夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「LIFE!」:正直で優しくて真面目な現代の大人の為のおとぎ話

「LIFE!」(原題: The Secret Life of Walter Mitty)は、2013年公開のアメリカのファンタジック・アドベンチャー・コメディ映画です。1939年発表のジェームズ・サーバーの短編小説「虹をつかむ男」を原作とするダニー・ケイ主演映画「虹を掴む男」(1947年公開)のリメイク作品です。DVD/ブルーレイの日本版は「LIFE!/ライフ」と改題されています。

 

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目次

スタッフ・キャスト

監督:ベン・スティラー
脚本:スティーブン・コンラッド
原作:ジェームズ・サーバー著「ウォルター・ミティの秘密の生活」

出演: 

 ほか

あらすじ

ニューヨークの伝統ある雑誌「LIFE」の写真管理部で真面目に働く地味で平凡な冴えない男ウォルター(ベン・スティラー)の唯一の趣味は空想することでした。想いを寄せる同僚のシェリル(クリステン・ウィグ)に声を掛ける勇気もなく、彼女がパートナー探しのウェブサイトに登録していることを知って自分も登録してみたものの、特徴的な体験談に記入するようなことがありませんでした。

そんなある日、ウォルターはライフ社の事業再編とLIFE誌の廃刊を知らされます。「LIFE」の最終号を飾るはずだった写真のネガが行方不明になり、追い詰められたウォルターは、ネガのありかを聞き出すため、世界中を冒険している写真家ショーン(ショーン・ペン)を追って自らも冒険の旅に出ます・・・。

レビュー・解説 

出会いサイトのカスタマーサービスのトッド(パットン・オズワルト)、ウォルターの同僚のシェリル、事業再編の責任者テッド(アダム・スコット)、エンダ(ウォルターの母)など、鍵となる人物が次々と登場します。例えばシェリルは妖精のような役割。彼女はパートナー探しのウェブサイトのウエブサイトに好みのタイプを冒険好き、勇敢でクリエイティブ(勤め人可)と記載し、ウォルターを冒険へと誘い、駆り立てます。物語は謎解きをしながら進みます。クレメンタイン・ケーキ、財布、ピアノ、スケートボードなど、鍵となるアイテムも登場します。

 

随所に空想シーンが挿入され、グリーンランドアイスランドアフガニスタンの風景がとても美しく、「Life!」はさながら現代の大人の為のおとぎ話のようです。評価が分かれるようですが、私はこの作品が好きです。お気に入りのシーン(セリフ)をいくつか。

 

出会いサイトへの電話問い合わせ(できるんですね)

Todd ‘Hi, Todd Maher, E-Harmony, how can I help you today?’
Walter ‘Hi, I can not seem to leave a wink to someone. I do not know, it’s my page is broken? Do I maybe have a broken page, or ...?’
Todd ‘I've never heard of it, but, ok … You are trying to use your E-Harmony account for the first time?’
Walter ‘ I am.’
Todd ‘Ok, I'm looking at your profile. We have a pretty intricate matching algorithm. That’s distinguish us from other online dating services.’
Walter ‘Yes, I like it. Actually, I just trying to leave a wink for someone. Cheryl Melhoff. She started working in my division about a month ago and I heard her near the bagels saying she was on your site.’
Todd ‘Ok, it's unique. But let me ask you. You left a lot of this stuff like “Been There, Done That” section, you left it blank.’
Walter ‘Yeah. I think I skipped it.’
Todd ‘Okay, you got to help me out here, man. friend. Do not skip anything.’
Walter ‘Okay, well, I haven’t really been noteworthy anywhere or mentionable.'
Todd ‘Have you ever done anything that is noteworthy, mentionable...? Hello? You still there?’
(Walter is daydreaming)
Todd ’Hey, my man, are you still there?’ Walter ‘Hey.’ Todd ’What? Did you pass out, or ...?’
Walter ‘No, I just like, zoned out for a second.’
Todd ’Oh, ok. Do you do that a lot?’
Walter ‘Normal amount, I guess. Yeah, I got to run. Sorry.
Todd ’Oh, ok, but we need a lot more…

トッド「eハーモニーのトッドです。」
ウォルター「ある人に『ウィンク』が送れなくて。僕のページに問題でもあるのかな?」
トッド「それは初耳ですね。初めてのご利用で?」
ウォルター「ええ。」
トッド「略歴を拝見していますが、当社の照合システムは他社にない高度なもので。」
ウォルター「いいね。『ウィンク』したいというのはシェリルという女性で、1ヶ月前からの同僚です。そちらの登録したと聞いて。」
トッド「それは珍しい。しかし空欄が多いな。例えば体験談がひとつも書かれていない。」
ウォルター「それは飛ばした。」
トッド「飛ばさないで教えてください。」
ウォルター「別に体験談を書くほど、どこにも行っていないので。」
トッド「では何か凄いことはしませんでしたか?聞いてます?」
ウォルター「ちょっと待って。」
(ウォルターが空想している)
トッド「聞いています?気絶でもした?」
ウォルター「ぼんやりして。」
トッド「それ、頻繁にあるの?」
ウォルター「多分正常の範囲で。悪いけどもう切らないと。」
トッド「まだ質問が・・・。」

 

ウォルターが愛したLife誌のモットー(かっこいいです)

‘’To see the world, things dangerous to come to, to see behind walls, draw closer,to find each other and to feel. That is the purpose of life.’

