夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「リトル・ロマンス」:14歳のダイアン・レインのデビュー作は、爽やかなロマンティック・コメディ

リトル・ロマンス」(原題:A Little Romance)は、1979年公開のアメリカのロマンディック・コメディ映画です。ベネチアにあるため息橋の下で日没の瞬間にキスした恋人たちは永遠の愛を手にすることができるというサンセット・キッスの伝説に憧れた13歳の少女が、ため息橋橋の下でキスをする為に同じ年のボーイフレンドとベニスに行く話を、浮気性の母への反発、理解のある父、粋な詐欺師との交流などを交えて描いています。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ジョージ・ロイ・ヒル
脚本:アラン・バーンズ
原作:パトリック・コーヴァン「E=mc2 Mon Amour」
出演:テロニアス・ベルナール(ダニエル)
   ダイアン・レイン(ローレン)
   ローレンス・オリヴィエ(ジュリアス)
   アーサー・ヒル(リチャード)
   サリー・ケラーマン(ケイ)
   デヴィッド・デュークス(ジョージ )
   アシュビー・センプル(ナタリー)
   グラハム・フレッチャー=クック(ロンデ)
   アンドリュー・ダンカン(ボブ)
   クローデット・サザーランド(ジャネット)
   ジャック・モーリー(ルクレール警部)
   ほか

あらすじ

  • パリ郊外のアパルトマンで、タクシー運転手の父と2人暮らしの13歳の少年ダニエル(テロニアス・ベルナール)は、記憶力と数字に強い天才的な頭の持ち主で、競馬の予想も正確な映画マニアです。ある日、学校の課外授業でベルサイユ宮殿を見学にした時、ダニエルはローレン(ダイアン・レイン)という美しい少女と知り合います。そこでは、俳優のブロデリック・クロフォード主演の映画の撮影が行なわれており、口ーレンは、監督のジョージ(デイヴィッド・デューク)と恋愛中の母ケイ(サリー・ケラーマン)と一緒でした。彼女は結婚歴3回、今では富裕なアメリカ人実業家リチャード(アーサー・ヒル)の妻という恵まれた身分にもかかわらず、ジョージを追い回していました。
  • IQが高く、哲学と数学が得意なるも友達の少ないローレンは、ダニエルと意気投合、再会を約束して別れます。ルーブル宮殿の庭園で再会した2人は、ふとしたことでジュリアス(ローレンス・オリヴィエ)という老人と知り合いになります。彼は2人に、ベネチアにあるため息橋(Ponte dei Sospiri)の下で日没の瞬間にキスした恋人たちは永遠の愛を手にすることができるというサンセット・キッスの伝説を聞かせ、ふたりの胸をときめかせます。ローレンの誕生会でちょっとしたトラブルが発生、それがきっかけで母親に交際を反対されたローレンは、両親が近くアメリカに帰国するのを知り、その前にサンセット・キッスの伝説を体験したいと考え、ダニエルとべネチア行きを決意します。
  • ジュリアスの協力で競馬で必要なお金を得た2人は、ジュリアスと共に早速ベネチア行きの列車に乗り込みますが、途中、パリの友達ナタリー(アシュビー・センブル)に入れた電話を、ナタリーが聞き間違えて、ローレンが誘拐されたことになり、捜査が開始されます。ローレンとダニエルが国境を越えてイタリアに向ったことをキャッチしたパリ警察は、同行している男が詐欺師でスリという証拠もつかみ、ベネチア警察へ新たな捜査指令を出します。一方、途中で大切な金を紛失し途方にくれていた3人は、ヒッチハイクしながら先を急ぎます。途中、車に乗せてくれたカップルから金を失敬したジュリアスは、自分の正体を子どもたちに話します・・・。

レビュー・解説

ダイアン・レインのデビュー作となったこの作品は、さらりと爽やかなヒューマン&ロマンティック・コメディで、パリに住む13歳のアメリカ人少女がため息橋の言い伝えに憧れ、橋の下でキスをする為にボーイフレンドとベニスに行く話を、浮気性の母への反発、理解のある父、粋なスリ師との交流などを交えて描いています。

 

ダイアン・レイン、テロニアス・ベルナール、ともに撮影時14歳、物語の設定は13歳で、二人は大人顔負けの知能を持ち、それが災いしてか友達が少ないのですが、根には屈託のない子供らしさを持っています。ローレンス・オリヴィエをして「グレース・ケリーの再来」と言わしめたダイアン・レインは、知性、品がありながらも屈託のない少女を爽やかに演じています。

 

テロニアス・ベルナールはほとんど英語ができず、また演技の経験もありませんでしたが、ジョージ・ロイ・ヒル監督の家で一ヶ月間、英語と演技の特訓を受けた上で、撮影に臨んでいます。映画では堂々とした演技です。

 

また、ローレンス・オリヴィエなくして、この映画は語れないでしょう。粋で話術の巧み老人がふたりの夢をかなえるという、狂言回し的役割を老練な演技力で軽妙洒脱に演じています。撮影時、ローレンス・オリヴィエ血栓症と肺炎からの病み上がりでしたが、全くそうした事を感じさせない演技です。

 

ため息橋(Ponte dei Sospiri)は、16世紀に架けられたヴェネツィアの橋です。白の大理石で造られたこの橋には覆いがあり、石でできた格子付の窓がついています。ドゥカーレ宮殿の尋問室と古い牢獄を結ぶこの橋は、ヴェネツィアの美しい景色を見られるのはこれが最後と投獄される囚人がため息をつくというところから、19世紀にバイロンが名づけたものです。地元の言い伝えで、恋人同士がこの橋の下で日没時にゴンドラに乗ってキスをすると永遠の愛が約束されると言われています。

 

ローレンス・オリヴィエと共演したこの作品でダイアン・レインの演技が絶賛され、様々な雑誌のカバーを飾るなど一時は大変な人気になりました。その後フランシス・フォード・コッポラに出会い、彼の作品の常連となりますがヒットはせず、19歳で映画から遠ざかります。 3年後にカムバックするものの、女優としてはしばらく低迷、2000年頃から再び注目されはじめ、2002年「運命の女」で第75回アカデミー賞主演女優賞にノミネート、以降、「トスカーナの休日」、「理想の恋人.com」など、大人の女優として活躍しています。

 

これが映画デビュー作のダイアン・レイン(撮影当時14歳)

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相手役のテロニアス・ベルナール(撮影時14歳)

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粋な詐欺師を演じるローレンス・オリヴィエ

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浮気性の母を演じるサリー・ケラーマン

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理解のある父を演じるアーサー・ヒル

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デート

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競馬でひと稼ぎ

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いざ、列車でベニスへ

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途中からヒッチハイク

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自転車の草レースに紛れ込む

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ベニスに到着、ゴンドラに乗ろう!

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撮影地(グーグルマップ)

  • ベニスのためいき橋

 

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関連作品

ジョージ・ロイ・ヒル監督作品のDVD(Amazon

  「明日に向って撃て!」(1969年)

  「スティング」(1973年)

 

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  「ランブルフィッシュ」(1983年)

  「コットンクラブ」(1984年)

  「オーバー・ザ・ムーン」(1999年)

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