夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「エド・ウッド」:’50年代のハリウッド、めげずに好きな映画を撮り続ける青年とB級映画の舞台裏

エド・ウッド」(原題:Ed Wood)は、1994年公開のアメリカの伝記映画です。「史上最低の映画監督」と言われたエド・ウッドの愛すべき半生を、「エドの同類」を自認するティム・バートン監督、ジョニー・デップの主演で描いています。往年の怪奇スター、ベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーとそのマスクを再現したメイクが、第67回アカデミー賞助演男優賞と、メイクアップ賞を受賞しています。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ティム・バートン
脚本:スコット・アレクサンダー/ラリー・カラゼウスキー
出演:ジョニー・デップエド・ウッド
   マーティン・ランドーベラ・ルゴシ
   サラ・ジェシカ・パーカー(ドロレス・フーラー)
   パトリシア・アークエット(キャシー・オハラ)
   ジェフリー・ジョーンズ(アメージング・クリズウェル)
   ビル・マーレイ(バニー・ブレッキンリッジ)
   リサ・マリー(ヴァンパイラ)
   ジョージ「ジ・アニマル」スティール(トー・ジョンソン)
   ジュリエット・ランドー(ロレッタ・キング)
   ヴィンセント・ドノフリオオーソン・ウェルズ
   メローラ・ウォルターズ(秘書#2、ノンクレジット)
   ほか

あらすじ

  • 1950年代のハリウッド。映画監督を目指す青年エド・ウッドジョニー・デップ)は、映画スタジオで使い走りの仕事をしながら、いつの日か第二のオーソン・ウェルズになることを夢見ていました。恋人の女優ドロレス・フラー(サラ・ジェシカ・パーカー)、ゲイのバーニー(ビル・マーレイ)ら仲間達と芝居を上演するものの、なかなか成功へのチャンスを掴めずにいましたが、エドは楽天的でした。
  • ある日、性転換した男の話を映画化すると小耳にはさんだ彼は、「僕は女装が趣味だから、人に言えない辛さが分かる」とプロデューサーに売り込みますが、追い返されます。その帰り道に、エドはドラキュラ俳優として一世を風靡した往年の怪奇スター、ベラ・ルゴシマーティン・ランドー)と出会います。口上役として出演するルゴシをエサに、彼はB級映画会社のプロデューサーを説き伏せ、バニーやドロレスらの協力を得て、自ら監督・脚本・主演する性転換の映画「グレンとグレンダ」を完成させます。女装趣味を映画に反映させたことによりエドの女装癖が公になると、ドロレスは嫌悪感を抑えての出演でした。「グレンとグレンダ」の出来の悪さにプロデューサーは激怒、映画は地方上映のみとなりました。
  • この作品を履歴書代わりに次の作品に向けて売り込みますがうまく行くはずもなく、エドは自分で資金を集めることになります。その間にもエドの元には、頭の足りない巨漢プロレスラーのトー・ジョンソン(ジョージ「ジ・アニマル」スティール)、インチキ予言者クリズウェル(ジェフリー・ジョーンズ)など、一風変わった仲間たちが集まってきました。次回作の「怪物の花嫁」には、バーでスカウトした女優志願のロレッタ(ジュリエット・ランドー)も加わり撮影が開始されますが、資金難で撮影は幾度も中断、また制作資金の負担を条件にロレッタを主演にした為、ドロレスとの関係は険悪になり、アンゴラのセーターと女装に執着するエドにあきれたドロレスは怒りを爆発させて彼の元を去ります。失意のうちにテレビで人気の妖婦ヴァンパイラ(リサ・マリー)に出演のアプローチをしますが、けんもほろろでした。完成した映画の出来も観客の受けも散々で、更に体調を崩したルゴシが薬物中毒のリハビリ施設に入院することになり、エドはそれに付き添います。
  • ルゴシが入院している病院で心優しい女性キャシー(パトリシア・アークエット)と出会ったエドは、遊園地のデートで自らの女装癖について告白しますが、彼女は「男性として愛してくれるなら」とそれを受け入れエドの伴侶となります。一方、ルゴシは治療費が続かず施設を退院することになりましたが、ルゴシの命はもう先が長くないことを医師から知らされたエドは、せめて本人を元気づけようと新作映画と称して自宅前でささやかな撮影を行います。間もなくルゴシは心臓発作で亡くなり、彼はドラキュラの衣装で埋葬されます。
  • ルゴシの葬式のあと気力を失ったエドですが、偶然出会った教会の牧師が「宗教映画を作りたい」と言うのを聞いて、自分の新たな作品につなげようと思いつきます。資金を調達した彼は、史上最悪の映画と後世に名を残す「プラン9 フロム・アウタースペース」に着手、ヴァンパイラの出演も取り付け、ルゴシの形見のフィルムや多くの仲間たちと共に撮影に入ります。ところが、今回の出資者は人気の牧師を主演に据えようとしたり、撮影にあれこれ口を出し、エドは爆発寸前、お気に入りのアンゴラを着ても心が落ちつかない彼は撮影所を飛び出します。やけ酒をあおる為に入ったバーで尊敬するオーソン・ウェルズヴィンセント・ドノフリオ)と遭遇、彼から「夢のためなら闘え、他人の夢を撮ってどうなる?」と諭されたエドは胸を張って撮影所に戻り、出資者の横やりをねじ伏せて、作品を完成させます。プレミア上映の夜、「この映画をベラ・ルゴシに捧げる」と挨拶したエドは、これこそ最高傑作だと感慨に浸ります。そして上映が終わった後、自分を支えてくれたキャシーにプロポーズします。