「世界を見よ、危険に立ち向かえ、壁の向こう側を見よ、もっと近づいて、お互いを知れ、そして感じよ、それが人生の目的なのだから」

  

冒険にむけてウォルターの背中を押すシェリル(子供をその気にさせるお母さんの様)

Sheryl ‘So, um, Sean’s not definitely in New York. Peg said she sent multiples. I don’t know if you know how it works with him. She sends copies because we never know where he's gonna be. And this week she sent 1090s to Princeton, New Jersey...’
Walter ‘Oh, Great. Train ride.’
Sheryl ‘And one to Greenland. Just in case.’
Walter ‘Greenland, the country? That ... You can’t catch the train there.’
Sheryl ‘No.’
Walter ‘Well, maybe He's in Jersey.’
Sheryl ‘Yeah.’
Walter ‘Yeah. Is your cell phone already done buffering with that ship’s name?’
Sheryl ‘Yes, look! Here it is. Nuuk Greenland.’
Walter ‘It was ...’
Sheryl ‘Yeah Come on, it's a good lead!You should follow that up.’
Walter ‘Yes, followed it up in Greenland.’
Sheryl ‘Yes, why not? Go. Crack the case. Listen to your wallet*.’
*Life magazine’s motto is inscribed there.

シェリル「ショーンはニューヨークにいないわ。ペグは書類を何通も送るらしいの。いつも居所が変わるから。今週の送り先はニュー・ジャージープリンストン。」
ウォルター「やったね、電車で行ける。」
シェリル「それとグリーンランドよ、念のため。」
ウォルター「国の?電車じゃ、行けないね。」
シェリル「そうね。」
ウォルター「多分、ニュー・ジャージーにいる。」
シェリル「そう。」
ウォルター「ところで船の名前の検索は終わった?」
シェリル「あった。これよ。ヌーク、グリーンランド
ウォルター「・・・」
シェリル「いい手がかりよ。追いかけて。」
ウォルター「グリーンランドへ?」
シェリル「いいじゃない。行って。謎を解くの。財布を見て。(注)」

(注)財布にLife誌のモットーが記されている。

 

冒険の後、ウォルターを救出してくれたトッド

Todd ’How is daydreaming going?’
Walter ‘Lately, less’
Todd ‘Good. Less is good.’
(chat)
Todd ‘You are so not how I picture out you.’
Walter ‘How did you picture me?’
Todd ‘I pictured you a little grey piece of paper. But I see you and it’s like Indiana Jones decided to become the lead singer of The Strokes or something like that. It’s nuts, I know.

トッド「まだ空想してる?」
ウォルター「最近、減った。」
トッド「いいね、それは何より。」
(雑談)
ウォルター「君は想像とまるで違った。」
トッド「想像って?」
ウォルター「さえない男のはずが、会ってみたら、まるでロック歌手に転身するインディ・ジョーンズだ。笑うなよ。」

 

ウォルターをクビにしたリストラ責任者に一矢報いる

Walter ‘Hey, you know our motto?’
Ted ‘Life ... I love it.’
Walter ‘No, it's McDonalds. Things you do this Ted, where you come and put out the people … You should know, they work very hard to make the magazine. They believe in their motto. I understand there is a command you, you must do what you must do. But you do not need to be such a jerk.’

ウォルター「会社のモットーは?」
テッド「ライフ・・・、アイムラビングイット。」
ウォルター「違う。それはマクドナルドのだ。君は外部からやってきて社員のクビを切った。モットーを信じ、一生懸命ライフを作った人たちだ。君は上の命令に従ったのだろうが、嫌な奴にはなるな。」

 

そしてシェリルとの再会

Sheryl ‘So what happened to you? You sort of fell off from the face of the Earth there. For a little bit.’
Walter ‘I came by and your husband answered so I figured out I should just go.’
Sheryl ‘Oh Phil, he was fixing my refrigerator. And he is not my husband.’
Walter ‘I guess I imagined ...I thought maybe you got back together.’
Sheryl ‘You have a good imagination. But no.’

シェリル「一体どうしたの?地下にでも潜っていたの?」
ウォルター「家を訪ねたら、ご主人がいたのでいちゃいけないと・・・。」
シェリル「フィルは冷蔵庫の修理をしていたの。夫じゃないわ。」
ウォルター「仲直りしたと思った、想像してた。」
シェリル「凄い想像力ね、でも違うわ。」

 

ベン・スティラーはヤンチャな役が多かったようにも思いますが、「Life!」では、真面目で空想癖がある中年が、冒険を通して少しずつ強くなって行く様を渋く演じています。アクが強い俳優でしたが、年々円熟してきているように思います。

 

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関連作品 

リメイクの元となった映画

  「虹をつかむ男」のDVD(Amazon

 

ベン・スティラー出演作品のDVD(Amazon

  「アメリカの災難」(1996年)

  「メリーに首ったけ」のDVD(1998年)

  「ミート・ザ・ペアレンツ」のDVD(2000年)

  「ローヤル・テネンバウムス」のDVD(2002年)

  「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」(2008年)

「ヤング・アダルト・ニューヨーク」(2014年)

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