「プリズナーズ」(原題:Prisoners)は、2013年公開のアメリカのクライム・スリラー&ドラマ映画です。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ジレンホールらの出演で、愛する娘を誘拐され、危険を顧みずに自ら救出に挑む父親と、犯人を追う刑事の姿を描いています。
目次
スタッフ・キャスト
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:アーロン・グジコウスキ
出演:ヒュー・ジャックマン(ケラー・ドーヴァー)
ジェイク・ジレンホール(デイヴィッド・ロキ刑事)
ヴィオラ・デイヴィス(ナンシー・バーチ)
マリア・ベロ(グレイス・ドーヴァー)
テレンス・ハワード(フランクリン・バーチ)
メリッサ・レオ(ホリー・ジョーンズ)
ポール・ダノ(アレックス・ジョーンズ)
ディラン・ミネット(ラルフ・ドーヴァー)
ゾーイ・ソウル(イライザ・バーチ)
エリン・ゲラシモヴィッチ(アナ・ドーヴァー)
カイラ・ドリュー・シモンズ(ジョイ・バーチ)
ウェイン・デュヴァル(リチャード・オマリー警部)
レン・キャリオー(パトリック・ダン神父)
デヴィッド・ダストマルチャン(ボブ・テイラー)
ほか
あらすじ
- ペンシルベニア州の田舎町で工務店を営むケラー・ドーヴァー(ヒュー・ジャックマン)は、愛する妻グレイス(マリア・ベロ)、息子ラルフ(ディラン・ミネット)、娘アナ(エリン・ゲラシモヴィッチ)、隣家のフランクリン・バーチ(テレンス・ハワード)、ナンシー(ヴィオラ・デイヴィス)、イライザ(ゾーイ・ソウル)、ジョイ(カイラ・ドリュー・シモンズ)と共に感謝祭を祝っていました。その最中、遊びに出たアナが、隣家の娘ジョイと共に行方不明になってしまいます。この事件を担当することになったロキ刑事(ジェイク・ジレンホール)は、二人が何者かに誘拐されたと見て、現場付近で目撃された不審なRV車に乗っていた青年アレックス(ポール・ダノ)を拘束します。しかし、アレックスは10歳程度の知能しかなく、有効な証言も証拠も得られないまま勾留期限を迎えます。
- 進展しない警察の捜査に業を煮やしたケラーは、アレックスに詰め寄り、娘の居場所を聞き出そうとします。アレックスが発した一言から、彼が犯人だと確信したケラーは、娘を取り戻したい一心で暴走、アレックスを拉致監禁して、無理やり娘の居場所を吐かせようとします。一方、捜査を担当するロキ刑事は、別の容疑者の可能性を考え、性犯罪の前科のある人物を洗い出します。容疑者とされるダン神父を家宅捜査すると、「迷路」のペンダントをつけたミイラの死体が地下室で発見されます。神父を尋問すると、子供を10人以上誘拐、殺害したと告解した男を神父が殺したと自白しますが、ミイラの死体の身元はわかりません。
- ケラー家の近くで開かれた無事解決を祈る人達の集会で、ロキ刑事は不審な男を見かけ、尋問しようとしますが、男はロキ刑事を振り切って逃げてしまいます。この男の似顔絵を公開すると、スーパーマーケットから似た男がいつも子供服を買うと通報があり、ロキ刑事は、見かけたら至急通報をするよう依頼します。 ある夜、ケラーと隣人のフランクリンの家に不審な男が不法侵入します。男は誰にも見られることなく逃げ去りますが、形跡からグレイスはアナが帰ってきたと錯乱状態で主張します。ロキ刑事は睡眠薬に頼っているグレイスがを信用せず、地下室にアルカリ剤など普通の家庭にはないものが大量にあったことから、ケラーに疑惑を抱きます。
- 一方、ケラーは廃屋に拷問部屋を作り、アレックスを尋問します。ケラーをマークしていたロキ刑事が廃屋を訪れ、渋々、廃屋の中を案内してしていると、スーパーマーケットから似顔絵の不審人物が来たと連絡が入り、ロキ刑事は緊急追跡します。不審人物はボブ(デヴィッド・ダストマルチャン)と言い、家宅捜査をしたところ、大量の蛇と血の付いた衣服が見つかり、二人の子供を殺したと自供した為、逮捕します。 ロキ刑事は二人の遺体がある場所を描かせようとしますが、ボブは『迷路』を解いたら出してやると意味不明なことを口走り、ひたすら迷路を書き続け、しまいには警官の銃を奪い拳銃自殺してしまいます。ボブが書いた迷路は神父の家で見つかったミイラの死体のペンダントと同じものでした。一方、ボブの自宅で見つかった血液は豚のもの、衣服はケラーとフランクリンの家から窃盗したものであることが分かります・・・。
レビュー・解説
二時間半の大作ですが、娘を探し出そうと感情を爆発させていく父親と、捜査に情熱を燃やしながらも感情を抑えて地道に捜査を続ける刑事の、二人の対照的な男をヒュー・ジャックマン、ジェイク・ジレンホールが好演、プロットも最後まで予断を許さず、見応えのあるクライム・スリラー&ドラマ映画になっています。失踪を扱った最近のクライム・スリラーでは「ゴーン・ガール」(2014年)が話題になりましたが、半ばで謎解きされる「ゴーン・ガール」に対して、本作は最後まで謎が明かされないというオーソドックスな展開で、両方の作品を見比べてみても面白いのではないかと思います。
1996年に、コロラド州で行方不明になった少女の遺体が自宅の地下室から発見されるというジョンベネ殺害事件がありました。アメリカの閑散とした田舎町の地下室というのは外界から遠く隔絶されており、クライム・スリラーには格好の舞台となります。本作でも、そんな田舎町の地下室を効果的に利用しています。
