夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」:トム・クルーズ健在!レベッカ・ファーガソンの足技も冴える、スリリングな娯楽大作

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(原題:Mission: Impossible - Rogue Nation)は、2015年公開のアメリカのスパイ映画です。クリストファー・マッカリー監督・脚本、トム・クルーズ主演で、スパイ組織「IMF」のスゴ腕エージェント、イーサン・ハントと、IMF壊滅を目論む組織、シンジケートとの戦いを描いています。

 

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:クリストファー・マッカリー
脚本:クリストファー・マッカリー
原案:クリストファー・マッカリー/ドリュー・ピアース
原作:ブルース・ゲラー「スパイ大作戦
出演:トム・クルーズ (イーサン・ハント)
   ジェレミー・レナー(ウィリアム・ブラント)
   サイモン・ペグ(ベンジー・ダン)
   レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト
   ヴィング・レイムス(ルーサー・スティッケル)
   ショーン・ハリス(ソロモン・レーン)
   アレック・ボールドウィン(アラン・ハンリー)
   サイモン・マクバーニー(アトリー)
   チャン・チンチュー(ローレン)
   イェンス・フルテン(ヤニク・ヴィンター)
   トム・ホランダー(英国首相)
   ナイジェル・バーバー(委員長)
   ほか

あらすじ

IMFのベテランエージェントであるイーサン・ハント(トム・クルーズ)は、謎の多国籍スパイ組織「シンジケート」の正体を探るため調査を進めていました。ある日、イーサンは指令を受けるためにIMFのロンドン支部を訪れますが、そこはすでに「シンジケート」の手に落ちており、イーサンは催涙ガスによって敵の手に落ちてしまいます。目覚めると後ろ手に拘束されており、目の前には謎の女イルサ(レベッカ・ファーガソン)と、3年前に死亡したはずのエージェントがいました。まさに拷問が始まろうとしたその時、イルサは自身の目的を告げぬまま、驚くべき格闘術でイーサンの脱出を手助けします。一方その頃、CIA長官アラン・ハンリー(アレック・ボールドウィン)の進言により、IMFは政府から解体を命じられてしまいます。しかも、過去に数々の騒動に関わっていたイーサンは、CIAによる国際手配を受けてしまいます。

それから6か月後、IMFの元メンバーはハンリーの監視を受けながら、それぞれCIAから与えられた任務をこなしていました。だが、イーサンだけはCIAから身を隠しながら、独自に「シンジケート」を追い続け、「シンジケート」が死んだと思われている各国のスパイ達が集まってできたならずもの国家であると突き止めます。一人ではその陰謀を食い止めることはできず、イーサンは仲間のベンジー(サイモン・ペグ)に協力を依頼します・・・。

レビュー・解説 

最後のハリウッド・スターとも言われるトム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」シリーズの最新作は、相変わらずスリリングで、トム・クルーズの健在ぶりを示しています。エキサイティングな脚本、豪華なキャスト、1億5000万ドルの制作費をかけたロケやアクションシーンなど、ハリウッド娯楽大作の醍醐味を満喫できます。

 

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」はシリーズの5作目で、前作「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」でドバイの高さ世界一の超高層ビル、ブルジュ・ ハリーファを登ってみせたトム・クルーズは、今作でも開始早々、高度5000フィートで飛行するエアバス A400Mの外でアクションをして見せる大判振る舞いです。

 

ジェレミー・レナー、サイモン・ペグと豪華キャストがしっかりと脇を固める中、スウェーデン女優のレベッカ・ファーガソンの活躍が光ります。イングリット・バーグマン似の彼女の役名はイルサ・ファウストで、イルサはバーグマンが名作「カサブランカ」で演じた美しい女性の名前、ファウストは悪魔に魂を売ったドイツのファウスト博士の伝説に因んだもので不穏な運命を予感させるものです。アクションの切れも良く、かつて正統派美人女優のキャサリン・ゼタ=ジョーンズが「レジュンド・オブ・ゾロ」や「エントラップメント」で見せた美しくも華麗なアクションを彷彿とさせます。

 

当初、イルサ・ファウスト役の第一候補はジェシカ・チャステインでしたが、映画の為に最長6ヶ月のトレーニングが必要だったことから、これを彼女は辞退しました。第二候補だったレベッカ・ファーガソンが主演するテレビドラマシリーズ「The White Queen」を見ていたスタジオ、トム・クルーズクリストファー・マッカリー監督は、全員一致で彼女の起用を決めました。美しいだけでなく、アクションの切れの良い彼女の起用は大正解だったのではないかと思います。彼女は敵であれ、味方であれ、足で相手を挟むのが得意で、また逃げる際にはトム・クルーズにハイ・ヒールを脱がしてもらう、トムと並んで全力疾走するなど、足がひとつのポイントになっています。

 

彼女は、アルゼンチン・タンゴが得意で教えるほどの腕前ですが、これが killer thigh (蟹ばさみ、相手を自らの両足で挟み込み倒す技)に大いに役立ったと語っており、トレードマークのように彼女のシーンにはできるだけ取り入れる様にしたとのことです。もともと体を動かすのが嫌いではなく、映画の為の一日6時間、週6日行ったという厳しいトレーニングも奏効しているようです。

 

ちょっと意外だったのが、中国の女優チャン・チンチューの出番が数十秒で、それもロングショットやアウトフォーカスが大半という点でした。「重要な役」と事前に報道されていたのですが、気づかずに見逃してしまうほどの扱いです。彼女は2005年のベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した「孔雀―我が家の風景」に出演した事で脚光を浴び、ジャッキー・チェン主演のアクション映画「ラッシュ・アワー3」(2007年)で世界的に注目されるようになりました。2009年の「夜と霧」では第29回香港電影金像奨最優秀主演女優賞ノミネートされています。流暢な英語を話し、チャン・ツィイーの再来とも言われています。

 

トム・クルーズの相手役という事前報道まであったようですが、彼女の出演は中国市場対策だったのではないかという噂もあります。中国の映画市場はハリウッドが無視できないほどの規模に成長し、2020年には米国市場を超すという予測もありますが、一方で中国は映画に対する規制が厳しく、ハリウッドはその対策に腐心しています。本作の製作にも中国資本のアリババが加わっており、チャン・チンチューの出演もそうした対策の一環と捉えることができるというものです。

 

チャン・チンチューの実力のほどを確かめるべくもない中途半端な出演ですが、ストーリーに悪影響を与えているわけではありませんので、結果だけ見れば特に問題とも思われません。が、ますます成長する中国市場が、ハリウッド映画にどのような影響を与えていくのか、興味深いところです。

 

トム・クルーズ (イーサン・ハント)

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ジェレミー・レナー(ウィリアム・ブラント)

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サイモン・ペグ(ベンジー・ダン、左)

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レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト、右)

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出番がほとんど無かったチャン・チンチュー(ローレン)

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飛行機からぶら下がるトム・クルーズ

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お約束の(?)全力疾走、今回はレベッカと一緒

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動画クリップ(YouTube) 

深々とバンクさせてバイクを駆けるトム・クルーズ

 

素晴しい足技(?)を見せるレベッカ・ファーガソン

撮影地(グーグルマップ) 

 

関連作品

トム・クルーズの出演作品Amazon) 

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ジェレミー・レナー出演作品のDVD(Amazon

  「ハート・ロッカー」(2008年)

  「ザ・タウン」(2010年)

  「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」(2011年)

アベンジャーズ」(2012年)

  「エヴァの告白」(2013年)

  「アメリカン・ハッスル」(2013年)

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2016年)

  「メッセージ」(2016年)

  「ウィンド・リバー」(2017年)

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