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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「マッドマックス 怒りのデス・ロード」:ウーマン・パワーはシリーズ復活の隠れた起爆剤?

マッドマックス 怒りのデス・ロード」(原題:Mad Max: Fury Road)は、2015年公開のオーストラリアの映画です。終末的な世界で繰り広げられる壮絶なサバイバル・バトルを描いたメル・ギブソン主演のアクション「マッドマックス」シリーズの第4作で、前作「マッドマックス/サンダードーム」から27年ぶりに製作されたものです。同シリーズで監督・脚本を務めたジョージ・ミラーが再びメガホンをとり、砂漠ばかりの荒涼とした世界に生きるマックスとフュリオサという2人の反逆者の物語を描いています。

 

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監督:ジョージ・ミラー

脚本:ジョージ・ミラー/ブレンダン・マッカーシー/ニコ・ラサウリス

出演:マックス(トム・ハーディ

   シャーリーズ・セロン(フュリオサ大隊長

   ニコラス・ホルト(ニュークス)

   ロージー・ハンティントン=ホワイトリー(スプレンディド )

   ゾーイ・クラヴィッツ(トースト)

   ライリー・キーオ(ケイパブル)

   アビー・リー・カーショウ(ダグ)

   コートニー・イートン(フラジール

   ヒュー・キース・バーン(イモータン・ジョー)

   ほか

 

【あらすじ】

舞台は、核兵器による大量殺戮戦争により生活環境が汚染され、生存者は物資と資源を武力で奪い合い、文明社会が壊滅した世界です。砂漠化し荒廃した荒野で、元警官マックスは過去に救えなかった命の幻覚と幻聴に惑わされ、狂気に侵されているのは世界なのか自分なのかわからない中、生存本能に突き動かされV8インターセプターを駆けます。流浪の途中で暴徒の襲撃に遭い、シタデルという砦に連行されたマックスは、インターセプターを奪われた上に身体を拘束され、環境汚染による疾病を患う住人に血を提供させられます。そこではイモータン・ジョーを首領とした好戦的な集団の支配のもと、地下水と農作物栽培を牛耳ることで独裁社会が築かれていました。ジョーの部隊を統率するフュリオサ・ジョ・バッサ大隊長は、3000ガロンのガソリン取引の為、ガスタウンに向かう途中、ジョーが子供を産ませる為に監禁していた5人の妻、スプレンディド、トースト、ケイパブル、ダグ、フラジールをフュリオサの生まれた「緑の地」に匿う為に、進路を東に変えます。部下の裏切りと、妻たちと、その胎内の我が子を奪われたと知ったジョーは配下の戦闘集団ウォーボーイズを引き連れ、友好関係にある人食い男爵と武器将軍の勢力を援軍に追走を開始します。ウォーボーイのニュークスの常備用血液袋として追尾車両に鎖で繋がれていたマックスは、フュリオサ追走の争いに巻き込まれます。

追跡最中に遭遇した砂嵐の中、追走車両が大破、手足の拘束が解くことのできたマックスは、フュリオサを制圧するものの追手から逃れる術を持たず、そのままフュリオサのウォー・リグに同乗する事になります。また、ジョーの直々の命令でフュリオサのウォー・リグに乗り込んだものの失敗、ジョーのお気に入りの妻が死亡してしまったことで戻れなくなったニュークスも、ジョーから逃れる妻の一人、ケイパブルに啓蒙されて一行に加わります。一昼夜をかけて走破した場所で、フュリオサはかつての仲間である鉄馬の女たちに出会うことが出来たましたが、目的の地は土壌汚染の為に既に失われている事を知ります。それでもなお荒廃した地へとあてのない旅に向かおうとするフュリオサに対し、マックスはジョーさえ除けば生きて行ける可能性の高いシタデルに戻るように諭します・・・。

 

ジョージ・ミラー監督、やりますね。27年ぶりのマッド・マックスということで、いまさら?という観があったのですが、ユニークなアクションの連続が凄いです。最初はCG、ミニチュアでという話もあったようですが、最終的に実車のリアルスタントで撮影しており、ほとんどCGは使っていないというから驚きです。撮影の苦労も多かったようです。

