夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「ベイマックス」:発明、仲間、和洋折衷の未来都市が素晴らしいディズニー・アニメ

「ベイマックス」(原題:Big Hero 6 )は、2014年公開のアメリカの3Dアニメ映画です。6人の日本人スーパーヒーローを主人公としたマーベルコミックのアメコミ作品「ビッグ・ヒーロー・シックス」を原案とし、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが製作、近未来の架空の都市を舞台に兄を失い心を閉ざした少年と癒し系ロボットとの心の交流を描いています。第87回アカデミー賞の長編アニメ映画賞などを受賞しています。

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ
脚本:ジョーダン・ロバーツ/ドン・ホール
製作:ロイ・コンリ/総指揮:ジョン・ラセター
出演:ヒロ・ハマダ(主人公、ロボット工学の天才少年、ロボット・ファイトに熱中)
   ベイマックス(ヒロの兄が開発したケア・ロボット、空気の入った柔らかい体)
   ミニマックス(日本版コミカライズに登場する小さなベイマックス)
   キャス・ハマダ(ヒロとタダシの叔母で、2人の親代わり、自宅でカフェ経営)
   タダシ・ハマダ(ヒロの兄で工科大学生、爆発事故で命を落とす)
   ゴー・ゴー・トマゴ(タダシの工科大学の友人、女性、クールでぶっきらぼう)
   ワサビ(タダシの工科大学の友人、ドレッドヘアーが特徴の大柄な黒人男性)
   ハニー・レモン(タダシの工科大学の友人、高身長で眼鏡をかけた金髪の女性)
   フレッド(工科大学に出入りするタダシの友人、大学のマスコットキャラ)
   メガ・ボット(ヒロが操るロボット・ファイト用のメカ)
   ヒースクリフ(フレッドの家の執事、どんな時でも表情を出さない)
   アリステア・クレイ(技術会社クレイテック社長、ヒロの才能に興味を持つ)
   ロバート・キャラハン(工科大学の教授、ロボット工学の第一人者)
   マイクロボット(ヒロが開発した小さいメカ)
   アビゲイル・キャラハン(キャラハン教授の娘、行方不明のテストパイロット)
   ミスターヤマ(ヤクザのボス、口が悪い)
   ほか

あらすじ

未来都市サンフランソウキョウに住む14歳の少年、ヒロ・ハマダには天才的な科学の才能がありますが、非合法のロボット・ファイトに明け暮れていました。見かねた兄のタダシは、自分の所属する工科大学へ彼を連れていきます。タダシの友人の「科学オタク」たちの発明品や、兄の開発した白くて風船の様なケアロボット「ベイマックス」に刺激されたヒロは、大学への飛び級入学を決意します。入学するためには、大学の研究発表会でタダシの恩師でロボット工学の第一人者ロバート・キャラハン教授が感心するような独創的発表をしなければなりません。タダシや大学の仲間たちの協力により、ヒロは発明品を完成させ、発表会でプレセンを行ないます。ヒロの発明した「マイクロボット」は指先ほどのサイズで、操作者の頭部に装着した神経トランスミッターのコントロールで互いに引き寄せあって集合体になり、思うままの形状に変化させることができる画期的な発明でした。ヒロは入学を許可されますが、会場で火災が発生、タダシはキャラハン教授を助けようと炎の中に飛び込み帰らぬ人となってしまいます。兄タダシと尊敬するキャラハン教授、マイクロボットを一度に失ったヒロは心を閉ざして部屋に引きこもりますが、彼の言葉に反応したベイマックスが姿を現します。ベイマックスはタダシに与えられた「傷ついた人の心と体を守る」使命に従いヒロを癒そうとし、ヒロの手元に残されていた一片のマイクロボットの反応を頼りに街の探索を始めます。ヒロとベイマックスは古びた倉庫にたどり着き、火災で失われたはずのマイクロボットが大量に生産されているのを発見しますが、仮面を被った謎の男に遭遇し、男が操る大量のマイクロボットに襲われ命からがら逃げ帰ります。タダシの死がマイクロボットを狙った者による犯行と推理したヒロは、真相を知る為に仮面の男と対決しようとベイマックスに戦闘用のプログラムを組み込み、飛行スーツを作ります。ヒロは仲間たちにも、それぞれに合わせたパワーアップ装置を開発します。ベイマックスのスキャンにより孤島の隔離施設に仮面の男を発見、ヒロと仲間たちは踏み込んで、そこに残された録画映像から、物質転送装置の実験でテストパイロットが消息不明になったことを知ります。そこへマイクロボットを駆使する仮面の男が現れヒロ達は翻弄されますが、仮面の男の正体が火災で死亡したはずのキャラハン教授であること、転送装置の事故で行方不明になったパイロットがキャラハンの娘であることがわかり、ヒロはキャラハンがクレイに復讐する計画と推理します・・・。

