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夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「ユージュアル・サスペクツ」:巧妙精緻な脚本、ケヴィン・スペイシーの好演、無名だったベニチオ・デル・トロが際立つ

アメリカ映画

ユージュアル・サスペクツ」(原題:The Usual Suspects)は、1995年公開のアメリカのクライム・ミステリー&サスペンス映画です。5人の悪党が集まった犯罪計画の顛末を、回想で錯綜させながらトリッキーかつ巧緻な構成で描いています。アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」を下敷きにしたという計算された脚本が話題を呼び、クリストファー・マックァリーが第68回アカデミー脚本賞を、またケヴィン・スペイシーは同助演男優賞を受賞しました。

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー
出演:ガブリエル・バーン(ディーン・キートン)
   ケヴィン・スペイシー(ヴァーバル・キント)
   スティーヴン・ボールドウィン(マイケル・マクマナス)
   ケヴィン・ポラック(トッド・ホックニー
   ベニチオ・デル・トロ(フレッド・フェンスター)
   チャズ・パルミンテリ(デヴィット・クイヤン捜査官)
   ピート・ポスルスウェイト(コバヤシ)
   スージー・エイミス(イーディ・フィネラン:キートンの恋人)
   ジャンカルロ・エスポジート(ジャック・ベア:FBI捜査官)
   ダン・ヘダヤ(ジェフ・ラビン巡査部長)
   ピーター・グリーン(レッドフット)
   ほか

あらすじ

ある夜、カリフォルニアのサン・ペドロ埠頭に停泊していた船が爆発・炎上、船はマフィアの麻薬密輸船であり、コカイン取引現場からブツを奪おうとした一味と組織の争いが原因と思われました。27人が死亡、9100万ドルが消え、生き残ったのは2人、しかも1人は重傷で、関税特別捜査官のクイヤン(チャズ・パルミンテリ)はただ1人無傷で生き残った男、ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)を尋問します。

話は6週間前に遡ります。匿名の情報を得たニューヨーク市警察と合衆国関税局は、銃を大量に積んだトラック強奪に関わったと見られる5人の常連の容疑者を連行します。元汚職警官ディーン・キートン(ガブリエル・バーン)は、数年前に自分の死を偽装しましたが、今は刑事弁護士の女友達イーディ(スージー・エイミス)の助けで、表面上は更生の道を歩んでいました。気弱なヴァーバルは、半身が不自由ですが計画の天才。タフなマクナマス(スティーヴン・ボールドウィン)は家宅侵入のプロで、クレイジーな犯罪者フェンスター(ベニチオ・デル・トロ)とコンビを組んでいます。トッド・ホックニー(ケヴィン・ポラック)は、ハードウェアと爆破のプロ。市警と関税局はキートンに狙いを定めますが、イーディから証拠不十分を理由に解放を要求されます。

釈放された5人の犯罪者はこれを機会に結束、市警の汚職警官の金儲けの手段で、禁制品を乗せて走るパトカーの襲撃を計画、みごと大量のエメラルド原石強奪に成功します。奪った獲物をさばくため、L.A.に向かった5人はマクマナスの知り合いの故買屋レッドフッド(ピーター・グリーン)と取り引きしますが、新たにテキサスの宝石商襲撃を持ちかけられます。彼らは迷いながらも襲撃を実行しますがうまくいかず、宝石商とボディガードを全員殺してしまいます。しかも、レッドフットの説明とは違い、獲物は麻薬でした。5人はレッドフッドを問い詰め、伝説的なギャング、カイザー・ソゼの右腕と名乗る謎の英国人コバヤシ(ピート・ポスルスウェイト)から頼まれたことを聞き出します。やがて5人の前にコバヤシが現れ、拘置所で彼らが会うように仕組んだのは実はソゼであり、それぞれがそうとは知らずにソゼから何らかの物を盗んだ過去があるのだと言います。ソゼの商売敵であるアルゼンチン・ギャングがサン・トロペ沖の船で大量のコカイン取引を予定しており、ソゼへの借りは船と積み荷を破壊すれば帳消しにすると、コバヤシは仕事を強要します。生命の保証はありませんが、9100万ドルの分け前も約束されます。とまどう5人でしたが、嫌がって逃げたフェンスターが全身に銃弾を浴びて殺され、残った4人はコバヤシに従わざるをえなくなります・・・。

