夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」:手軽に楽しめ、ちょっとしんみりする、犬と家族の関係を描いたコメディ

「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」(原題:Marley & Me)は、2008年公開のアメリカのコメディ映画です。ジョン・グローガンの同名エッセイを原作に、デヴィッド・フランケル監督、オーウェン・ウィルソンジェニファー・アニストン出演で、ヤンチャな犬を家族として迎え入れた夫婦の奮闘と、犬との人生のすばらしさを描いています。

 

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目次

スタッフ・キャスト  

監督:デヴィッド・フランケル
脚本:スコット・フランク/ドン・ルース
原作:ジョン・グローガン「Marley & Me」
出演:オーウェン・ウィルソン(ジョン・グローガン)
   ジェニファー・アニストン(ジェニー・グローガン)
   アラン・アーキン(アーニー・クライン)
   キャスリーン・ターナー(コーンブラット)
   ヘイリー・ハドソン(デビー)
   ヘイリー・ベネット(リサ)
   ネイサン・ギャンブル(10歳の頃のパトリック・グローガン)
   ブライス・ロビンソン(7歳の頃のパトリック・グローガン)
   フィンリー・ジェイコブセン(8歳の頃のコナー・グローガン)
   ルーシー・メリアム(コリーン・グローガン)
   ほか

あらすじ

  • 雪の舞うミシガンで結婚式を挙げたジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェニー(ジェニファー・アニストン)は、共にジャーナリストとして働く新婚カップルです。ふたりは暖かなフロリダに家を買い、新しいキャリアと結婚生活をスタートさせます。子どもが欲しいとは思っていたものの、二人にはまだ親になる心の準備が整っていません。そう打ち明けるジョンに、地方新聞社の同僚で独身貴族のセバスチャン(エリック・デイン)は、子育ての予行演習として子犬を飼えばいいと進言します。そしてジェニーの誕生日、クリーム色のラブラドール・レトリーバをプレゼントとします。
  • 二人はマーリーと名付けて育て始めますが、マーリーは、手に負えないほどやんちゃで、ほかの犬や飼い主にとびかかり、顔中をヨダレまみれにします。また、家具を噛みちぎっては食べたがるなど、マーリーは数々の騒動を引き起こすおバカな犬になってしまいます。しつけをしようと犬の訓練学校に入れてはみたものの、インストラクターのミス・コーンブラット(キャスリーン・ターナー)にサジを投げられ、お払い箱にされてしまいます。そんなマーリーに手を焼きながら、夫妻はようやく子どもを持つことを決意します。やがてジェニーは妊娠しますが、ジョンが奮発して買ったネックレスをマーリーが飲み込んでしまいます。10週間後、ジェニーが流産、悲しみに暮れるジェニーのそばに、マーリーがそっと寄り添ります。
  • やがて、夫妻は親になり、二人の心配をよそにマーリーは赤ちゃんのおむつの匂いにウットリし、よき友達になっていきます。夫妻の子どもは3人になり、新たなキャリアを求めてフィラデルフィアへと引っ越します。いつも家族のそばにはマーリーがいますが、季節はめぐり、ジョンとその家族は、マーリーがいかに自分たちにかけがえのない人生を与えてくれたかに気付くときが来ます・・・。

レビュー・解説 

気軽に楽しめ、ちょっとしんみりさせられる作品です。アメリカでは2005年10月に出版され、200万部を超えるベストセラーとなった同名エッセイの映画化作品で、駄犬(?)マーリーを家族の一員としてシンプルに描いています。相思相愛で結婚したジョンとジェニーですが、すべてうまくいっているわけではありません。ジョンは常に仕事がうまくいっているわけではありませんし、ジェニーは産後うつのようになったりします。そんな二人とマーリーとの関わりを描いています。また、マーリーがしでかす数々の悪さに、犬を飼ったことがある人は「そうそう」と共感し、結婚している人はジョンやジェニーの言動に共感する部分があるのではないかと思います。

 

人にも個性があるように犬にも個性があり、マーリーをうまくしつけられなかったのか、オーウェン・ウィルソンジェニファー・アニストンの二人の個性派俳優は彼らの個性を出しながらも前に過ぎる事無く、そんなマーリーとの関係をうまく描き出しています。原作者のジョン・グローガンはマーレーとの関係について次のように語っています。

All through Marley's life, I entertained friends and readers at his expense, trotting him out to tell stories about his hopelessly bad behaviour. After he died, I figured I owed it to him to tell the rest of the story, the whole story. Yes, he was an attention-deficit, hyperactive, nutty dog, but he had a pure heart and an incredible gift of canine-human empathy.

マーリーの生涯を通して、私は彼のどうしようもない行動をネタにしては、友達と読者を楽しませました。これはマーリーのおかげです。彼が死んだ後、私は彼のすべてを話す必要があるという借りがあることに気がついたのです。マーリーは注意欠陥・多動性のおばかな犬でしたが、彼には純粋な心と、人の気持ちを共感できるすばらしい能力があったのです。

 

子供達とも素晴しい関係でした。

...they consider our pets special members of the family and their own best friends. They were bereft when Marley died. My wife and I lost a beloved pet, but for them it was like saying goodbye to a sibling. He had been close beside them every step of the way, from infancy forward – drooling all over them. A dog is the greatest gift a parent can give a child. OK, a good education, then a dog.

子供達は、ペットが家族の特別な一員であり、彼らの最良の友達であると考えていました。マーリーが死んだ時、彼らは家族を失いました。私と妻は愛するペットを失いましたが、彼らにとっては兄弟や姉妹を失うことでした。マーリーは彼らが幼い頃から、彼らによだれを垂らしながら、一歩一歩、一緒に道を歩んできたのです。教育を別にすれば、犬は親が子供に与える最良の贈り物です。

 

マーリーとの関係を通して学んだことについて、原作者のジョン・ゴードンは次の様に語っています。

That commitment matters. That "in good times and bad, in sickness and in health" really means something. We didn't give up on Marley when it would have been easy to, and in the end he came through and proved himself a great and memorable pet.」

深く関わることが重要だということです。「健やかなる時も病める時も」は、本当に意味ある事です。諦めるのは簡単でしたが、私たちは諦めませんでした。そしてついに、彼は忘れることがのできない素晴しいペットであることを、彼自身が証明してくれました。

 

映画のエンディングに、ジョンの独白が流れます。最初にジェーンがマーリーと戯れる映像が、次に子供達と語らう映像が流れます。最後の一文は、マーリーが紛れも無く家族の一員だったことを示唆しています。

A dog has no use for fancy cars, big homes, or designer clothes. A water log stick will do just fine. A dog doesn't care if your rich or poor, clever or dull, smart or dumb. Give him your heart and he'll give you his. How many people can you say that about? How many people can make you feel rare and pure and special? How many people can make you feel extraordinary?

犬は高級車も豪邸もブランド服も求めない。枝が一本あれば、それで十分だ。あなたが金持ちでも貧乏でも、利口でも鈍くても、犬は気にしない。愛すれば、必ず応えてくれる。人はどうだろう?これほどまであなたを純粋で特別な気持ちにさせるだろうか?あなたを誇らしい思いにさせてくれる人はそれほど多くない。

 

オーウェン・ウィルソン(ジョン、右)とジェニファー・アニストン(ジェニー、左)

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マーリーのいる風景

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撮影地(グーグルマップ) 

マーリーが晩年を過ごした家の撮影地

関連作品 

「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」の原作本Amazon

  ジョン・グローガン 著「マーリー 」

  John Grogan "Marley & Me: Life and Love with the World's Worst Dog"