レビュー・解説

愉快で楽しくスマートにアニメ化された「ベイマックス」は、キビキビとテンポ良く、アクション満載の、感動的な作品です。


ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ製作のアニメ映画として初めてマーベルコミックの登場人物を主人公とした作品で、鈴をイメージしたつぶらな瞳を持つケア・ロボット、ベイマックスのデザインをはじめ、サンフランシスコと東京が融合したかのような都市など、日本の文化を大きく取り入れたファンタジーです。

 

兄のタダシがヒロを連れていったラボで、

  • タダシの友人の「科学オタク」たちが手がけた数々の発明品をみるシーンや、
  • 仮面の男と対峙する為にメンバーのそれぞれの研究を活かして、パワーアップするシーン

が素晴らしいです。実は、映画化に際し設定は原作から大きく変更されており、

  • チームメンバーは日本人のみから多人種の混成チームへ、
  • ベイマックスはドラゴン風の顔を持つ人造生命体から看護ロボットへ、
  • ストーリーも超能力を持ったヒーローが悪を倒すのではなく、メンバーのそれぞれが自身の能力を活かして協力する姿や主人公を取り巻く友情や家族愛に、力点が置かれる形に

改変されています。この変更は素晴らしく、この映画を観た子供達が発明に興味を持ったり、仲間のひとりひとりの得意技を生かしながら協力していく姿に共感してくれたら嬉しいと思います。

 

また、作品の舞台が原作の東京から、東京とサンフランシスコを混ぜ合わせた未来の架空の都市「サンフランソウキョウ」へと変更されていますが、サンフランシスコをベースに、桜や東京の風景など日本的要素が多く散りばめられ、一種独特の魅力的な街、サンフランシスコの様な、東京のような、でもそのどちらでもない一種独特の雰囲気を持つ魅力的な街が描かれています。細部にも凝っており、ゆっくりと探索してみたい気になります。

 

科学オタクの研究室〜「ベイマックス」

ヒロ:長くかかる?
タダシ:すぐ済むよ。ここが俺の研究室だ。
ヒロ:オタクの巣ね。
ヒロ:電磁サスペンション?
ゴーゴー:何者?
タダシ:ゴーゴー、弟のヒロだ。
ゴーゴー:「オタクの巣」へようこそ。
ヒロ:自転車に電磁サスペンション?
ゴーゴー:回転軸の抵抗がないから速いはずだけど、未完成。
ワサビ:ラインの中に入るな。
タダシ:ワサビ、弟のヒロだ。
ワサビ:いいものを見せよう。受け取れ。
ヒロ:レーザー誘起プラズマ?
ワサビ:磁気を閉じ込めて高精度にした。
ヒロ:キレイに片付いているね。
ワサビ:置き場所が決まっている。
ゴーゴー:貸して。
ワサビ:俺の城に入るな!
ハニーレモン:失礼、通ります!
ハニーレモン:タダシ!もしかして、ヒロ君?お噂はかねがね!いい時に来たわ。
ヒロ:炭化タングステン
ハニーレモン:180キロ分よ。見て、凄いんだから。過塩素酸とコバルト、過酸化水素を加え、230度まで加熱、完成、素敵でしょ?
ヒロ:ピンクだ。
ハニーレモン:ここからが見物よ。
ハニーレモン:驚いた?金属を脆化させたの。
タダシ:ハニーレモン。 ヒロ:ハニーレモン、ゴーゴー、ワサビ?
ワサビ:ワサビをこぼしたのはたった一度だけだ。
タダシ:フレッドが命名した。
ヒロ:どの人? フレッド:俺の事だよ。
フレッド:ビビるな、ただのかぶり物だよ。フレッドだ、ヒルは大学のマスコット。夜もな。
ヒロ:専攻は?
フレッド:俺は学生じゃなく、科学愛好家だ。火を噴くトカゲに変身したいが、却下された。

 

科学オタクたちの戦闘力アップ〜「ベイマックス」

ヒロ:センサーを改良して一度にスキャンする。
ヒロ:みんなの戦闘力も上げなくちゃ。
ワサビ:誰の?
ベイマックス:喪失感のケアは友人のサポートが必要。
フレッド:面白くなってきた。
ワサビ:オタクには無理だ。
ハニーレモン:力になりたいけど、私たちの力じゃ・・・。
ヒロ:持っている能力を生かせればいい。
ゴーゴー:親友のタダシのためよ。やるわ。
フレッド:感じるか?俺たちの物語が始まる。スーパーヒーローになる!
ヒロ:制御装置の仮面を奪えば奴は力を失う。
フレッド:スーパージャンプスーパージャンプ!火を噴くぞ!

 

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関連作品

「ベイマックス」の原作本Amazon

  Chris Claremont/David Nakayama"Big Hero 6: Brave New Heroes"

 

ジョン・ラセター監督・プロデュース作品

dayslikemosaic.hateblo.jp

 

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ベイマックス (字幕版)

ベイマックス (字幕版)

ベイマックス (日本語吹替版)

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