンを舞台にコミカルに描いています。

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:エドガー・ライト
脚本:エドガー・ライト/サイモン・ペグ
出演:サイモン・ペグ(ショーン、電器店店員、親友と同居、恋人リズに振られる)
   ニック・フロストエド、ショーンの親友、昼からビールを飲みゲーム三昧)
   ケイト・アシュフィールド(リズ、ショーンの恋人、二人の関係に業を煮やす)
   ディラン・モーラン(デービッド、大学講師、ダイアンの恋人)
   ルーシー・デイヴィス(ダイアン、デービッドの恋人、売れない女優)
   ペネロープ・ウィルトン(バーバラ、ショーンの母、フィリップと再婚)
   ビル・ナイ(フィリップ、バーバラの夫、ショーンが12の時にバーバラと再婚)
   ピーター・セラフィノイス(ピート、企業に勤メル、ショーンとエドと同居)
   ジェシカ・スティーヴンソン(イヴォンヌ、ショーンの友人、最近家を買った)
   ほか

あらすじ

ロンドンの電器店に勤める青年ショーンは29歳の冴えない青年です。職場では後輩にバカにされ、家では親友のエドと自堕落な生活を送る毎日でしたが、無気力が災い、一向に進展しないショーンとの関係に業を煮やした恋人リズに振られてしまいます。すっかり落ち込んだショーンは更正しようと決意しますが、街中では蘇った死者がさまよい歩き始めていました。人々が次々と死者の犠牲になる中、ショーンはエドと共に、母親とリズを救い出そうと彼女らの元に向かおうとします・・・。

レビュー・解説 

ショーン・オブ・ザ・デッド」は、ゾンビ映画へのオマージュとウィットに富んだ風刺を巧みにバランス、更に友情やラブ・コメディまで盛り込んだ、ホラー・コメディの傑作です。

 

エドガー・ライトはイギリスの映画監督で、14歳の頃から映画製作に興味を持ち、20歳で初めての監督作品が小規模ながら劇場公開され、BBCなどでコメディ番組の制作を手がけるようになります。この頃、サイモン・ペグと出会い、シチュエーション・コメディ「スペースド」を制作、イギリスで高い評価を得ます。「スペースド」のシリーズ1第3話の「アート」は、アンフェタミンバイオハザード2に影響で幻覚を見る主人公(サイモン・ペグ)が、侵略してくるゾンビと戦う姿を描いていますが、これに触発されたエドガー・ライトは、ゾンビの長編映画を撮影したいと考えました。

 

エドガー・ライトとサイモン・ペグが映画化に動き始めた頃、制作会社が興味を持ちましたが、資金を引き揚げてしまいました。どうしてもこの映画を作りたかったエドガー・ライトは、他の仕事を受けずに資金調達に専念しましたが、結局、友人から借金する羽目になります。テレビの仕事を続けることは映画化から遠ざかることだと考えていた彼は、一気に破綻へと向かい、赤字まみれになりました。この苦しい時期に借りたお金を、サイモン・ペグは未だに受け取らないそうですが、彼のみならず、この映画に出演するニック・フロストジェシカ・スティーヴンソン、ジュリア・ディーキンといった「スペースド」の主要キャストが、エドガーの心の支えになったのではないかと思います。

 

因みに「スペースド」は、同棲していた彼女に家を追い出されたサイモン・ペグが、家探しをしていたジェシカ・スティーヴンソンと偶然出会い、カップルに成り済まして格安アパートに入居、親友であるニック・フロストら仲間たちと繰り広げる生活を、ユーモラスに描いています。そういう前提でこの映画を見ると、

  • ジェシカ演じるイヴォンヌとサイモン演じるショーンが旧知の同志
  • 各々が仲間を引き連れてゾンビと戦う
  • イヴォンヌが家を買った
  • イヴォンヌがサイモンの恋人を評する

といった設定もうなずけます。

 

サイモン・ペグとニック・フロストの好演は言うまでもないのですが、ケイト・アシュフィールド(リズ、ショーンの恋人)とペネロープ・ウィルトン(バーバラ、ショーンの母)もなかなかのパフォーマンスで、時に可愛らしく、時に厳しく、リアルでありながらユーモラスな演技に、思わず頷いてしまいます。バーバラが死ぬシーンにサイモン・ペグはあたかも実の母を亡くすかのように反応、撮影後、サイモン・ペグとニック・フロストは思わず涙を流して泣いてしまったそうです。

 

この映画の原題「Shaun of the Dead」は、ゾンビ映画の名作であるジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」(1978年)の原題「Dawn of the Dead」をもじって付けられたものです。あいにく「ゾンビ」のリメイク版と公開時期が重なり、混乱を避ける為に「ショーン・オブ・ザ・デッド」の公開日を二週間ほど遅らせなければなりませんでしたが、ロメロ監督は本作を気に入り、彼の次回作にカメオ出演を依頼、エドガー・ライトとサイモン・ペグが「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005年)にゾンビ役でカメオ出演しています。

 

公開時に「Rom Zom Com」(ロマンス、ゾンビ、コメディの略)とコピーが付けられた本作は、イギリスで大ヒットとなりました。当初、サイモン・ペグとエドガー・ライトは、ロバート・ロドリゲス監督の「From Dusk till Dawn」(1998年)のタイトルをもじり「From Dusk till Shaun」と題して、ゾンビを他のモンスター(恐らくは吸血鬼)に置き換えた続編を作ろうと考えていましたが、本作の結果に満足、また登場人物の多くがゾンビになってしまったことから、続編を断念しました。後に

などでゆるく関連するスリー・フレーバー・コルネット三部作(血とアイスクリーム三部作)の第一作として位置付けられました。因みに、

  • 第二作は「ホットファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」(2007年)
  • 第三作は「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」(2013年)

となり、いずれも高い評価を得ています。この三部作を見ていると、最初は苦労はしたものの、エドガー・ライトの才能がサイモン・ペグらとともに開花すべく開花したことがわかります。エドガー・ライトとサイモン・ペグの魅力が堪能できるこの三部作はいずれを観て後悔することはありません。

 

サイモン・ペグ(ショーン、右)とニック・フロストエド、左)

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ケイト・アシュフィールド(リズ)

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ペネロープ・ウィルトン(バーバラ

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ビル・ナイ(フィリップ)

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「マリー」

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オープニング・クレジットでレジを打つ女性が、後にゾンビとなって登場する。

 

スピン・オフ・コミック「There's something about Mary」

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映画では描かれていない「マリー」がゾンビになるまでを、後にエドガー・ライト、サイモン・ペグ原作のコミックが描いている。

 

ショーンがゾンビとの対決に使用したウィンチェスター銃のレプリカ

 デニックス ウィンチェスターM66 ゴールド(Amazon

撮影地(グーグル・マップ)

 

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関連作品 

スリー・フレーバー・コルネット三部作のDVD(Amazon

エドガー・ライト監督 x サイモン・ペグ x ニック・フロスト コラボ作品)

  「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004年)

   「ホットファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」(2007年)

  「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」(2013年)

 

エドガー・ライト監督作品のDVD(Amazon

 スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」(2010年)

 

サイモン・ペグ出演作品のDVD(Amazon

  「スター・トレック」(2009年)

  「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(2011年)

  「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年)

  「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(2015年) スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年)

      「マン・アップ! 60億分の1のサイテーな恋のはじまり」(2015年)楽天

  「スター・トレック BEYOND」(2016年)

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