最初はCGでやる予定だった。その後、ミニチュアモデルで撮るという話になったが、最後はやはり本物の戦闘車を横転させて派手に炎上させることにした。(中略)オーストラリアのブロークンヒルという場所で撮影準備に入り、数百台の乗り物を作り、スタントのリハーサルを済ませた。すると15年ぶりの雨に見舞われた。平坦な赤土の砂漠地帯だったのに、あたり一面に花が咲き、広大な塩湖にはペリカンやカエルがやってきてしまった。撮影部隊は一旦解散、ロケ地が干上がるまでとりあえず18カ月間待つことにしたが、結局乾かなかった。しかたなくスタッフ、キャスト、車、バイク、大道具、小道具すべてを撤収し、オーストラリアの東海岸から西海岸へ移動し、そこからアフリカ大陸へ移った。それでやっとナミビアで撮影開始となったんだ。(ジョージ・ミラー監督)

 

ひとつ間違えば、B級映画になりかねないマッド・マックスですが、それを超えるものしているのは、神話を意識したキャラクターやデザインと、主人公のヒロイズムでしょう。

スター・ウォーズ」も「千の顔を持つ英雄」にインスパイアされている。つまり同じような神話がさまざまな文化圏で脈々と語り継がれてきているということだ。「マッドマックス」も英雄神話だ。壊れた英雄だけどね。(中略)フランスでは「車の西部劇」と言われた。スカンジナビアでは「マックスは孤独なバイキング戦士」と例えられた。1980年に日本に行った際には「マックスは侍のようだ」と言われたことを覚えているよ。当時の私はまだ外国のことをあまり知らなかったから、多くの文化圏に同じような神話の原型があるということに驚いたね。今のアクションヒーローやスーパーヒーローもローマ神話ギリシア神話の神や半神を模したものと言えるだろう。(ジョージ・ミラー監督)

 

加えて、主演のトム・ハーディと、シャーリーズ・セロンの演技が素晴らしいです。二人ともほとんどセリフがないのですが、他の役者では得られないオーラがバンバンでています。本作では、フュリオサのみならず、イモータン・ジョーの5人の妻たちや、フュリオサの昔の仲間である鉄馬の女たちなど、数多くの女性が登場、戦闘シーンでも活躍しますが、そんな中でトム・ハーディは、出しゃばることも浮くこともなく、寡黙ながらも、独特の存在感を放っています。

 

一方、シャーリーズ・セロンは丸坊主でトラックの運転席に座った姿で登場、一目で「この人、主役」と感じさせる存在感ですが、不思議と威圧感は感じません。また、フュリオサが敵に刺された時、マックスと一瞬、眼が合うのですが、この時、彼女の眼が潤んでいるように見えます。しかし、それは女性の弱さではなく、「刺されちまったよ(、無念・・・)」という表情に見えます。マッチョ系の女優というのは過去にもいたような気がしますが、美しさと強さを両立できる女優はそうそういないような気がします。

 

モデル出身のシャーリーズ・セロンは、いわゆる美人女優の枠を超える為に、「モンスター」で10kg以上体重を増やし、実在の連続殺人犯を美人の形無しの風体で体当たり演技、見事、アカデミー賞の主演女優賞を受賞しています。オスカー女優の名にあぐらをかくこともなく、「イーオン・フラックス」では、体を酷使する役も演じており、彼女ほどの大女優が、今回、丸坊主、片腕の大隊長としてバイオレントなアクション映画に出演するのは、挑戦し続ける彼女にとってのひとつの必然かもしれません。

 

南アフリカ生まれの彼女は幼い頃から、アルコール依存症の父親による家庭内暴力に悩まされていました。15歳の頃、晩に酔って帰ってきた父親に暴力を振るわれ、娘の命の危険を感じた母親が父親を射殺してしまうという悲惨な事件を経験しています。そうした過酷な経験が影響しているのかどうかわかりませんが、人並み外れて美しい彼女に、私は常々、女性離れした強さを感じています。

 

トム・ハーディがマッド・マックス新三部作の主演宣言をしており、また、シャーリーズ・セロンは準主演として押さえた演技ですが、それでも新三部作の主演はシャーリーズ・セロンでもいいという人がいるほどの、はまり役です。彼女が三部作に縛られて欲しくないし、ジョージ・ミラー監督は彼女無しでもやり遂げられる人なので、私は反対ですが・・・。

 

トム・ハーディ

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シャーリーズ・セロン

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ジョーの妻たち

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鉄馬の女たち

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強烈なキャラクター、イモータン・ジョー

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ユニークなデザイン

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ユニークなアクション・シーン

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「刺されてちまったよ(、無念・・・)」(?)と、無言のシャーリーズ・セロン

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