レビュー・解説 

映画を作るのが大好きで、逆境にもめげず、委細かまわず映画を作り続けるエド・ウッドが何よりも魅力的です。また、舞台も50年代のハリウッドと映画製作が今よりシンプルな時代で、好きなだけで撮れてしまうB級映画製作の舞台裏が見え隠れして楽しめます。

 

エド・ウッドは成功することなく1978年に亡くなってしまいますが、上映権を安く買いたたかれ深夜テレビの映画枠で繰り返し放送された「プラン9・フロム・アウタースペース」がカルト的人気を得ました。これが評論家の目に止まり、1980年に「ゴールデンターキー賞」という本で「歴代最低映画」として紹介され、彼が再評価されるようになりました。最低最悪の映画ばかり作り、評価も最悪であり続けたにもかかわらず、映画制作に対する熱意や情熱を失わなかった点が評価されています。

 

シンプルな撮影風景〜「エド・ウッド

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登場人物のほとんどは実在した人物です。なかでもドラキュラ俳優として一世を風靡した往年の怪奇スター、ベラ・ルゴシをめぐる感動的なエピソードにはかなりの時間をかけています。ベラ・ルゴシを熱演したマーティン・ランドーも素晴らしく、まさにアカデミー助演男優賞に値する演技です。

 

怪奇俳優ベラ・ルゴシに扮するマーティン・ランドーの熱演〜「エド・ウッド

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怪奇映画を模したオープニングに、キャストの墓標が出てくるのには笑ってしまいます。

 

サラ・ジェシカ・パーカーの墓標〜「エド・ウッド

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二十年以上前の撮影で、皆さん若いです。サラ・ジェシカ・パーカーのセリフに「私って馬面?」(Do I really have a face like a horse?)とあり、思わずクスリ。

 

サラ・ジェシカ・パーカー(手前)とジュリエット・ランドー〜「エド・ウッド

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先日、「6歳のボクが、大人になるまで。」で、パトリシア・アークエットのオッカサンぶりを拝見したのですが、二十年前は随分と美人だったのにびっくり。 

 

キャシーを演じるパトリシア・アークエットは意外と(?)美人〜「エド・ウッド

パトリシア

 

オカマの役者バニーを演じるビル・マーレイ〜「エド・ウッド

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インチキ予言者クリズウェルを演じるジェフリー・ジョーンズ〜「エド・ウッド

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妖婦ヴァンパイラ演じるリサ・マリーはモデル・女優・ダンサーで、学生時代からモデルを始め「カルバン・クライン」のモデルだったこともある美人。長年ティム・バートンのパートナーであり彼のミューズでした。

 

妖婦ヴァンパイラには勿体ないくらいの美人女優リサ・マリー〜「エド・ウッド

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女装も様になる(?)ジョニー・デップ〜「エド・ウッド

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史上最低な監督と称されるエド・ウッドですが、初期の作品「グレンとグレンダ」、「怪物の花嫁」、「プラン9・フロム・アウタースペース」は多くのファンを持ちます。この映画でもこれら三作品を中心に描いており、再現シーンも出てきます。

 

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動画クリップ(YouTuve)

プラン9・フロム・アウタースペース」の予告編

 

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関連作品 

ティム・バートン監督 X ジョニーデップコラボ作品のDVD(Amazon

  「シザーハンズ」(1990年)

  「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)

  「ティム・バートンのコープスブライド」(2005年)

  「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」(2007年)

    「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)

  「ダーク・シャドウ」(2012年)

 

ティム・バートン監督作品

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エド・ウッド (字幕版)