レビュー・解説 

アカデミー脚本賞を受賞した素晴らしい脚本と、同助演男優賞を受賞したケビン・スペイシーの巧みな演技が見どころの映画です。脚本を受け取った時に、ケビン・スペイシーは、それを理解する為に、二度、繰り返して読まねばなりませんでした。彼は、左半身に麻痺を持つヴァーバル・キントを演じる為に、麻痺が性格に与える影響を医者に聞いたり、左手の指を糊で塗り固め、左足の靴底をすり減らすなどの役作りをして撮影に臨んでいます。

 

ケヴィン・スペイシーの巧みな演技もさることながら、よく容疑者としてしょっぴかれる一癖も二癖もあるワルを、主演のガブリエル・バーンを始め、どの俳優もよく演じています。中でも、落ち着きないのチンピラ風のフレッド・フェンスターを演ずるベニチオ・デル・トロが赤い幅広の襟のシャツを着て登場、連行されるシーンには目が釘付けになります。1988年に映画デビューしたベニチオ・デル・トロは、まだ下積み中でしたが、このシーンひとつでも、ただ者ではない演技の切れを感じます。

 

べニチオ・デル・トロは、この映画で何を言っているのかわからないような英語を使っており、他の役者のアドリブのリアクションを引き出しています。どうせ、見せしめに殺される役なので、彼が何を言うかは関係ないと、彼は語っており、共演のケヴィン・ポーラックは、べニチオ・デル・トロはキャラを放り出す事により場を乗っ取ったと、冗談にしています。

 

さらに、有名な5人の容疑者が並んでセリフを言わされる、この映画のコンセプトとなったシーンでは、12回のテイクのうち、ベニチオ・デル・トロが11回、放屁したという伝説があります。ブライアン・シンガー監督はこのシーンをシリアスに撮りたがっており、なかなか思う様に撮れずに怒り狂いましたが、結局、最もシリアスに見えないテイクが採用されました。このシーンで、主演のガブリエル・バーンがクスリと笑っているのがわかります。ベニチオ・デル・トロは放屁の事実を認めていますが、誰がやったのかは誰もわからないとしています。

 

よく容疑者としてしょっぴかれる一癖も二癖もあるワルですので、何を言っているのかわからないような英語を使う奴が一人くらいいても不思議はないし、取り調べの最中に放屁するような奴が一人くらいいても不思議はありません。セリフに重要性がないと踏んだベニチオ・デル・トロの思い切った役作りだったのではないかと思います。最初に連行される登場シーンひとつで、私には十分にインパクトがあったのですが、才能がひしめく映画界ではこのくらいやらないと目立たないのかもしれません。

 

彼はこの作品で注目され、インディペンデント・スピリット賞助演男優賞を受賞し、にわかに脚光を浴びました。さらに3年後にもう一度、同賞の助演男優賞を受賞し、5年後の2000年に「トラフィック」で見事、アカデミー助演男優賞を勝ち取りました。彼をこの映画に採用することを提案したケヴィン・スペイシーは、自身がオスカー俳優になる実力があっただけではなく、将来のオスカー俳優を見極める目があったことになります。

 

有名な有名な5人の容疑者が並ぶシーン 

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左から、ケヴィン・ポラック、スティーヴン・ボールドウィンベニチオ・デル・トロガブリエル・バーンケヴィン・スペイシー

 

アカデミー助演男優賞を受賞したケヴィン・スペイシー

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本作品で注目されたベニチオ・デル・トロ

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5人の容疑者が順にセリフを言わされるシーン

 

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