夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「永遠の僕たち」:ミア・ワシコウスカが光る、三人の若者の死の迎え方、送り方

「永遠の僕たち」(原題: Restless)は、2011年公開のアメリカの映画です。ガンに冒された少女と、両親の死から立ち直れない青年の恋を瑞々しく描いています。

 

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監督: ガス・ヴァン・サント

脚本: ジェイソン・リュウ

出演: ヘンリー・ホッパー(イーノック・ブレイ、主人公の少年)

    ミア・ワシコウスカ(アナベル・コットン、余命3カ月の少女)

    加瀬亮(ヒロシ・タカハシ、特攻隊員の幽霊)

    シュイラー・フィスク(エリザベス・コットン、アナベルの姉)

    ほか

 

イーノック(ヘンリー・ホッパー)は自動車事故で両親を亡くし、自身も昏睡状態だった為、告別式に出る事もできずませんでした。以来、見知らぬ人の葬儀に参列するようになった彼は、ある時、係員に問い詰められます。別の葬儀で出会った少女アナベル(ミア・ワシコウスカ)が窮地を救い、2人は互いに心を開き始めます。イーノックは、事故の際の臨死体験をきっかけに、ヒロシ(加瀬亮)という特攻隊員の幽霊が見えるようになり、叔母とうまくいかない家では、ヒロシと遊んで過ごしていました。ある日、ダーウィンを敬愛し、自然が好きで鳥類のスケッチをしていたアナベルに、彼は声をかけ、両親が眠る墓地に案内します。帰宅後、イーノックのことを嬉しそうに話すアナベルの明るい表情に、姉のエリザベス(シュイラー・フィスク)は心を軽くしますが、闘病中のアナベルにガンが再発していることが明らかになります。アナベルは余命が3カ月であることをイーノックに打ち明け、葬儀を自分でプロデュースしたいと言います。イーノックはその準備を手伝うと約束します・・・。

 

シナリオは荒削りですが、「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカの好演が光ります。主役のヘンリー・ホッパーはデニス・ホッパーの息子で、加瀬亮は特攻隊員の幽霊役をともによく演じています。脚本のジェイソン・リュウと、ロン・ハワード監督の娘で女優のブライス・ダラス・ハワードの二人は、ニューヨーク大学で演劇を演じていました。「永遠の僕たち」は当初、寸劇用に書かれたものでしたが、これを見たブライス・ダラス・ハワードが、これらのキャラクターを映画用の脚本にしてみないかと持ちかけ、彼女自らプロデュースし、映画化が実現したものです。

 

ポートランドを舞台に、ビートルズの「Two of Us」で始まるこの映画は、アナベルの60年代ヨーロッパ風のファッションと相まって、独特の雰囲気を醸し出し、

  • 両親の死を受け入れられないヘンリー
  • 余命三ヶ月と宣告された少女アナベル
  • 恋人に思いを告げることなく散った特攻隊員の幽霊ヒロシ

の思いが交錯、お互いに欠けているモノを補完していく様が描かれています。また、ガス・ヴァン・サント監督は、

  • 「『死』は事件で、ティーンの日常というのはプラットホーム」
  • 「『死』という事件があるからこそ、『生』が描けるという。闇なくして光は描けない」

と語っています。

 

メランコリックという批評もありますが、三人の若者の死の迎え方、送り方には瑞々しいものがあります。

 

両親の事故死を受け入れらないヘンリー〜「永遠の僕たち」

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余命三ヶ月のアナベル〜「永遠の僕たち」

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Annabel: This is a kind of sunbird that thinks it dies when sun goes down. So in the morning it wakes up and is shocked still be alive and sings really beautiful song. Just happy not to be dead i guess.

アナベル:日が沈むと死ぬと思っている鳥がいるの。だから朝になると目覚めた驚きで、美しい声で歌うんだって。死んでない喜びで。

 

特攻隊員幽霊ヒロシ〜「永遠の僕たち」  

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初めて三人で会話するシーン〜「永遠の僕たち」  

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ヒロシが恋人に渡さなかった手紙〜「永遠の僕たち」

 As I write this letter, the ocean breeze feels cool on my skin. That very ocean is soon to be my grave. They tell me I will die a hero. That the safety and honor of my country will be the reward for my sacrifice. I pray they are right. My only regret in life is never telling you how I feel. I wish I were back home. I wish I were holding your hand. I wish I were telling you that I have loved you, and only you, since I was a boy. But I'm not. I see now that death is easy. It is love that is hard. As my plane dives, I will not see the face of my enemies. I will instead see your eyes, like black rocks frozen in rainwater. They tell us that we must scream, "Banzai," as we plunge into our target. I will instead whisper your name. And in death, as in life, I will remain forever yours.

この手紙を書く私の肌に海風を冷たく感じます。この海が私の墓場です。死ねば英雄だそうです。私の命でお国の平安と名誉が守られるとか。そう祈ります。貴女への愛を何故、口にしなかったのか。故郷に戻れるなら、貴女の手を握りたい。子供の頃から貴女を愛していたと言いたい。でも無理です。今では、死はたやすく、つらいのは愛とわかります。激突する瞬間、私の目に敵の顔は見えません。映るのは、雨にぬれた石のように黒い、貴女の瞳。上官は、敵艦に当たるとき「バンザイ」を叫べと言います。私は貴女の名をささやきます。死んでも生あるがごとく、貴女に永遠の想いを。

 

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