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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「パリ20区、僕たちのクラス」:移民の多いパリ20区の中学校を舞台に、フランス語教師と生徒達の1年をヴィヴィッドに描く

パリ20区、僕たちのクラス」(原題:Entre les murs(壁の内側))は、2008年公開のフランスのヒューマン・ドラマ映画です。フランソワ・ベゴドーが実体験に基づいて2006年に発表した小説「教室へ」を、ローラン・カンテ監督、ベゴドー自身の脚本・主演で映画化、パリにある中学校を舞台に、出身国も生い立ちも様々な24人の生徒たちと国語教師の1年間を映し出しています。第61回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した作品です。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ローラン・カンテ
脚本:ローラン・カンテ/フランソワ・ベゴドー/ロバン・カンピヨ
原作:フランソワ・ベゴドー「教室へ」
出演:フランソワ・ベゴドー
   ほか

あらすじ

パリ20区にある中学校の教室。始業のベルが鳴っても、24人の生徒たちはなかなか席に着こうとせず、全員着席するのに15分もかかります。教師に注意されるまで、帽子も脱ごうとしません。しかし彼らは、教師の言い間違いは嬉々として指摘します。そんな生徒たちに囲まれた国語教師のフランソワ(フランソワ・ベゴドー)は、この中学校で4年目になる新学年を迎えます。移民も多いこのクラスの生徒たちは、出身国、生い立ち、将来の夢もみんな異なります。フランソワは語尾変化もを書くこともできない生徒たちに正しく美しいフランス語を教えようとしますが、スラングに慣れた生徒たちは接続法半過去など文語で金持ちの言葉だと反発します。彼らにはフランスの文学も歴史も自分たちとは無関係のものにしか見えません。

しかし、フランソワは国語を、生きるための言葉を学ぶこと、他人とのコミュニケーションを学び、社会で生き抜く手段を身につけることだと考えています。そこで「アンネの日記」を読ませた後に、生徒たちに自己紹介文を書かせます。最初は高圧的だったフランソワも、彼らとの何気ない対話の一つ一つが授業であり、真剣勝負ということが分かり、24人すべての生徒に真正面から対峙し、悩んだり葛藤します。生徒たちを人として対等に扱おうとするフランソワは時にその未成熟さに苛立ちますが、一方の生徒たちはそんなフランソワに、率直なことばや態度で応じていきます・・・。

レビュー・解説 

パリの中学の教師と生徒のやりとりを、まるでドキュメンタリーのように、リアルで瑞々しく、ヴィヴィッドに描いたこの作品には、教訓やテーマの強い押し出しはありませんが、奥が深く、移民の国フランスの将来をさりげなく占うかのようです。

 

昨今のパリのテロ事件で多くの人が知るところになってきましたが、実はパリは非常に移民の多い街です。子供達が社会に同化して大人になる為の場である教育が、実は落ちこぼれを生み出す排除の場でもあることをテーマに映画を作りたいと考えていたローラン・カンテ監督は、パリを舞台に移民の同化と排除を緩くオーバーラップさせながら、多層的なヒューマン・ドラマに仕上がっています。

 

脚本と教師役を担当したフランソワ・ベゴドーは、パリ19区で実際に国語教師を務めた経験があり、それを生かして執筆した2006年発表の第三作「教室へ」が20万部の売り上げを記録するベストセラーとなりました。物語性には欠けるが、学校の輝く瞬間が描かれていることに注目したローラン・カンテ監督は、原作として彼のシナリオに取り込みました。

 

また、出演している24人の生徒達は、みな演技経験のない本物の中学生で、ローラン・カンテ監督は彼らと7ヶ月間のワークショップを行い、撮影しました。監督はじっくりと生徒たちと話し合いながら、彼らの人生や経験の一部をシナリオに取り込みました。また、大人に入り込みにくい、ティーン特有の話し方や態度も同時に取り込みました。

 

結果、まるでドキュメンタリーのように、リアルで瑞々しく、ヴィヴィッドな作品に仕上がっています。また、教訓めいた描写や、テーマの強い押し出しはありませんが、実は奥が深く、移民の国、フランスの将来をさりげなく占うかのようです。第61回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞、審査委員長を務めたショーン・ペンをして「演技、脚本、すべてが魔法だ」と言わしめました。アカデミー賞外国語映画部門のフランス代表となった作品です。

 

フランソワ・ベゴドー

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生徒達

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関連作品 

パリ20区、僕たちのクラスの原作本(Amazon

  フランソワ・ベゴドー著「教室へ」

 

移民を描いたフランス映画Amazon

  「トリコロール/白の愛」(1994年)フランス・ポーランド・スイス合作

  「憎しみ」(1995年)

  「クスクス粒の秘密」(2007年)フランス・チュニジア合作

  「パリ20区、僕たちのクラス」(2008年)

  「預言者/アンプロフェット」(2009年)

  「パリ警視庁:未成年保護部隊」(2011年)

  「最強のふたり」(2011年)

  

ル・アーヴルの靴みがき」(2011年)フィンランド・フランス・ドイツ合作

  「ある過去の行方」(2013年)

  「ディーパンの闘い」(2015年)

 

移民を描いた映画のおすすめ

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