(注)ジョンベネ殺害事件:1996年にアメリカのコロラド州、ボルダーで当時6歳の少女、ジョンベネ・パトリシア・ラムジーが誘拐され、自宅地下から遺体が発見された事件。容疑者は逮捕されておらず、2016年現在も未解決となっている。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、カナダの映画監督、脚本家で、彼が脚本・監督を務めた「灼熱の魂」は第83回アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされています。彼の新作「ボーダーライン」は、エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンら個性派俳優の出演で、麻薬戦争をリアルに描くサスペンス・アクションですが、アメリカでの評価も非常に高く、今月末の日本公開が楽しみです。
ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ジレンホールの好演もさることながら、ポール・ダノのパフォーマンスも見逃せません。ポール・ダノは1984年生まれのアメリカの俳優で、「リトル・ミス・サンシャイン」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「LOOPER/ルーパー」、「それでも夜は明ける」などの名作でも印象深いパフォーマンスを見せており、今後のさらなる活躍が期待される俳優です。ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンの若き日を彼が演じる新作「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」も、アメリカでの評価が非常に高く、4月の日本公開が楽しみです。
ヒュー・ジャックマン(ケラー・ドーヴァー)
ジェイク・ジレンホール(デイヴィッド・ロキ刑事)
ポール・ダノ(アレックス・ジョーンズ)
動画クリップ(YouTube)
六日目〜「プリズナーズ」
DOVER: ...and after a month, almost none are not alive. All right? So forgive me for doing everything I can--
ROKI: You know what? It hasn't been a fucking week.
DOVER: You're right. It's day fucking six! Day six! Hasn't been a week. And every day she's wondering why I'm not there to fxxking rescue her!
ROKI: All right.
DOVER: Do you understand that? Me! Not you! Not you! But me! Every day!
ROKI: All right.
DOVER: So forgive me for not going home to have a good night's rest! Now, why don't you look for my fucking daughter rather than fucking ...?
ROKI: Hey, hey, hey. Hey. Hey.
DOVER: Don't follow me.
ROKI: Hey. Hey. Hey. Mr. Dover. Mr. Dover.ドーヴァー:一ヶ月経てば、ほとんど誰も生きてない。いいか?だから、俺に出来ることをやらせてくれ・・・。
ロキ:まだ、一週間も経っていない。
ドーヴァー:その通り。まだ六日目だ、六日目。まだ一週間じゃない。そして娘は毎日、何故、俺が助けに来ないのかと思ってる。
ロキ:わかった。
ドーヴァー:だから、家でゆっくりと休んでないことをとがめないでくれ。そんなことより、なんでお前は俺の娘を探さないんだ。
ドーヴァー:まあ、まあ、まあ、まあ。
ロキ:俺をつけるな。
ドーヴァー:まあ、まあ、まあ、ドーヴァーさん、ドーヴァーさん。
撮影地(グーグルマップ)
- ケラーの父の廃屋
- アレックスの家
- ロキ刑事が駆け込む救急病院
関連作品
刑事や警察を描いた映画
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品のDVD(Amazon)
「ブレードランナー2049」(2017年)
ヒュー・ジャックマン出演作品のDVD(Amazon)
「X-MEN」(2000年)
「X-MEN2」(2003年)
「プレステージ」(2006年)
「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」(2011年)
「X-MEN: フューチャー&パスト」(2014年)
「遠い空の向こうに」(1999年)
「ドニー・ダーコ」(2001年)
「ブロークバック・マウンテン」(2005年)
「ミッション:8ミニッツ」(2011年)
「エンド・オブ・ウォッチ」(2012年)
「ナイトクローラー」(2015年)
「ボストン ストロング〜ダメな僕だから英雄になれた〜」(2017年)
「リトル・ミス・サンシャイン」(2006年)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007年)
「LOOPER/ルーパー」(2012年)
「それでも夜は明ける」(2013年)
「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」(2015年)