夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「トラフィック」:豪華キャストによる麻薬をテーマにした群像劇

トラフィック」(原題: Traffic)は、2000年公開のアメリカの映画です。スティーブン・ソダーバーグ監督による麻薬をテーマにした群像劇作品で、アメリカとメキシコの両国で麻薬密輸とそれをなくすために戦う者たちの姿を、実際に起こった事件や実在の人物をモデルに取り入れて描いています。2000年度第73回アカデミー賞の監督賞、助演男優賞ベニチオ・デル・トロ)、脚色賞、編集賞の4部門を受賞しています。

 

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目次

キャスト・スタッフ 

監督:スティーブン・ソダーバーグ
脚本:スティーヴン・ギャガン
原作:サイモン・ムーア
出演:マイケル・ダグラス(ロバート・ウェークフィールド)
   エイミー・アーヴィング(バーバラ・ウェークフィールド)
   エリカ・クリステンセン(キャロライン・ウェークフィールド)
   ドン・チードル(モンテル・ゴードン)
   ルイス・ガスマン(レイ・カストロ
   ベニチオ・デル・トロハビエル・ロドリゲス=ロドリゲス)
   ジェイコブ・バルガス(マノーロ・サンチェス)
   スティーヴン・バウアー(カール・アヤラ)
   キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ヘレーナ・アヤラ)
   ミゲル・フェラー(エデュアルド・ルイス)
   トーマス・ミリアン(アルトゥーロ・サラザール将軍)
   デニス・クエイド(アーニー・メッツガー)

あらすじ

オハイオ州のロバート・ウェークフィールド判事(マイケル・ダグラス)は、ワシントンD.C.で麻薬撲滅担当の大統領補佐官に就任しますが、名門校に通うその娘キャロラインは仲間らと麻薬におぼれます。カリフォルニアでは、麻薬捜査官モンテル(ドン・チードル)とレイ(ルイス・ガスマン)が麻薬密輸を撲滅すべく任務を遂行する一方、逮捕された麻薬王のアヤラ(スティーヴン・バウアー)の妻ヘレーナ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は途方に暮れます。アメリカとの国境にあり、アメリカ人への麻薬供給ルートの中継地点となっているメキシコ最北端の都市ティファナでは、国境警備にあたるメキシコ州警察の警察官ロドリゲス(ベニシオ・デル・トロ)とパートナーのサンチェス(ヤコブ・バーガス)が、犯罪取締官サラサール将軍(トーマス・ミリアン)に召喚されて、麻薬カルテルの一味である暗殺者フロレス(クリフトン・コリンズ・ジュニア)をつかまえるよう頼まれます。ロドリゲスが男をとらえ連行すると、将軍はフロレスを拷問にかけ、強力な麻薬組織オブレゴン・カルテルの居場所を吐かせます。そしてこの出来事は、ロバート・ウェークフィールド判事や、麻薬王のアヤラとその妻のヘレーナにからんでいきます。

レビュー・解説 

「トラッフィク」は、三つの異なるストーリーを、ヒーロー不在のまま倫理的に白黒のはっきりしないグレイの領域で描く野心的な映画で、豪華キャストの素晴らしいパフォーマンスが際立つ作品です。

 

マイケル・ダグラスドン・チードルベニチオ・デル・トロキャサリン・ゼタ=ジョーンズデニス・クエイドといった、豪華キャストによる群像劇は見応えがあります。アメリカの麻薬問題は根が深く、簡単には解決できないと言われます、「トラフィック」でも誰かが明確な答えをだすのではなく、各々の登場人物が各々の戦いを繰り広げる様を描いています。同時進行する三つのストーリーは、メキシコの風景を象徴する黄色がかった薄暗い映像、ワシントンD.C.オハイオ州では哀しく抑圧された青くグレイがかった映像、カリフォルニアではヘレーナの派手さにフィットするハイ・コントラストの映像と、トーンを使い分けているのが印象的です。

 

マイケル・ダグラスキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、映画撮影前に婚約、撮影後に結婚しました。また、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは撮影時、妊娠しており、ヘレーナは二児の母という設定でしたが、彼女の為に妊娠中の一児の母に書き換えられました。二人は、2013年に別居、離婚の危機が伝えられていましたが、最近、復縁したようで何よりです。

 

麻薬問題が根が深い理由のひとつは、その中毒性とともに、闇ビジネスの温床になることです。取り締まりを厳しくしてもメキシコなど他の国の麻薬カルテルが肥大するだけなので、アメリカで麻薬を合法化する事により海外の麻薬カルテルを縮小させ、凶悪犯罪を減らすことができるという意見も出てきています。

 

オランダでは、厳しい政策で薬物を完全に追放することは不可能という前提に立ち、国内政策に2つの原則を掲げています。

  • 薬物使用は公衆衛生の問題であり、犯罪ではない。
  • 薬物による害を減らす。このため、ハードドラッグ(コカインなど)とソフトドラッグ(マリファナなど)を政策上明確に区別する。

大麻などのソフトドラッグ使用者が多いオランダでは、ソフトドラッグは完全追放できないと考えられており、これを禁止法で抑えつければ、ソフトドラッグがハードドラッグと同じ闇市場に出回る結果、ソフトドラッグ使用者がハードドラッグ使用に走る機会を増し、薬物による害を増やすことになるというものです。これより、行政がしっかり管理できる施設にのみソフトドラッグ販売を許可し、ソフトドラッグ市場とハードドラッグ市場を完全に分離、ハードドラッグが入ってこないようにソフトドラッグ市場を限定して厳格に管理したほうが薬物による害は少なくなるという考えられています。

 

日本には当てはまらないような気がしますが、オランダ同様の効果を狙ってか、アメリカでも一部の州にソフト・ドラッグ合法化の動きがでているようです。米調査機関のギャラップによる調査では、大麻の合法化に賛成するアメリカの成人の数は2000年代初頭に3分の1、09年には44%、12年には48%、そして13年には58%と推移し、世論が逆転しています。2016年初頭現在、コロラド州ワシントン州アラスカ州オレゴン州大麻が合法化されており、合法化する州は今後も増えると予想されています。

 

この映画が公開されたのは2000年ですが、その後、メキシコのカルデロン大統領が2006年の就任直後から大規模な麻薬カルテル掃討作戦を実施したものの、当局への報復を含め4年間で死者が3万人を超え、2010年以降も毎年1万人以上の死者が出ているなど、残念ながら麻薬カルテルは壊滅しておらず、この問題の根の深さが感じられます。この間、麻薬カルテルの恐怖や麻薬カルテルとの戦いを描いた映画も何本か、公開されてます。

 

マイケル・ダグラス(ロバート・ウェークフィールド)

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ドン・チードル(モンテル・ゴードン)

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ベニチオ・デル・トロハビエル・ロドリゲス=ロドリゲス)

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キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(ヘレーナ・アヤラ)

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デニス・クエイド(アーニー・メッツガー)

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関連作品

麻薬カルテルの恐怖や麻薬カルテルとの戦いを描いた映画のDVD(Amazon

  「ノーカントリー」(2007年)

  「悪の法則」(2011年)

  「皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇」(2013年)

      「カルテル・ランド」(2015年)・・・楽天市場

  「ボーダーライン」(2015年)・・・楽天市場

 

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