夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「バーニー/みんなが愛した殺人者」:街の嫌われ者を殺してしまった誠実な人気者とアメリカの正義

「バーニー/みんなが愛した殺人者」(原題: Bernie )は、2011年公開のアメリカのヒューマン・ドラマ/コメディ映画です。96年にテキサス州の田舎町で起きた、39歳の男が81歳の老女を殺害した事件の顛末を、当時の出来事を知る住民たちのインタビューを織り交ぜて描いています。

 

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目次

スタッフ・キャスト 

監督:リチャード・リンクレイター
脚本:スキップ・ホランズワース/リチャード・リンクレイター
原作:スキップ・ホランズワース「Midnight in the Garden of East Texas」
出演:ジャック・ブラック(バーニー・ティーディ)
   シャーリー・マクレーンマージョリー・「マージ」・ニュージェント)
   マシュー・マコノヒー(ダニー・バック・デヴィッドソン)
   ほか

あらすじ

テキサス州の田舎町カーセージで、葬儀社の助手として働くバーニー・ティーディ(ジャック・ブラック)は、誠実な人柄で住民の誰からも愛される人気者でした。肉親を亡くした遺族への配慮と気遣いから、美しく繊細な遺体の処理、そつのない葬儀進行と演出、賛美歌の演奏、棺桶の販売まで全ての仕事ぶりが丁寧で、葬儀のプロとして高く評価されるだけでなく、町の美化運動を推進するなど市民活動へも積極的に取り組んでいました。石油で莫大な財産を築いたドゥエイン・ニュージェントの葬儀を執り行ったバーニーは、その遺産を相続した未亡人マージョリー(シャーリー・マクレーン)に出会います。彼女は、高慢、頑固な性格で町中から嫌われ、友達は皆無、息子家族とも裁判沙汰となっている孤独な老女でした。バーニーはそんな彼女を気遣い、相談相手となるうち、マージョリーに気に入られ、彼女の所有する会社の社員となって働くようになります。数年後、銀行預金の管理まで任されるほど信頼されるようになったバーニーでしたが、マージョリーの支配欲はエスカレートし、彼が他の住民と交流することさえ嫌がるようになります。理不尽な要求に振り回され続けたバーニーは追いつめられ、マージョリーのわがままにカッとなってアルマジロ退治用の銃で彼女を撃ってしまいます。バーニーはマージョリーの死体を物置の冷蔵庫に隠すと、全ての面会を断って、それまで通りの生活を続けます。より自由にマージョリーの金を使えるようになったバーニーは、教会をはじめ町の施設や困っている人たちに資金を提供し続けますが、長期間マージョリーの姿が見えないのを不審に思った投資管理会社の担当者が地方検事ダニー・バック・デヴィッドソン(マシュー・マコノヒー)に通報、検事は家宅捜索を行って冷蔵庫からマージョリーの死体を発見します。バーニーは逮捕され、全てを自白し、罪を悔います。検事はこの事件を自分の手柄として再選に利用しようと、バーニーをより凶悪な殺人者に仕立て上げ、第一級殺人で起訴しますが、裁判が始まると町の住民たちは誰もがバーニーを擁護し、殺人者の彼に無罪を求めます・・・。

レビュー・解説 

「バーニー/みんなが愛した殺人者」は、スキップ・ホランズワースが1998年にテキサス・マンスリーに執筆した記事、「Midnight in the Garden of East Texas」に基づき、映画化されました。脚本はリチャード・リンクレイター監督とスキップ・ホランズワースが共同で執筆、映画は再現ドラマの形で進行し、事件のあったカーセージの街の住民が実際に出演して証言しています。

 

地元であまりにバーニーの評判が良く、無罪を要求する世論が強かった為、裁判は他の場所に移して行われました。裁判を他の場所に移すのは、通常、憎しみなどにより被告に過大な罪が課されるのを避ける為ですが、このような逆のケースは異例でした。これは、この事件を自分の手柄として再選に利用しようとする検事の発案によるものでしたが、責任を有する者がより大きな成果を目指すことにより社会正義を実行するという如何にもアメリカらしい発想だと思います。結果、バーニーは第一級殺人で終身刑、仮釈放は早くても50年後となります。

 

バーニーは拘置所や刑務所でも人気者で、料理教室や聖歌隊のクラスを4クラス受け持ちました。2014年、バーニーの刑は15年に減刑され、釈放されました。釈放の条件のひとつが、リチャード・リンクレイター監督の自宅車庫に併設された部屋に住む事でした。このような減刑が実現したのもリチャード・リンクレイター監督が映画で彼の事件の顛末を広く世に知らしめたことと無縁ではないでしょう。影響力を持った人が動けば、このような減刑が実現するのもアメリカらしいと思います。

 

リチャード・リンクレイターは、インディペンデント映画もハリウッド映画も監督できる器用な監督で、有名なビフォア・シリーズ等、他の監督が真似できない、高評価の名作をいくつも世に送り出しています。ジャック・ブラックは、2000年公開の「ハイ・フィデリティ」のオタク青年役で注目され、2001年公開の「愛しのローズマリー」でグウィネス・パルトローを相手に初主演を果たし、2003年公開のリチャード・リンクレイター監督の「スクール・オブ・ロック」を主演、大ヒット作となりました。リチャード・リンクレイター作品もジャック・ブラックもユニーク、個性的ですが、好きな監督、俳優です。

 

スキップ・ホランズワースが1998年にテキサス・マンスリーに執筆した記事

www.texasmonthly.com

 

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関連作品

リチャード・リンクレイター監督xジャック・ブラックのコラボ作品Amazon

  「スクール・オブ・ロック 」(2003年)

 

リチャード・リンクレイター監督作品のDVD(Amazon

  「バッド・チューニング」(1993年)

  「ビフォア・サンライズ」(1995年)

  「ウェイキング・ライフ」(2001年)

  「ビフォア・サンセット」(2004年)

  「僕と彼女とオーソン・ウェルズ」(2008年)

  「ビフォア・ミッドナイト」(2013年)

    「6才のボクが、大人になるまで。」(2014年)

 

「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」(2016年)

 

ジャック・ブラック出演作品のDVD(Amazon

  「愛しのローズマリー」(2001年)

  「キング・コング」(2005年)

  「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年)

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