「リミットレス」(原題: Limitless)は、2011年公開のアメリカのSFファンタジー/ミステリー&サスペンス映画です。2001年出版のアラン・グリンのベストセラー小説「ブレイン・ドラッグ」(原題: The Dark Fields)を基に製作された映画で、脳を超人的に活性化させる新薬を手に入れ大成功を収めた主人公が、やがて薬の副作用に苦しむと共に恐るべき陰謀に巻き込まれ、窮地に陥る様をスリリングに描き出しています。
目次
スタッフ・キャスト
監督:ニール・バーガー
脚本:レスリー・ディクソン
原作:アラン・グリン「ブレイン・ドラッグ」
出演:ブラッドリー・クーパー(エディ・モーラ)
ロバート・デ・ニーロ(カール・ヴァン・ルーン)
アビー・コーニッシュ(リンディ)
ジョニー・ホイットワース(ヴァーノン・ギャント)
ほか
あらすじ
ニューヨークに住む作家志望のエディ・モーラは、出版契約を交わしたものの一行も書けず、恋人のリンディにも別れを告げられ、追い詰められていました。そんな時、元妻の弟ヴァーノンと出会い、開発中だという新薬「NZT-48」を譲り受けます。それは、通常は20%そこそこしか使われていない人間の脳を100%活性化させる、夢のスマートドラッグでした。半信半疑ながらも服用してみると、これまでの記憶が全て甦り、あらゆる情報の整理統合が一瞬で出来、小説さえもあっという間に書き上げてしまいました。さらなるNZTを求めてヴァーノンの部屋を訪れたエディは、ヴァーノンが殺されているのを発見します。ヴァーノンの部屋で大量の薬を手に入れたエディは、やがて株で大儲けし世間の注目を集め、大物投資家カール・ヴァン・ルーンがエディに投資話を持ちかけます・・・。
レビュー・解説
たまった宿題や仕事を一気に片付けられたらとは、誰しも思う事ですが、「リミットレス」はそんな夢を一瞬かなえてくれる、痛快な映画です。NZT-48を服用した時の描写(視覚効果)が凄いです。
NZT-48の効果〜「リミットレス」
視覚が広角系になり、画面の彩度が上がります(エディが薬を服用している時は色鮮やかになり、薬が切れている時はグレイッシュになる)。エンドレスなズーミングと、テンポの良いBGMが万能感を演出し、観ている方も万能になったような気がします。わずか四日間で本を書き上げ、三日間でピアノを習得、数学を応用してカジノで荒稼ぎ、走りながら語学をマスター、女性にもモテモテ、株の動きも読める! もっとも、いいことばかりではありません。薬の効果は24時間しかもたないので、効果を持続する為には毎日、飲み続けなければなりませんが、入手した薬の数は有限です。また、副作用があったり、禁断症状がでたり、薬を狙う恐ろしい奴や、金儲けに利用しようとする奴が出てきたり、ライバルも同じ薬を使っていたり・・・。別れを告げられた恋人とよりを戻し、幸せになる為には、こうした問題をクリアしなければなりませんが、はてさて。
現実的にはこんな都合の良い薬はあるわけもなく、エナジー・ドリンクでわずかばかりのパワーを補給するのが関の山ですが、それでも一昔前に比べたら効きめのあるものが増えました。
ブラッドリー・クーパーは、2009年公開の「ハングオーバー! 」シリーズでブレークして以来、破竹の勢いですね。2012年公開の「世界にひとつのプレイブック」、2013年公開の「アメリカン・ハッスル」、2014年公開の「アメリカン・スナイパー」と三年連続でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、実力のほどを見せつけています。デヴィッド・O・ラッセル監督は、「世界にひとつのプレイブック」にブラッドレイ・クーパーを起用した理由のひとつとして、彼の演技が本当に怒っているように見えることを挙げていますが、彼の持つ熱い感じが、この作品でも生きており、はまり役と行っていいのではないかと思います。
エディ役には当初、シャイア・ラブーフが予定されていましたが、交通事故で左手の指2本を失う大けがをし、出演できなくなった為、ブラッドリー・クーパーの出番となりました。「リミットレス」にはどこかしらユーモラスな感じが漂っていますが、よりコミカルな調子になるであろうシャイア・ラブーフ版も観てみたかった気がします。
関連作品
ブラッドリー・クーパーの出演作のDVD(Amazon)
「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(2009年)
「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(2012年)
「世界にひとつのプレイブック」(2012年)
「アメリカン・ハッスル」(2013年)
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014年)
「アメリカン・スナイパー」(2015年)