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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「天国の口、終りの楽園。」:奔放な性描写とユーモア、ちょっとしんみりさせるメキシカン・ロードムービー&コメディ

メキシコ映画

天国の口、終りの楽園。」(原題:Y tu mamá también)は2001年公開のメキシコのロード・ムービーです。燦々と輝く真夏の太陽のもと、メキシコシティからカリブ海沿岸のカカデュタに至る道中の庶民的なレストラン、安ホテルなどメキシコのさりげない風景と、年上の女性との忘れがたい日々を過ごした若者2人の成長を、いきいきと描いています。鑑賞に年齢制限があったものの、メキシコで2001年度の国内興行収入ナンバーワンを記録、また、第75回アカデミー脚本賞にノミネートされた作品です。

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:カルロス・キュアロン/アルフォンソ・キュアロン
撮影:エマニュエル・ルベツキ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル(フリオ)
   ディエゴ・ルナ(テノッチ)
   マリベル・ベルドゥ(ルイサ)
   フアン・カルロス・レモリーナ(ハノ)
   アナ・ロペス・メルカド(アナ)
   ヴェロニカ・ランガー(マリア)
   マリア・アウラ(セシリア)
   アルトゥーロ・リオス(エステバン)
   ほか

あらすじ

17歳のフリオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とテノッチ(ディエゴ・ルナ)は、学校を卒業したばかりの17歳の夏、お互いの恋人がヨーロッパ旅行に行ってしまった為、性欲を持て余しながら男同士のパーティに明け暮れていました。そんなある日、テノッチの親戚の結婚式で、2人はテノッチの従兄弟の妻であるスペイン女性、ルイサ(マリベル・ヴェルドゥー)に出会います。彼女の気を引くために口から出まかせで言った「天国の口(Boca del cielo)」というビーチの話を、ルイサは鼻であしらいます。しかし、ルイサの夫(テノッチの従兄弟)が突然、電話で不倫していたことを告白、ルイサはベッドでひとり泣き崩れます。翌日、テノッチに電話をかけた彼女は、彼とフリオが行きたがっていた天国の口と呼ばれる伝説の海岸に、一緒に連れて行ってくれと告げます。かくして3人は車に乗って、メキシコ・シティを後にします。ルイサはやがてテノッチともフリオとも肉体関係を持ち、またテノッチとフリオは互いにそれぞれの恋人と寝たことがあると白状しケンカになりますが、仲直りさせられ、「天国の口」を目指して、旅を続けます・・・。

レビュー・解説 

二人の若者と人妻の珍道中を描いたこのロード・ムービーは、奔放な性描写や開放的なユーモアに溢れ、そしてちょっとしんみりとさせる素晴らしいコメディです。

 

1995年に初の米国での長編映画となる「リトル・プリンセス」を監督、次いで「大いなる遺産」を制作したアルフォンソ・キュアロンが、メキシコに戻り、メキシコ人キャストで制作した映画がこの「天国の口、終りの楽園。」で、弟カルロス・キュアロンとともに彼が10年以上暖めていたアイディアの実現でもありました。撮影には、その長回しが代名詞のようになったエマニュエル・ルベツキが参加しており、開始30分後に3分ほどの長回しを披露しています。

 

<オチバレ>

友達の彼女とも寝ちゃうような無邪気なフリオとテノッチですが、お互いにそれを暴露したことによりさすがに険悪になってしまいます。ルイサの仲裁によりなんとか仲直り、旅を続けます。口からでまかせの「天国の口」でしたが、なんとかたどりついた美しい海岸で漁師に案内されたビーチの名前が、なんと「天国の口」!実在したのです。そこで三人は楽しいひと時を過ごし、フリオとテノッチは帰路につき、ルイサは残ります。帰った後、恋人と別れたフリオとテノッチに、それぞれ新しい恋人ができますが、二人の間は疎遠になります。二人は大学に進学しますが、街で再会した二人は以前と打って変わって無口です。海岸で楽しい時を過ごした一ヶ月後に、ルイサがガンで亡くなったことを、テノッチはフリオに告げます。ルイサは、自分がガンで余命いくばくもないことを知っていました。三人が行った場所は、ルイサにとってまさに「天国の口、終りの楽園」だったのです。

ルイサは、末期がんと夫の浮気を抱え込んでいました。二人の無邪気な若者はそんなことはつゆ知らずでしたが、だからこそ三人の関係が成立したのでしょう。やがて、二人の若者は、あの場所がルイサにとって本当に「天国の口、終りの楽園」だったことを知り、苦い思いをすることになります。いつまでも無邪気でいられればいいのですが、人はそうしてひとつひとつ大人になっていきます。単なる若者と年上の女性の性の物語に終わらず、無邪気な性を描きながら、そこに人としての成長を織り込んでみせた見事な映画です。また、劇中に挿入される貧しいメキシコの風景も、大人になる前のメキシコを象徴していますが、最後の訪れる「天国の口、終りの楽園」はその後、保護区になり、漁師は清掃員になったことが語られます。

<オチバレ終り>

 

開放的な性描写

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三人の旅は続く

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これが天国の口?

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夜はどんちゃん騒ぎ

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撮影地(グーグルマップ)

撮影に使用されたビーチ

 

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関連作品 

アルフォンソ・キュアロン監督作品

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天国の口、終わりの楽園。 (吹替版)

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